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たのしい地方創生

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地域活性化の業界で働く筆者の、日常のささい気づきを、まじめ風味でお届け。
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#エッセイ

#68 まちづくりの『キャラ診断』

2024年6月某日 社会人としての経験を重ねていくと、なまじ知識や経験が蓄積されてくることもあり、様々な言葉の定義や文脈に敏感になってしまう。かつては、さささっと斜め読みしていた本や文書について、いちいち立ち止まって考えてしまう半端な教養を身につけてしまった。仕事は遅々として進まないが、知的生活としては、とても楽しい。 … さて、筆者は地域活性化にかかる事業の企画を生業としているが、ひとくちに「地域活性化」といっても様々な活躍の「空間」があるように思う。少し紹介したい。

#67 『地方』と『地元』の差分

2024年6月某日 先日、久しぶりに実家に帰る機会があった。到着して早々は、かつての生活に対する懐かしさが込み上げてくるし、両親も気持ちやさしい。しかし、数日たてば、「風呂に入れ」「飯はどうするんだ」という、ありがたいご指摘を受けてしまう。筆者はすでに良い年なので、そっとしておいてもらえると助かるのだか、親子関係というのはいつまでも相対的なもので、「関係性」があまり変化しないことについて、ありがたさをグギギと噛み締めることとなった。 … さて、実家に帰るとつくづく感じる

#66 アナログへの『回帰と退化』

2024年6月某日 早いもので、今年も約半分が過ぎようとしている。年度末の忙しさをすり抜けたと思ったら、年度はじめはそれはそれで忙しい。ワーカホリックにとっては、大変喜ばしいことである。楽しんでいきましょう。 … さて、筆者は地域活性化に関わる事業企画を主な仕事としてる。やることは、「地域のリサーチをして、企画書を書いて、説明して、プロジェクトを立ち上げていく」、この繰り返しである。これまでに10年以上、「地域活性化業界(そんな業界があるのかどうか知らないが)」に身を置

#65 『うまい分け方』

2024年5月某日 子供向けの教育DVDなどを見ていると、「おともだちと、わけっこする」ことの大切さが説かれている。ドーナッツやお煎餅も「半分こすると、ふたりともニッコリ」だそうだ。二人の友情が永遠に続くことお祈りする。今日も平和である。 … さて、筆者は個人的に「分ける」という考え方が好きだ。地域ビジネスや、まちづくりの企画を考える際にも、狭くて、諸々の規模感に乏しい地域などでは「分けるアプローチ」により、何かとうまくいくケースも多い。「分ける」とは何で、どんな効果だ

#62 『自然資源』の課金方法

2024年5月某日 松島に来た。旅行である。「日本三景」として知られる松島は、宮城県東部の沿岸部に位置し、松の木が生い茂った、多くの小さい島々が海に浮かぶ独特な景観を形成している。古くは、伊達政宗がどこかの島で宴を楽しんだり、松尾芭蕉が俳句を読んだりと、いろいろと歴史的なストーリーを有しているエリアであると言える。 さて、そんな松島であるが、現在は観光産業を中心に、地域の経済活動が行われている。飲食店、土産物店はもちろん、島々を巡る遊覧船も主要コンテンツの一部として運営さ

#60 『仙台と牛タン』

2024年4月某日 大型連休を控える週初め、いかがお過ごしだろうか。通勤電車の座席に、ところどころ空席を見つけることができるのは、きっと、既に連休を謳歌していると思しきアイツがいないせいだろう。今日もがんばりましょう。 … さて、筆者は休暇があれば、全国様々な「地方」に出向くことをライフワークとしている。地方創生や地域活性化を仕事にしているのだが、実のところ、まだ訪れたことのない県もある。生涯で、全ての市町村(1,700以上)を踏破することは難しいかもしれないが、せめて

#59 論考『ひとくち、ちょうだい』

2024年4月某日 ファミリーレストランのサービスクオリティが上がっている。某イタリア料理系ファミレスなど、そのコストパフォーマンスは素晴らしく、アルコールメニューも充実している。ちょっとした居酒屋にいくより、気軽で使いやすく、料理も美味しい。そんなわけで、地方暮らしの筆者も、ロードサイドのファミレス店舗には、よく家族でお世話になっている。 … さて、家族で外食などする際、筆者はつねに「ひとくち、ちょうだい」の問題に直面する。なにを了見のせまいことを、という意見が聞こえ

