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TeXi's『ファジー』関連企画|リレー書簡~「ours」俳優編~

男女二元論が生み出してしまっている「加害性」について考える1年間のプロジェクト『ファジー』。

関連企画・リレー書簡では、クリエーションメンバー間で、“個としての「あなた」”に向き合います。

コミュニケーションの速さが求められる時代ですが、「わたし」から「あなた」へ文章を送るこの企画では、少しだけじっくり、対話を楽しみたい。

2024/8/12更新:書簡③〜⑦を追記

☑️はじめに

リレー書簡のルールはこうです。

お題を用意しました。

・子供の頃にした自由研究
・忘れられない観劇体験
・引っ越しについて
・プロジェクトに参加して考えていること

字数は少なくても多くても良いです。
お題から逸れる脱線も歓迎します。

大切なのは、相手の顔を思い浮かべながら文章を書くことです。

🙌書簡① 宝保里実

こんばんは。
ours版リレー書簡、初回を務めます宝保です。
トップバッターというものに不慣れで、というのも大きなプレッシャーを感じるので人生で回避してきましたが、名前もほうぼ、で後ろの方の席、中肉中背で背の順も回避、これらはトップバッターというよりシンプルな順番の話ですが、意見のある人が手を挙げて発言権を得るみたいな流れがある場においてはどんなメンバーであったとしても発言の最初の子音が喉に引っかかって変な声が出たらどうしようと思ってこわくて中々言い出せない、しかし、トップバッターを自ら選んでいく行動力こそが人生を切り開く場合もあるんだろうと、というか、そういう方がなんか良いみたいなX(旧Twitter)で何故あんなに人生でとるべき態度だの姿勢だのばっかりわたしには流れてくるのか、次の方は渚さん、今回で初めて共演させていただきます、よろしくお願いします。渚さんは何番目だと落ち着くとかありますか?答えづらかったらもちろん、大無視してください。わたしは3,4番目だと落ち着きますし、そもそも何某かの順番が苦手でコンビニとかでもあの通路がレジの前でいくらか分かれていて且つ、床や壁(壁というか天井から吊ってある場合が多いから空間ですね、室内の空)にココです的な表示が無い場合は非常にドキドキします。

①子供の頃にした自由研究
小6のときに工作とかそういうの卒業した方がカッコいいと思い、父が持っていたブラック・サバスのCDを見て、思い付きで洋楽ロックをインターネットで調べてのすごい浅い歴史年表みたいなのをワードにまとめて書類で出したのを覚えています。うすら滑ったみたいな空気になっていたんじゃないかと思って思い出すの嫌です。

②忘れられない観劇体験
断片的ですが
・高校の演劇部時代に観た地区大会で、不思議の国のアリスをベースにしたファンタジーを部員2人で上演した他校の演劇部があり、兎を追うシーンで、アリスポジションの方が無言で下手から上手へ走り去っていったシーン、初めて見る異様な手法でめちゃくちゃ良かったのを覚えています。もちろんその演出には俳優が2人しかいないからという理由もあったんだと思いますが、演劇なのに平面で漫画的で何故か無言で妙にスタイリッシュで脳に残る、すごい良いアクションでした。

・高校の頃に見た舞台で、冒頭に動物のマスクを被った人が大きなまな板に鉈のようなものをガンガン振り下ろすシーン、目が痛くなるほど不快な大きな音ですごく良かったのを覚えています。別の芝居で、パフォーマンス中になぐりで板を打ち付ける人を見て、金属音に近い独特な騒音が好きで、その大きな音に一瞬場が支配されるような不快を伴う瞬間がかなり好きだなと思いました。ドン・キホーテとか苦手なんですがクラブとかパチンコ屋さんとかは好きで、騒音にも得意不得意があるのかなと思いますが、わざわざ演劇で不快の一撃を繰り出す選択に対してワクワクするタイプだったんだと思います。今観たら普通に不快の方が勝つかもしれません。

思い出したらまだ沢山ありそうですが、少し前に小6のことを考えていたせいかすごく前に見て未だに時々思い出すものが出てきました。みなさんのも気になります。

③引っ越しについて
物を捨てるのが億劫なんですが、先日久しぶりに引っ越して、いざ引っ越しとなるとガンガン物を捨てられるスイッチが入ってとっても良いなと思いました。一旦全部なくすみたいな機会が無いと部屋の現状を打破出来ないタイプなのかなと思いました。

