見出し画像

なぜ私たち「リベラル保守」積極財政派は負けたのか

~衆議院総選挙で負けた私たちの課題~

2021年(令和3年)10月31日(日)は衆議院総選挙の投票日でした。
私たち積極財政派は流れを作ることができませんでした。
完全に「負け」です。

(なお、私たちの立場を私は「リベラル保守」積極財政派と呼び、「右翼的積極財政派」とは区別しています。後に詳述します。)

今回の総選挙で私があらためて理解したことがあります。
それは「自分たちが正しいと思っていることを主張するときほど、主張する主張の仕方に気をつけなければならない」ということです。

逆の立場に立ってみれば簡単に理解できることです。
でも、そのことがなかなか分かりません。
反省を繰り返しても、行動はなかなかその通りにはなりません。
自戒を込めて、今日もまたこのことを記します。

人間にとって自分の考えを変えることには心理的なハードルがとても高いです。特にその考え方を手に入れることに大学まで行ったりして多大な努力をしている場合には、その考え方を変えることは心理的なハードルが高くなります。
私たち積極財政派が消極財政派(緊縮派)の人たちに求めていることは、まさにこういうハードルが高いことです。

自分にその立場を当てはめてみれば簡単に理解できることなのに、私たち積極財政派は「なぜ分からないの?!」という対立口調になってしまう。

私が2012年の消費税増税に反対して当時の与党を離党したときも同じでした。「なぜ分からないの?」という気持ちをそのまま論理的な言葉に換えて口にしていました。論理的には正しいと確信しているため強く剥き出しのまま伝えました。しかし、言われた方の側は耳を塞ぎました。

2012年当時の話です。論理的な思考をしているはずの財務省の官僚諸氏からまともな反論が来なかったことが私には理解できませんでした。なぜ私の言葉が伝わらないのかと思いました。

自国通貨建ての国債を発行すると国民の資産が増えるだけであって財政が破綻することはない。2002年の外国格付け会社宛意見書で財務省自身が言っていることです。

バランスシートを書いて説明しました。しかし、財務省の官僚諸氏はそのことについて「にわかには答えられません。また検討してから参ります」と言ったきりでした。その後、回答はありませんでした。

論理的なことは理解しているはずなのに、なぜ財務省の官僚諸氏は回答から逃げるのか。長い間、そう思っていました。

2019年から世の中の雰囲気が変わってきました。

現代貨幣理論(MMT)が日本に紹介され、私が2012年当時から言っていたことが世の中の人に認識されるようになりました。

その時になって初めて、私は彼ら財務省の官僚諸氏の心情が分かるようになってきました。

財務省が依っている考え方は財政法4条です。
財政法4条は憲法9条を裏から支える財政的な規定です。

日本国は軍部の独走を止められず連合国の反撃にあい戦争に負けて国家として破綻しました。主要都市は全て焼け野原になりました。

財務省(当時の大蔵省)と日本銀行は慚愧の念に堪えなかったでしょう。
「二度と戦争を起こしてはならない」と決意されたと思います。
それが財政法4条の規定に現れています。

現在の財務官僚諸氏もその気持ちを引き継いでおられます。

今年2021年の自民党総裁選挙で積極財政派の候補が登場しました。
積極財政を使って防衛力(軍事力)を強化する主張を述べられました。
財務省の事務次官が民間誌に論考を寄せた理由はここにあると私は推測します。(ここで私は自民党の積極財政派を「右翼的積極財政派」と定義します。)

積極財政を言うのであれば「積極財政は軍事力の増強には使わない」と明言する必要があります。なぜならば、積極財政の問題は財政拡大による需要増に対して供給力不足が起こる可能性があるという点です。日本の場合には供給力不足が起こるのは戦争によって生産設備が破壊されることしかないからです。

しかし、自民党の「右翼的積極財政派」はこの論点に正面から挑みました。
だから財務省の事務方は脅威に感じた。
容易に想像できます。

私は自分では「リベラル保守」の立場だと自己認識しています。日本の歴史、文化、風習から、個人の自由こそが日本古来の考え方と合致していると考える立場です。

つまり、同じ積極財政派であっても、全く違う二つの立場があります。
・右翼的積極財政派(自民党の積極財政派)
・「リベラル保守」積極財政派
何のための積極財政なのか」という視点が全く異なります

このことを顕在化させられなかった。
ここが私たち「リベラル保守」積極財政派の敗因です。

来年には参議院選挙があります。
右傾化が進む日本だからこそ「リベラル保守」の財政政策が反対側に必要です。

地味な活動になりますが、これからも引き続き「リベラル保守」積極財政派として言論活動を行って参ります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?