#58 『フレークワーク』の是々非々

2024年4月某日 事業企画などという職種で、デスクワークに従事していると、「フレークワーク」というものに頻繁に直面する。みなさんご存知の「SWOT分析」とか、「5フォース分析」とか、そういうやつである。筆者は過去にビジネススクールで学んでいた身分でもあり、仕事を進める際、「フレームワーク」を用いた分析というのが、(良くも悪くも)癖づいてしまっているところがある。ちょっと、「フレームワーク」について考えてみたい。 … 「フレークワーク」には賛否あることは承知している。ネ

#56 よりよく生きるための『ライフハック』

2024年4月某日 昔から「ライフハック」みたいなものが好きだ。生活や仕事を便利にするガジェット類に目がないし、自身のビジネスギアは常に見直している。一方、筆者はミニマリズムを信奉しているので、所有するアイテムの種類やサイズは厳正に審査しなければならず、不用意に「モノ」を増やすわけにはいかない。そんな、一人で頭を悩ます日々を送っている。 … さて、「ライフハック」は、関連書籍や動画など、様々な情報が世の中に発信されているが、あらためて定義を確認してみた。 筆者の場合、

#52 『会議』の科学

2024年4月某日 新年度も始まり、社会人・学生のみなさんは、会議ライフをエンジョイしているだろうか。オンライン会議が普及したことで、遠距離会議は随分便利になったが、最近はリアル会議も復権しているように感じる。 … さて、最近、ふとこんなことを感じた。「筆者の周辺には、『会議』が好きな人があまりいないのに、あまりにも多くの『会議』が開催されているのはなぜだろうか」ということである。あまりにも擦られたテーマであるが、今一度、会議の価値について考えてみたい。まず、インターネ

#51 リバース『ラストワンマイル』

2024年4月某日 過ごしやすい季節になってきた。上着も必要なくなると、荷物も心も軽くなり、何かと出かけたくなる。そんな浮き足だった筆者とは裏腹に、通勤電車の中には、大型連休までの期間をなんとか息継ぎしながらやり過ごそうとする企業戦士の暗い表情に溢れている。今日もがんばりましょう。 … さて、「旅行」のことを考えていたら、「移動」という概念が気になった。筆者のような地方在住者にとっては、移動は仕事・レジャーなど、自分に関わることはもちろん、地方創生の文脈においても観光政

#50 令和の『テキストコミュニケーション』

2024年4月某日 最近、通勤電車の中でもマスクをしている人が増えたと感じる。おそらく、花粉症対策なのであろう。「マスクをしている人が増えた」と筆者が知覚するということは、その前はみなさんマスクをしていなかった風景だったのだろう。つまり、「コロナを意識したマスク生活」からは緩やかに、着実に脱却しつつある生活が、社会に染み入っている。 … さて、「働き方」に目を向けてみると、コロナ禍ほどの盛り上がりはないももの、リモートワーク的なしごとの進め方は随分と一般化した。ZOOM

#48 地方の『スタートアップ界隈』

2024年3月某日 最近、地域活性化政策の中に、しばしば「起業・創業」「スタートアップ」みたいなキーワードを見かける。個人的には、地域活性化に向けて必要な要素として「しごと」、特に「情報通信」や「クリエイティブ・企画」などと関連する、相対的に若い人々を惹きつけやすいしごとが生まれることは、ひとまず賛成の立場をとっている。 しかしながら、様々な政策の方向性や実施内容を見ていると「ローカルからユニコーンを!」とか「スタートアップ支援プラットフォームを!」といった、キーワードば

#47 お金が『つかえない』

2024年3月某日 小規模ながら、自分でも商売の真似事などやってみると、「お金の稼ぎかた」のみならず、「お金の使いかた」が本当に難しいと思う。筆者は性格的に、リスクをとらずに、コツコツと地道にキャッシュを確保できるタイプのビジネスが好きだ。そのため、「役務提供」による利益率の高いビジネスばかり取り組んでいる。 しかし、役務提供型のビジネスの場合、どうしても個人の「時間≒工数」みたいなものが制約となって、事業としてスケーラビリティの問題に直面しがちである。その際、人や設備に