④プロジェクトに参加して考えていること
二元論・バイナリーを思った時に最近、あまりの途方もなさに絶望的になることと、希望を持っても良いんじゃないかとなって色々調べることとが交互にたくさん起こります。「加害」については昔からよく頭に引っかかっている言葉です。今ここでは上手く書ける自信が無いのですが、皆さんの考えていることも知りたいし、言葉を持って、もっと考えて言語化していきたいと思ってます。もう今、この時点でものすごくあやふやな言葉で不明瞭にしている自分がいます。わたしはその自分の態度を恥ずべきと感じる一方で、他者があやふやに誤魔化すこと自体は否定できない、わたしは自身が加害をしていないとでも思っているのかと、わたし自身に対してはいくらでも堂々巡りで問答が続きますが、内向的であることが一体何を生むのか、いい加減こんなことしている時代でないと、こわがらずに言葉にする努力をするべきだと、あくまでに自分に対してですが思っています。ここに書き続けても自分に対して自分がベラベラ喋っているだけなので、じゃあ書くなと、みたいなことを考えています。

皆さんの文章も、こっそりとっても楽しみにしています。

宝保里実 2024.7.21

宝保里実
コンプソンズ/アプレ ドゥ所属の俳優。映画美学校アクターズ・コース11期修了。
6歳の頃より演技を始め、現在は小劇場を中心に俳優として活動中。所属のコンプソンズの他、日本のラジオ、実弾生活、円盤に乗る派、あたらしい劇場プロジェクトなどに出演。

💐書簡② 渚まな美

こんばんは、渚です。
宝保さんのお話、たのしく読みました。

何番目が落ち着くかな…でも1番か2番な気がしますね。
私は、小学生の頃から背の順はほぼいつも1番前で、小学生の頃から目もかなり悪かったため、教室の席も大体1番前にしてもらっていました。そういう身体的な面もあるし、小学生の時は学級委員長とかやったり、高校では部長にもなったり、何かと前に立つ役職についていた気がします。が、今思えば、あの頃はなぜそんなに積極的だったのか不思議というか度胸あったな〜と思います。
まあなんか、一人っ子だし、自分の前に人がいる状況みたいなことが、あんまり想像ができないというか、経験が浅いというか、そんなこんなで早めの方が安心します。何か発言する時とか割と早めに言いたい、グループで発表する時も先に発表しちゃいたい、早く楽になりたい笑
だから、この書簡は2番目でちょっと良かったなと思っています。

①子供の頃にした自由研究
毎年やってたはずなのですが、2つだけ覚えています。
一つは、農協のきゅうりの食べ比べ。(両親共働きで夏休みは祖父母の家に預けられていて、祖父母宅の近くにある農協のきゅうりが美味しくて大好きだったから)
もう一つは、下呂温泉の効能を調べたこと。(夏休みに父の勤める会社の保養所に行った時に温泉にいっぱい入ったから)
どちらもあまりウケは良くなかったです。

②忘れられない観劇体験
高3の文化祭で、演劇部でままごとの『わたしの星』をやることになり、私が演出だったのですが、もうわからん!となっていて。そんな時、三鷹で『わが星』をちょうどやっていて、後輩と2人で観に行きました。親に東京に行くなんて言ったら絶対に怒られるし行かせてもらえないので、「塾で勉強する」と嘘をついて。お金がない高校生2人なので行きは鈍行でのんびり行ったけど、帰りは門限ギリギリで、星のホールからバスで三鷹駅まで行って(東京のバスの乗り方がわからなくて焦った)走って特急に飛び乗った。帰りに後輩といっぱい感想を喋って、プチ冒険でした。もちろん作品もとても好きで、こんなにワクワクしたことないってくらい前のめりになって観たし、ドラムの音とか暗い中聞こえる声の感じとか、ずっと今でも思い出せる。行き帰りの体験も含めて、絶対に忘れられないです。

③引っ越しについて
私めちゃくちゃ引越しが大好きで、大学で上京してからは今の家が4軒目。できるだけいろんな土地、街に住んでみたくてよく引っ越してます。賃貸の更新をしたことがなく、いつも更新のたびに引越してしまうのですが、今住んでいる場所はとても好き、人が温かい街で、初めての契約更新になるのではと思っています。
それから、なんとなく引っ越しの時にいつもするのは、缶のコーラを飲むこと。コーラはあまり好きじゃないので普段は飲まないし、ジュース飲んじゃダメな家庭だったので飲む習慣もないのですが、小学生の時に真夏にマンションから引っ越して、その時だけ家族みんなで缶のコーラ飲んで、それがなんだかすごく美味しくって。それから引っ越しの度にコーラを飲んでいます。

