④Jesu公式ページが間違っている法律見解の解説 実際の景表法からみてみる。

この記事から開いた人は、前回の記事
Jesu公式ページの消費者庁回答文章の読み進め方③ この文章は実は、10秒で速読できる内容。
https://note.com/tetugakunohito/n/nec26ca5c9e6a
から見てください。

では 前回の記事から、④の記事では、実際に起こった景表法の判例の事件を見て賞金競技大会というのは景表法の法律の抵触にどのくらい近いのかをみていきましょう。

判例はあくまで裁判となった事件であり、
裁判にならなかった事件はこれ以上にあると考えるのが妥当です。

まず以下の判例サイトで
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/050/010050_hanrei.pdf

景表法 or   景品表示法 で検索 
33件ヒット

事件名を見てみますと
損害賠償 不正競争防止法 広告差止等請
という名称が並んでおり、
一番古い事件はどちらでもヒットした事件の
昭和49年となっております。
44年間の間で33件の事件が起きてます。

さらに 上の検索にAND検索で、
賞金 or 贈与 or 懸賞の検索をかける。

ヒットする事件は4件

知的財産裁判例
平成29(ワ)6322  損害賠償請求事件  著作権  民事訴訟
行政事件裁判例
平成25(行ウ)782  行政文書不開示処分取消請求事件
知的財産裁判例
平成25(ワ)30183  発信者情報開示請求事件  不正競争  民事訴訟
行政事件裁判例
昭和55(行ウ)55  近鉄特急料金認可処分取消等請求事件

知的財産は 特許などの人のアイデアに関わる法律の事件、
行政の事件を見ると
一番下は近鉄特急と書かれている、
上から2番目は何かわからないので見てみる。
「民事再生法」 のことが書かれている。

では実際の事件で景表法の不正競争防止法に関わるものを
2つほど、見てみよう。

景表法判例 ドラッグストアの景品表示のチラシ

景品表示法判例検索より
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/050/010050_hanrei.pdf

平成14年(ネ)第1413号 不正競争防止法に基づく損害賠償等請求控訴事件 平成16年9月29日判決言渡,平成16年7月7日口頭弁論終結(原審・東京地方裁判所平成13年(ワ)第10472号,平成14年2月5日判決)

事件概要
ドラッグストアの販売競争に関わる事件
広告で仕入れ原価より最大30%安い値段で商品を掲載し続け、
他の周辺小売店に深刻な被害を与えた事件

チラシの配布状況については,被控訴人ダイコクは,1回のセールにつき,当該セールが行われる地域の全世帯に行き渡るに足りる20万部ないし30万部新聞折り込みチラシを配布している。
販売価格に全く転嫁せず仕入価格のままで,さらにその品目の約10%以上については仕入価格より更に20%から30%以上も廉価(安い値段)で,それぞれ「継続して」,広範囲に販売し,他の有力小売業者の対抗廉売(低価格競争)を誘発しつつ,他の小規模小売業者,とりわけ控訴人の非株主店については顕著に,その事業活動を困難にした。
被控訴人ダイコクの大量の販売量の長期にわたる継続的な「原価セール」により,周辺小売店の被害は,極めて大きかったと推測できる。
一般消費者に配布する販チラシに「ファイト一発!!でおなじみの大正製薬の協力により仕入価格で販売!!」と
表示したが,被控訴人ダイコクの「原価セール」協力した事実は存在しなかった。

その他の事件では、

ヤマダ電機の景表法裁判
事件番号 平成13(ネ)46
裁判年月日 平成14年7月15日
裁判所名・部 名古屋高等裁判所  金沢支部
被控訴人がした比較広告は,「100満ボルトさん○○円を,ヤマ
ダは更に安くして○○円」とか,
「100満ボルトさんの○○円を,さらに安くして
○○円」などと表示する。 

など、小売業者の販売戦略に対して裁判が起きるというのが、
景表法の判例から見て取れます。

あくまで大型小売業者が裁判となった判例であり、
小さなゲーセンや、興行での競争賞金で起きた
刑事事件があるかどうかはまた別の話です。

eスポーツの賞金競技ゲーム大会で 景表法に抵触する行為は、
見に来た観客を盛り上げ、盛り上げた状態で商品の値段表示をお得だと感じさせ、購入させた後、実際にはお得じゃなかったという明らかな、
その場の高揚感による表示価格の操作による悪意がある場合です。

販売誘導の悪意を持たない場合、違法性が発生しない法律です。
しかしながら適正価格で宣伝するのは、企業として当然の宣伝方法です。

景表法4条に抵触するようなeスポーツ賞金競技大会を開くと悪意を持った場合、メーカーは興奮した客に「価格を釣り上げた自社のゲーム」を
販売することでしょう。そういうことをしなければ、興行性のある競技大会で景表法に抵触することはありません。



ソシャゲの賞金競技大会で 興奮した客に課金アイテムを買わせやすい状態にするのは景品表示法にかかりやすいのではという指摘は確かに分かります。

そのことについて、有志のブログの消費者庁回答より
https://note.mu/svkumao/n/n66227e28d98d
簡単な質問回答の形式です。

①番の質問がソシャゲの賞金競技大会についてのことですね。

回答「実際にソシャゲは無料ゲームのほうが景表法に付随している可能性が低くなるが、一律に無料なら可、有料なら不可という話ではないと」述べています。

この消費者庁回答で興味深いのは「まず、大会自体が仕事への報酬として認められるかの判断が先にあり」と書かれており大会を行った以上まず「仕事の報酬」を払いなさいと言っていることです。

格闘ゲームの賞金競技大会なら、景品表示価格を不当に操作して販売するといった行為は、悪意がなければ決して起きない。
それどころかソシャゲの賞金競技大会でさえも課金アイテムによる景表法抵触の危惧よりもまず、競技大会が行われたなら、「仕事の報酬」の支払いを優先するべきと 消費者庁は回答で言っているのです。


次回の ⑤ では、

https://note.com/tetugakunohito/n/n3c6694b05206
jesuの公式ページを始め、eスポーツ業界では、
「Jesu公式ページのプロライセンス制度の法律理解が「リスク回避」がリスク回避なっていない問題。」ということについて、言及をしていきます。