『クール・ランニング』を見て思い出した


 はーい、テツガク肯定です。


 最近、放送された『クール・ランニング』を見て。
 いろいろ思い出したことがあります。


 まず、私が初めてジャマイカという国を知ったのがこの映画でした。
 随分と遠い遥か昔、海賊の話にはかかせないキングストンが首都のジャマイカを知らずに。
 この映画に出会ってしまった、当時の私は。

 ジャマイカってボブスレーが強いんだと本当に思いました。

 その後、陸上で圧倒的な速さでぶっちぎるボルトさんが現れる前に。
 この映画が私にジャマイカという国を教えてくれました。
 ボブスレーが強い、という不思議な印象と共に。


 今回の放送で、私がこの映画を観たのは2回目ですが。
 たった1回しか観ていなかったのに、その印象はしっかりと残っていました。

 昔、雪の降らないジャマイカって国で、ボブスレーをする映画があったな。
 サンタクロースのそりみたいなやつで、頭文字Dみたいなことをするやつ。

 学校で受けた授業のことは忘れても、ジャマイカとボブスレーを。
 たった2時間も満たない映画で、何十年も忘れさせないなんて。
 とんでもなく、いい映画です。


 さて、いい映画には新しい発見もあります。
 少し事情を説明しますが、主人公たちのコーチはボブスレーの金メダリストでしたが。
 不正行為をしたという事実があります。

 彼いわく、不正行為をした理由は。

 勝ちたかった。
 それが目標で、そう決めた瞬間から使命になる。

 それに主人公は最もな疑問符を飛ばします。

 金メダル2つで十分だろ?

 それに対する返しはこんな感じです。

 金メダルは素晴らしいものだ。
 だが、メダルを取っても。
 自分には満足できない。

 主人公はどうして満足できないのか、を訊ねますが。
 コーチが残した言葉は。
 
 ゴールラインを超えた時、きっとわかるって言って立ち去ります。


 コーチが主人公とこの話をする前に。
 彼らの妨害をしようとする、コーチの師匠と競技委員長に向かって。
 自分が犯した過ちを明かし、同じ過ちをしないように告げます。

 裏切った自分を失格にするのはかまわない。
 だけど、主人公たちには関係ない。
 
 予選の条件をクリアして、国を代表する権利を手に入れた。
 例え結果が50位になっても関係ない。
 国旗を持ってスタジアム行進する、世界中の競技者にとってこの上ない名誉だ。
 それがオリンピックの意義だろう?
 俺はそれを忘れてたんだ、同じミスはしないでくれ。


 この二つのやり取りには。
 1回目に観た時には気づけませんでした。
 そして、私もオリンピックの意義を忘れていました。

 もちろん、私には全く関係のないことですが。
 よくよく考えれば、夏季でも冬季でも。
 そこに出場できる選手がこの国にはいます。

 ジャマイカの陸上は最強ですが。
 冬季の時期は、自国の選手が参加していない。
 そんな事実があるのかもしれません。


 参加することに意義がある。
 ナンバーワンよりオンリーワンってのは。
 今では笑われ、嫌われる言葉ですが。

 オンリーワンと対のナンバーワンだって。
 同じようなものです。
 それならば、欲張りにオンリーワンのナンバーワン、ダブルワンってことで。

 雪のない国で、練習期間も少ない中で、その場に立った。
 雪に覆われた国で、3年近く歴史と期待と勝利の重圧を背負って、その場に立った。
 小さな島国で、曖昧な何でも屋のような当たり前に振り回されながら、その場に立った。

 それぞれの事情で、そこを行進するってことを。
 思い出しながら、見えない事情を勝手に想像して。
 同じ何かを感じよとする、共感の時間は。
 メダルの有無よりも重いのかもしれません。


 最後に。
 北京オリンピックのボブスレーにジャマイカチームが出るそうです。
 今でもジャマイカのボブスレーは強いようですね。
 かげながら応援しています。

 それから、遅れましたが、ありがとうございました。
 『クールランニング』、今観ても、最高でした。


 それでは、また次の機会にお会いしましょう。





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