④プロジェクトに参加して考えていること
自分は圧倒的にマジョリティに振り分けられるんだな、ということを最近よく思います。もちろん、身体的に女性であるという点で職場や街や色んなところで嫌な思いをすることもあるんだけど、でも自分は性自認も女性で、異性愛者で、それなりに楽しい人生を今まで送ってきていて、生来のものか周りの環境かはわからないけれど、アイデンティティについて深く悩むことがなかった。女性というカテゴリの中で見るとマジョリティだし、無自覚にそれに甘んじていることとか絶対あったよなと思います。絶対に配慮が足りない瞬間とかあったし、それを思い出してすごく後悔している。
なんかそう考えると、生きているだけで誰かにとっては加害的な存在なのではないかとか思ったりするけど、そんなこと言ったら究極人類全員引きこもるしかなくなってしまう。そうならないために、しんどいけど考えることを辞めてはいけないと改めて思っています。
あとは、これはどんな作品でも思うことだけど、自分がこの題材・作品を演劇でやる理由は何だろう、演劇という媒体を通じて自分ができることって何だろうと考えている。

次は…南風盛さんですね!
南風盛さんは、これまで住んだ街で面白かったところはありますか?

あと、これは全然どうでもいい話なんですが、今回の出演者、私以外みんな苗字がは行なんですよ!は行の方がこんなに集まるの珍しいのでは!と思って!
(っていうのをずっと誰かに言いたかったので、ここにひっそりと書いておきます。)

渚まな美 2024.07.26 

渚まな美
主に俳優。時々踊ったり歌ったりする。
高校時代に演劇を始め、高校卒業後から現在までフリーで活動し、果てとチーク、スペースノットブランク、キ上の空論などの舞台作品や、『ミューズは溺れない』などの映像作品に出演。

🦐書簡③ 南風盛もえ【以下8/12追加掲載】

リレー書簡の折り返し、3番目です。『ours』は『theirs』より出演者が1人多い、というところにもリクリエーションのやりがいを感じています、どうぞよろしくお願いします。

①子供の頃にした自由研究
往復書簡のテーマが発表されてからずーっと記憶を辿っているのですがほんとうに全く微塵も思い出せず、、、当時オオゴマダラの観察が自由研究用の流行りだったのは思い出したのですが、自分が何したのかはさっぱり抜けてます。
子供の頃の夏といえば、毎年の夏休みと冬休みに新聞社が主催する習字コンテストみたいなものがあって、最優秀賞は新聞に自分の書いた作品が写真で載るのでそれにすごく憧れていました。書道教室に通っていて字を書くのも好きだったので、夏はそれに情熱を燃やしてました。

②忘れられない観劇体験
もう解散した劇団なのですが大阪の若手劇団があって(当時大学生だった私と作・演出の方は同じ年齢で、劇団員の方々も同世代でした)、そこが発表する作品以上に演劇を観て苦しくなることは今もなかなか無いです。友達が出演しているのをきっかけに足を運び、演劇を生きる手段とする現実に衝撃を受けました。その劇団の作品はいつも不幸のてんこ盛りの物語で救いもほとんど無くて、演劇の皮を被ったとてつもない叫びを聞いているようでした。人間がライオンに喰われるシーンとか、屍の上でホイミを唱え続ける女の子のシーンをよく覚えています。大学生時代に唯一、私に客演のオファーをくれた劇団でもあったので、いろんな感情や思い入れが今もとてもあります。

③引っ越しについて
物心ついたときから、買う時は捨てる時・繋ぐ時は離す時、みたいなことを考えてしまう性格でして、引っ越しも同じく入居の時に退去の時ことを考えてしまいます。まだ1日も住んでないのに、この次はどこに住もうかなぁ、みたいな。
渚さんからの質問「これまで住んだ街で面白かったところはありますか?」、街というか家の話になってしまいますが、上京して最初に住んだアパートが墓地の隣で、かつ、大家さんが住職さんでした(墓地・お寺・アパートが1つの敷地内にありました)。毎日のように喪服の人々や新しい仏花、お線香の煙を眺めていました。大家さんの癖がマジで強くていつ呼吸してんの?ってくらい隙なく絶え間なくずーーーっと話す人で、こちらにターンがまわってくることは永遠に無いので、用事の際は大家さんが話してる上から被せて話して主導権を取り合い、2人とも同時に話してるような状態でした。そんな大家さんが、正装で、静かにお経をあげてるのを眺めるのもなんか良くて、その時だけ大家さんのこと好きでした。

