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眼科電子カルテと3分診療

前回までの投稿では、クリニックの開院時間前に患者さんの順番待ちの課題を解決するために<順番待ち用紙への記入>が導入が容易なな解決策の中で一番進化したものと個人的には感じる。それは患者さんやクリニックの手間の再利用(リサイクル)率が3つの中では良いからだ!と書かせていただきました。

しかし、 当院では患者さんとクリニックの手間の再利用(リサイクル)率が期待値を超えていないので採用していない!と書かせていただきました

電子カルテは007のボンドカー?

何でも出来ることは素晴らしいです。これは映画007のボンドカーのようななんでも来い!みたいなものですね。 スキーもバスケもサッカーも100m走もできる靴みたいなものですが、出来ないことはないかも知れませんが それを期待して多大な開発費をかけるより4足買ったほうが安いかと!

井手「しかし、電子カルテになると 医師<なんでも出来るカルテがほしい!> メーカーさん<先生の要望にはなんでも応えたい>と思うようです。」
A先生「え それは当然じゃないですか 高いお金払って電子カルテ購入するわけですから」
井手「A先生のような方がいるからより高くなるんです」
A先生「したいこと増やすのは悪いことですか?プンプン!!」
井手「いえいえ、先生電子カルテこれ以上値段上昇してもいいですか?」
A先生「イヤです。」
井手「前の投稿にも書きましたが、 3時間待ち3分診療の患者さんに 私だけは10分診てほしいと言われたら どういいますか?」
A先生「10分診たいので 10時間待っていただけますか?または地元で10分診てもらう先生紹介します」
井手「でしょ? 先生の時間リソースは限られているんです。先生がカルテ会社の社長だったとして 開発の必要な要件を入れてほしいと先生に言われて実装に6ヶ月かかったら 値段どうします?」
A先生「上げます。 あっ そっかー カルテ会社も収入と開発費を天秤にかけると上げざるを得ないですよね」
井手「そういうことです。ミクロ的には先生の要望だったとしても それが汎用性の高くない個別化しすぎた要望の場合 開発費がかかりますし カルテもシステムが巨大になりすぎて 使いにくくなるのです。ですので 何でも出来るけど実際は使っていない機能ありますでしょ? それが小さな診療科の電子カルテの問題なんです。 マーケットは小さいですが 何でもしようとすると売値と開発費の回収のバランスで 利用者が多い内科カルテと比べて値段上昇も大きくなるのです」
A先生「なるほど、それが井手先生がいつもいう合成の誤謬問題なんですね」
井手「そうなんです。」

A先生「これで3分診療と電子カルテの共通点はわかりました。でも患者さんがクリニックで外で待っているときの手間の再利用(リサイクル)の話題とはどうつながるんですか?」

電子カルテの目的は?

井手「おっ!、本流を忘れていないですね。今回は電子カルテの話題ではないということも。 そうなんです。最終的にはそこに持っていくんですが みなさんが使っている電子カルテのほうが体験されているのでわかりやすいので 例として電子カルテを採用しています。A先生 電子カルテってなんで採用しているんですか? 高いし 教えるの大変ですし、 入力に時間かかるし、シュライバーにつくと人1人取られるし
A先生「たしかに、高いし 人も取られるし、でもシュライバーつくと私が楽なんです 絵だけ描けばいいですし」
井手「それだったら 紙カルテに絵だけ書いてあとは手書きでシュライバーに書いてもらってそれを承認すれば良いじゃないですか?」
A先生「データを他の病院と共有化するため」
井手「そんなことしたことあります?」
A先生「したことないですし、 いま思いつきで言っただけです」
井手「導入費用 維持費用 教育費用高いですよね。 そんなものいらないじゃないですか?」
A先生「えーーなんで電子カルテなんて導入してしまったんだろう? 後悔だ!」
井手「後悔はしなくても良いと思いますよ。 逆に電子カルテから紙カルテに戻したときのデメリットを考えてみてください」
A先生「処方DOと書くにしても DOの内容を医師も受付も確認しなくてはならない 検査内容やコストもいちいちページをめくって確認しなくてはならない。 カルテを戻したり出したりが大変。データもアナログなので比較が大変」
井手「それを抽象化すると?」
A先生「二度手間が多い。あっ これが手間の再利用(リサイクル)につながるんですね」
井手「そうなんです。電子カルテは あくまでも僕が導入する際に考えたのは 手間の再利用が目的ということです。


各ステークホルダーの電子カルテに期待する<手間の再利用>

国家・健康保険組合「医療データの再利用によって重複するデータをとるためのコストの削減」「データそのものの再利用」

電子カルテ企業「同じ開発をするなら多くのユーザーに使ってもらったほうが 値段の上昇をおらえられる」「いろんな先生の困りごとのうち最大公約数的なものを実装したい、個別化しすぎる要望は入れたくない」

医師「疾患ごとにパターンが決まっていること。Doが多いこと(処方や病名やコストや紹介状文面など」「他の先生のカルテに対する要望」

などが考えられます。 こういった考えで 電子カルテ会社と医師の期待を考えると。

5%しかいない眼科医の要望をふんだんに取り入れたカルテは必然的に高くなってしまいます。そして高いがために電子カルテではなくて紙カルテという選択肢も違うなーと思っておりました。


高スペックすぎない眼科電子カルテを眼科以外のカルテベースに作ろう!

つまり手間の再利用という事をベースに

・すべての再利用は考えない
・代診の先生への教育コストが低いもの
・マーケットの大きな診療科のカルテ(内科)を作っている会社
・クラウドカルテ
・トータルでは変わらなくても初期費用が安いカルテ(家のローンのように)

という基準で眼科のカルテを作っていただける企業様を探しました

そしてクリプラさんにご協力いただくことになりました。

そのときの記事がこれです

 「眼科というのは内科や外科などと比べて医師の数も少ないため(1万2938人/2014年 厚生労働省調べ)、眼科専用の電子カルテはどうしても高価格となってしまい、また個々の眼科医の個人的な希望までをそのまま取り入れる傾向にあることからオーバースペックになりがちでした」と、井手氏は言う。

 そうした経験から東京ビジョン アイクリニック 阿佐ヶ谷を開業するに当たっては、当初から電子カルテを導入するとしたうえで、あらためて求める要件や機能などを整理していった。その際に井手氏が特に着目したのが、電子カルテの最も本質的な目的である「手間の再利用」であった。

 「電子カルテの要は、1つの手間(処理)を複数の人間が共有することで、同じ内容の入力が不要といった手間の再利用にあると考えました。そして共有できるからこそ病院全体としてのコストを下げられるわけですから、電子カルテの入力に必要となる人件費と、手間の再利用によるコスト削減効果とのバランスを考えながら電子カルテを選定するようにしたのです」(井手氏)

という設計で始めました。


ここまでで手間の再利用に関する考え方が何となくおわかりになったかと思います。 次回から やっと 朝のドアが開く前の行列問題について書かせていただきます





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