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[2021年3月16日火曜日]諦めるとは

 あのリンゴの木に登って。
 リンゴが取れなかったら、諦めよう。
 そう決めていたのに。
 今、私は、リンゴのことなんか忘れて。
 遠くに見えた、羊羹の洋館に向かっている。
 いったい、『諦める』とは?

肯定
 最近というより、常にそうなんだけど。
 物事が思い通りに進まなくてね。
 
 ちょっとした計画を立てた時。
 これがダメだったら諦めよう。
 そう決めて、取り組んだことがあったんだ。

 それで、その計画は失敗に終わって。
 きっと、ここで『諦め』という景色を見ると。
 思っていたんだよ。

 でもね、今、見えている景色は。
 ほんの少し、想像していた『諦め』とは違った。
 計画は上手くいかなかったし。
 やり遂げたけど、結果は出なかった。

 少し変な話だけどね。
 そう、相手にされなかった、という結果が出てね。
 やりきったけど、ダメでも成功でもない。
 中途半端で中間曖昧な結果だね。

 まあ、どちらにせよ。
 きっと、ここで『諦め』という景色。
 それを見るはずだったんだけど……。


テツガクちゃん
 それは、辛かったですね。

 ですが、今の肯定さんには。
 どんな景色が見えているのですか?

 不謹慎ですが。
 その景色が、とても気になります。
  

肯定
 ああ、今、見えている景色?
 それは、新しい世界かな。
 とても面白そうな何かが待っていそうな。

 リンゴの木に登って、リンゴを探したけど。
 リンゴは見つからなくて。
 疲れて、ほんの少し遠くを見たら。
 違う場所に羊羹の家を見つけた、という感じかな。

 諦める。
 しかたがない、と思い切り、断念する。

 リンゴを取るのを断念し、羊羹を取りに行く。
 その歩みは、『諦める』と本当に言えるのだろうか?


テツガクちゃん
 たしかに、それは疑問ですね!
 
 断念し、諦める。
 改めて考えると。
 諦めるということは、幻なのかもしれませんね。


肯定
 そうかもしれないね。
 何もせず、断念してしまうことは。
 たしかに諦めた、ということになると思う。

 だけど、何かしてみて、それをやり遂げたのなら。
 それは、もう諦めるとは言わないのかもしれない。

 
テツガクちゃん 
 そのようですね。
 諦めるのではなくて、忘れるんですよ。
 
 リンゴの存在を忘れたふりをして。
 羊羹を取りにいく。
 それは、諦めるとは言いません。

 リンゴの木に登ったから。
 リンゴの不在を知る。
 だから、綺麗にリンゴのことを忘れることができる。

 もし、木に登らなかったら。
 ずっと、リンゴのことが忘れられなかったでしょう。
 そして、羊羹にも出逢えません。
 
 小さな視点で見ると。
 リンゴを得ることはできませんでした。
 それを受け入れ、リンゴを諦める。

 ですが、大きな視点で見ると。
 リンゴという美味しいものは得られませんでした。
 だけど、羊羹というリンゴを忘れられるほどに。
 美味しいものを見つけました。

 最終的に、美味しいものとは出逢えました。

 本当に欲しいものが何か。
 それに気づけたら。
 それが、リンゴでも羊羹でも何でもいいですよね。
 美味しければ、何でも。
 
 意外にも私達は、日々『諦め』という幻の影。
 その幻影に、囚われているのかもしれません。

 今こそ、洞窟の牢獄を抜け出す時です!
 洞窟に映る影の世界とは全く違う世界が。
 きっと、そこにあります。

 

  
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それでは、また次の機会にお会いしましょう。


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