私は買う時に捨てる時のことを考えると書きましたが、人の「捨てたい」「手離したい」「(いらないから)あげたい」になんだか興味があるなぁとここ数年思ってます。
4番手のみちさん、みちさんは私に「みちさんの持ち物から何かいらないもの下さい~」と言われたら、何を渡しますか? 私の好みとか実用性とかリアクションは全く考えなくていいです!!!

④プロジェクトに参加して考えていること
10代の頃、学校の教室の中、更に女子のコミュニティの中での自分の立ち振舞いが、今作において、自分のもつ鍵みたいな気持ちです。
簡単には抜け出せない・土俵から降りれないような場所でのこと。処世術のはずだったのに自分の本質みたいになってしまったこと。人の為にやると人のせいするの違いのこと。あなたがやりたいことがやりたい、という人のこと。自分を傷つける人にも愛される場所があり、自分も誰かの世界では悪人ということ。演劇を見に行くとき、演劇に優しくされたいのか?救ってほしいのか?はNOだなということ。

南風盛もえ 2024.7.30

南風盛もえ
沖縄県生まれ育ち。こまばアゴラ演劇学校"無隣館"3期生終了後、2019年劇団青年団に入団。

🦴書簡④ 古川路

古川路です。

①子供の頃にした自由研究
ありとあらゆるキッズ向けのワークショップに連れられた幼少期を過ごしたので、通年で自由研究をしていたような感覚があります。夏休みの宿題としての自由研究だと二眼カメラを作って多重露光の写真を撮って写真集を作ったのは覚えています。

②忘れられない観劇体験
趣旨と異なる回答で申し訳ないですが、小中高大の計4回、学校行事で『勧進帳』を観劇していて、さすがに忘れられないです。

③引っ越しについて
物心つく前から、正確な回数が分からないほど引っ越しています。いわゆる“地元にある実家”が存在しないので思い出の品系の私物はかなり少なくて、その身軽さは気に入っています。

南風盛さんからの質問『私に「みちさんの持ち物から何かいらないもの下さい~」と言われたら、何を渡しますか?』
2つ持ってる(被っている)ビー玉の1つ。
自分の持ち物から渡すということで“迷惑のかからなさ”と“気負わせない程よいガラクタ感”を基準に今回はビー玉にします。
まだ関係性の薄い人に対しては、持っていたフリをしてその人に似合う何かを用意すると思います。

原田さんに質問です。
自分が人間以外の動物だったら飼育下にあると思いますか?野生に暮らしていますか?

④プロジェクトに参加して考えていること
TeXi’sの創作で長くテーマにしてきたことを、今回は少しだけ大きく掲げています。基本的に普段と変わらない創作過程を踏んでいますが、表層に立ち上がるものがその分少しだけ違って映るかもしれません。
演劇。私たちの住む国について、その生活、のミクロをなぞる営みのこと。舞台の上には常に豊かさと貧しさがあって、嘘と誠実があって、選択の責任が生じ続けます。俳優として、生活者として、眼差すことは忘れずに励みたいと思っています。

古川路 2024.08.04

古川路
TeXi’sの劇団員。
大学在学時よりテヅカ作品に出演。

🕊書簡⑤ 原田つむぎ

こんにちは。ours版リレー書簡ラストの5人目、原田つむぎです。
今回は初めてご一緒する方が多く、ゆっくりお話する機会もまだそれほどなかったので、それぞれの文章を読んで少しだけ皆さんのことを知れた気がして嬉しいです。

①子どもの頃にした自由研究
確か自由研究ではいつもお題を考えるのに苦労していました。「他の人にすごいと言われたい」とか「子どもっぽいと思われたくない」とか、見栄っ張りなところがあり(今も変わらずですが笑)、なんかすごそうなお題にしてはみるものの実際には結局タイトル負けする内容しか提出できず。優秀な自由研究はクラス代表としてコンクールに出されていた記憶がありますが、そういうのには一度も選ばれなかった気がします(記憶が曖昧)。今思えば、子どもの頃は自分が子どものように扱われることがすごく嫌でずっと背伸び状態、その時にしかない感性を押し殺していたのかもしれません。いや、でもそれも含めて当時の自分とも言えるのかな。なんだか自分も大人になって、素直な子どもの発想とかに感動しがちなのですが、それこそ子どもは子どもらしくあれと押し付けているのではとか、書きながら思ったりしました。でもやはり自分ができなかった素直さみたいなものには憧れているところもある。

