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[2020年11月10日火曜日]反対になる言葉

 役不足。
 その役目が、軽いのか、重いのか。
 その意味が、正反対になっても伝わってしまう。
 そんな日本語には、何が正しいなどなく。
 使う自分だけが、葉に込めた意味を知っていればいい。
 冬の夜を知らせる、アサガオの葉だってあるのだから。


テツガクちゃん
 役不足。
 その役目が、軽いのか、重いのか。
 その意味が、正反対になっても伝わってしまう。
 そんな不可思議さ。


肯定
 不可思議だね。

 『湯水のように』。
 ショウジとセンサクの言い分は全く違ったけど。
 それでも、伝わってしまう。

 そもそも、この日本語の不可思議さ。
 それは、役不足以前の話で。
 
 はい、そうですね。私はそれが好きです。
 はい、そうですね。私はそれが嫌いです。

 いいえ、違います。私はそれが嫌いです。
 いいえ、違います。私はそれが好きです。

 『はい』と『いいえ』だけでは。
 その人の言い分は、全く伝わらない。
 英語だと考えられない、そんな不可思議さだから。

 日本語にとって。
 言葉の意味合い。
 そんなもの、あってなきが如しだよ。
 
 『存在と同時に存在しない』のさ。


テツガクちゃん
 そうかもしれませんね。

 ところで、肯定さんがあらわした表の面。
 その裏側に隠れている、心の情。
 その底には、他にどんな秘密が隠れているのですか?

 まだ、明かしていない、その例えを。
 今、この瞬間に明かしてしまいましょう。


肯定
 気づいてしまいましたか。
 そうだね……ちょっとした昔話を明かすよ。

 仕事ができて、懐が深い魚屋さんがいたんだよ。
 その人と仕事をした人は、その人を『神様』と崇めた。
 もちろん、悪い意味ではなく、尊敬の念の表れ。

 だけど、その魚屋さんは言ったらしい。
 
 仏様扱いするなよ、まだ俺は生きてらぁ。

 そんな話を身内から聞いて。
 なるほどな、ってね。

 こちらの想いと、相手の想い。
 それらが、違うのは当たり前に然り、当然なことだけど。

 それは、想いを託す。
 言の葉も同じ事で。

 赤いもみじの葉のが秋を伝えるものとは限らず。
 桜の葉が春の終わりを告げるとも限らず。
 アサガオの葉が冬の夜を知らせることもあり。

 日本では言の葉に、意味は宿らず。
 その葉を送る、その主だけが知っている秘密。
 そう気づいた昔話があったな。


テツガクちゃん
 日本語は、とても不可思議で面白いですね。

 うがっている。
 褒め言葉の一つも。
 使い手によって、簡単にその意味がひっくり返る。

 心変わりを繰り返し。
 反対の反対の反対の反対の……。
 終わることなく、それが続いていく。 
 
 もはや、これが正しい形。
 それに、こだわる事が馬鹿らしく思えてしまう。
 
 だって、そうじゃないですか?
 何が正しいのかなんて、わかりようがない。
 そんな言語なのですから。

 ただ、自分が使う。
 その言の葉の意味。
 それだけ、わかれば十分じゃないですか。

 不可思議に面白く、歪んでいくのなら。
 好きな形に歪めてしまいましょう、ホトトギス。
 それでこそ、『トーチソング』です。
 空回りして、すべって、ひかれて、歪む。

 あなたはどう歪めますか?


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それでは、また次の機会にお会いしましょう。


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