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[2021年1月12日火曜日]ステーキを焼いて待っている

 全てがどうでもよくなって。
 幽かに、本当に幽かだけど。
 何か、自分の本心が本音で。
 これは、最高だ、と。
 誰かに認められなくても思えるもの。
 遂に、それが信じられるようになった時。
 待ち焦がれた、『世界の始まり』がステーキを焼いて待っている。
 誕生パーティーを開くために。 


肯定
 昔、紅茶を飲んでる、『世界の終わり』に出会った。
 あの時のように。
 どこか変だな、と幽かに感じている。
 今、この瞬間。

 きっと、その感覚も。

 ちょっとゆるやかに。
 だいぶやわらかに。
 かなり確実に変わっていくだろう。
 積み重なっていくのが、わかってたんだろう。
 
 その先で、待っているのは――。


テツガクちゃん
 ステーキを焼いている、『世界の始まり』ですね!
 
 肯定さんはいつから。
 『世界の始まり』が、ステーキを焼き始めた事に。
 気づいたのですか?
 

肯定
 まだ、それが本当か。
 それは、わからないけど。
 かっこいい英雄さんに、憧れを感じなくなった時かな。

 1%に賭けて。
 99%の逆風を楽しんでしまう、ヒーロー。

 凄くかっこいいし。
 成し遂げると思うし。
 そうなって欲しいと思っている。

 でも、もう憧れは感じない。
 凄くかっこいいけど。
 僕には、その真似ができない事。
 それを知っているから。


テツガクちゃん
 真似をする必要なんてないと思いますが。
 肯定さんには、何ができないのでしょうか?
 1%に賭ける事ですか?


肯定
 僕にできない事はね。
 全てを楽しむ事。
 それは、僕には無理。

 1%に全てを賭ける事。
 それは、今まで、0でも全てを賭けてきた。
 そんな僕達には、賑やか過ぎる数字だよ。
 だって、1もあるんだもん。

 事実、今、この瞬間だって。
 やっぱり、0さ。
 だから、これからも。
 この0に賭けるよ。


テツガクちゃん
 たしかに、私達は0に賭け続けましたね。
 まるで、世界には私達しかいないような。
 そんな日々を積み重ねてきました。

 それに比べたら。
 1%は満員御礼のライブハウスですね。
 賑やかで楽しそうです。

 0の中で全てを楽しむ。
 それは……英雄さんにだって。
 難しい事かもしれません。

 ですが、それは、どうでもいい事ですね。
 トタン屋根の上に。

 何も楽しくない、何も楽しめないから。
 出会える何かや、できる事もありますから。
 

肯定
 そう、放り投げてしまえば。
 アイスクリームみたいに溶けてしまうね。

 僕達は。
 紅茶を飲んでいる、『世界の終わり』に出会った。

 そのお蔭で。
 可能性を含む数字が0になったけど。
 数字が表す事ができるのは。
 ただの幻想だから。
 可能性とか数字とかもどうでもいい。

 今の僕は、何も楽しめないけど。
 どうでもいい。
 英雄さんのようにできない事も。
 どうでもいい。
 この先も、成功なんてしないだろうけど。
 どうでもいい。
 今までどおり、零が行進する道を歩き続けるのだろうけど。
 どうでもいい。
 きっと、君達には永遠にわからないだろうけど。
 どうでもいい。

 全て、どうでもいい。
 幽かに、本当に幽かだけど。
 何か、自分の本心が本音で。
 これは、最高だ、と。
 誰かに認められなくても、そう思えるもの。
 遂に、それが信じられるようになった時。

 楽しいとか楽しめない事とか。
 面白ほどに、全て帳消しになる。

 そこで、『世界の始まり』が。
 ステーキを焼いて待っている気がする。

 きっと、僕達は。
 待っていてくれた、『世界の始まり』すら。
 追い越してしまう速度で、突き抜けるから。
 誕生パーティーには参加できないけど。

 きっと、あなたなら。
 誕生パーティーまでには間に合うでしょう。

 どこか変だな、と。
 首をかしげ立ち止まった、分かれ道。
 待ち焦がれた、始まりと終わりが待っています。
 そのどちらに出会っても。
 それは、最高な事です。
 
 その二人に出会った僕らは。
 そう思います。


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それでは、また次の機会にお会いしましょう。


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