②忘れられない観劇体験
結構ありますが、強いて言うなら高校生の時に深夜のBS放送で演劇をテレビ放送していたのを夜更かしして観ていたことでしょうか。観劇とは言えないかもしれないですが……。
田舎に住んでいて実際に足を運んで観られる演劇が限られていたので、東京などで上演されている作品を知れるのが有難かったです。面白い演出があったらメモしたり、気に入ったセリフ回しを自分でもマネして声に出しながら観たりして。
たまに途中で寝落ちしてしまうこともありましたが、映像でもずーーーっと目が離せない作品もあり、家族が寝静まった後、暗いリビングで怖さと戦いながら(なんか実家の夜は怖くてトイレとかあんまり行きたくなかった)夜中3時くらいまで観ていました。

③引っ越しについて
去年、9年間住んだ東京の部屋から引っ越しました。もともと片付けやものを捨てることが大の苦手で、9年の蓄積をどうにか部屋から出すということはめちゃくちゃストレス。全て持っていくことは現実的ではなかったし、色々気持ちも整理したかったのでものを減らす決意をしました。が、ものと思い出がセットなので、捨てようとするたびに手に入れた時の景色が浮かんで苦しかったです。自分一人ではムリだと思い、得意な人に頼んで手伝ってもらったりもしましたが、たまに「それは捨てたくない~!」と泣きそうになったりキレそうになったりして本当に申し訳なかったと思います。付き合ってくれた人たちには感謝しかありません。

④プロジェクトに参加して考えていること
今回のテーマに取り組むにあたって、稽古場ではある程度目標を共有した状態で集まっていることや、皆さんの心遣いにより、個人的には自分の考えや疑問を安心して話せる有難い環境に感じています。とても嬉しく思うと同時に、普段は町の仕事をしていることもあり、とにかく誰にも刺激を与えないように言葉や行動を選んで自分の主張を無意識に抑え込んでいること、タブー視されて話すことすら許されない話題や場の雰囲気がまだまだ相当あるということに気付く瞬間がより増えました。そこに順応している自分のふるまいをまずは変えていきたいと、プロジェクトメンバーから力を貰いながら、今回のタイトル『ours』の、「わたしたち」と自分が口にしたとき、今の私の範囲ではそれはどこまでだろう、増やすことはできるのだろうか、そんなことを考えています。

路さんからの質問に答えます!
自分が人間以外の動物だったら...どうだろうなあ、野生では暮らしていない気がします。
飼育されながら、世話してくれる人にはある程度の愛着も持っていそうです。だけど現状に不満もあり、抜け出したいと思いながらも情が湧いているからいつまでも決断ができないような。

最後に宝保さんに質問です。捨てたり、手放したりして、ずっと後悔しているものはありますか?またはその逆でも良いです!(手放してよかったもの)
私は思いのほか思い出や愛着や情に支配されているような気がする、と書きながら思ったので、参考までによかったら教えてください。

原田つむぎ 2024.08.09 

原田つむぎ
福島県出身、在住の俳優。東京デスロック、ヌトミック所属。2023年より福島県国見町の地域おこし協力隊に就任し、町のPRや演劇を通じたまちづくりにも取り組み中。

🙌書簡⑥ 宝保里実

こんばんは!リレー書簡、皆さんの文章とても楽しく拝読しています。
放射線状に広がる交換日記みたいですね。違うか。

原田さんへ
ずっと後悔しているもの、考えたんですが、思いつかなかったです!
絶対にあるはずなんですが。かなり忘れっぽい性質でして自分が、物に対して愛着や情があるにはあるんですが、手放したら手放したで即忘れる薄情なところがあります。
愛着や情があること、とても素敵だと思います。物の価値って、それに纏わる思い出とセットでつくものだと思うので、それが沢山あるということは、本当に素敵なことだと思います。
全然関係ないんですが、孫GONGというラッパーがニートtokyoというYouTubeの番組で「人生で一番やめて良かったこと」に答える動画があるんですが、面白いのでおススメです。

最近、稽古を進めていて、誰かが話を聞いてくれている状態というのは須らく嬉しいものだなということをぼんやり思っています。すごい普通というかなんそれみたいな話なんですけど、演劇におけるキャッチとリリースって、ミクロでもマクロでも、意外とちゃんと聞いてないと成立しなかったりするのに、自分がこんなにも楽しくしょうがないのは、ものすごく周りの皆さんがキャッチしてくれているからだということを、ともすると楽しさ余ってすっかり忘れてしまう瞬間あるよなぁとか。
ありがとうございます。話を聞いてもらえるのがこの上なく嬉しいです。
わたしも聞きます。急に、こわいですね何か。ごめんなさい。ごめんなさいより、ありがとう。なんそれ、別に謝ったって良いじゃないですか。ね。

渚さんへ。
普段話しているときの、発語の癖ってありますか?自覚的なもので。例えば、話し始める時に小さく「あ」って出しがち、とか。話し終わりの最後の方、相手が乗ってきやすいかなとか思いながら微妙にゆっくりになるとか。何か、ありますかね。
全然興味なかったら、昨日食べたご飯の話とかも聞きたいので、大無視してください。

宝保里実 2024.8.11

💐書簡⑦ 渚まな美

すごい!2周目回ってきた!

みなさんの文章面白く読みました。
誰かの話を聞くのもそうだし、誰かに話を聞いてもらう状態も嬉しいですよね。

発語の癖!昨日の稽古でその話になりましたね。
私は、「なるほど」と言ってしまうのが癖ですかね…
私としては、「へー!そうなんだすごい!!」とめちゃくちゃ納得・同意していたり、(私は自分の思考をまとめるのに時間がかかるので)相手の話を整理して次に自分が言うことを頑張ってまとめていたりするのですが、よく「なるほど」と言うのは相手の話を聞いていない証拠みたいなことを言うので、あまり言わないように気をつけています。でも言っちゃうんですけどね…
前働いていた会社でSlackを使っていて、Slackって自分で作ったスタンプが追加できるんですが、その中に「なるほど」の対義語として、「なるほだない」というスタンプがありました。
相手の言葉に「納得できない!!」と強く反発する訳でもなく、緩やかに自分の不同意を主張できる言葉でいいなと思いました。布教していきたい。

最近は「素敵!」を口癖にしようと頑張ってます。

さてさて、話は尽きないのですが、公開期限が迫っているとのことですので、この辺でお開きにしたいと思います。
公演まであと少し、稽古たのしく頑張りましょう!

渚まな美 2024.08.12

🏘次回公演|TeXi's ファジー「ours」

ふぁじー[ファジー](名・形動)概念内容に度合いの選択の余地がある。あいまい。
三作品を通じて個としての「あなた」に向き合います。

三作品を通じて個としての「あなた」に向き合います。
『ファジー』は男女二元論が生み出してしまっている「加害性」について考える1年間のプロジェクトです。リクリエーションを重ねながら3つの上演作品を発表します。

1作目『theirs』では、男性が背負っている加害性を表面化し、その先にある人間として誰もが持ち得る普遍的な加害性を描きます。
2作目『ours』では、女性も背負っている加害性を表面化し、加害を生み出してしまっている社会構造を描きます。
そして、3作目『yours』では全キャストでの創作を行います。

私たちは、常にその時々の「今/これから」を発表します。
声を上げ続けることを、声を聞くことを、「あなた」との対話を、続けてみます。

最後の上演、『yours』に辿り着くまでの数ヶ月の間にも、社会はあらゆる意味で変化していくことでしょう。
客席に座るあなたは、何を感じるでしょうか。

クリエーションメンバー
上沢一矢/天野天音/新垣亘平/いとうすずらん/植松侑子/緒方稔記/河野遥/黒澤多生/櫻内憧海/佐々木ラッコ/テヅカアヤノ/渚まな美/南風盛もえ/原田つむぎ/日和下駄/深澤大青/古川路/宝保里実/松尾祐樹/松﨑義邦

👁公演情報

TeXi's ファジー「ours」
日付:8月21日(水)〜8月25日(日)
場所:STスポット

作・演出:テヅカアヤノ
出演:古川路(TeXi’s)
   渚まな美
   南風盛もえ(青年団)
   原田つむぎ(東京デスロック/ヌトミック)
   宝保里実(コンプソンズ)

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