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記憶の紙魚

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雨森が集めた怪談。 こっそり怪談イベントの感想も。 ※朗読や語り利用されたい方はご連絡ください。 内容の肉付け含め相談OK。勉強中のため無償です。
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#ブレーキ

呼応蛇

静枝さんは車で仕事に向かっていた。 河川の両脇に土手があり、そこの車道を走る。 この道は一方通行で、車1台分の広さしかない。 この時、静枝さんの視界にはあるものが見えた。 潰れた蛇の死骸だった。 ちょうど右のタイヤが通る延長線上に、細長い黒い物体。 まわりに赤黒いシミを作っている。 --避けないと。 すでに無惨な状態。これ以上死骸を轢くはないだろう。 彼女はそう思い、少しだけハンドルを切った。 ガッ 死骸は避けたはずだが、車体が大きく傾く。 ガガッギチッ 連続して

ユーズド

コスプレ衣装や備品等を貸し出す商売をしている、浜田さん。 彼の仕事は、大々的には書いていないが24時間対応をしていた。 深夜の収録などにも贔屓にしてもらっているため、いつでも倉庫に行けるように車を用意している。 この日は、26時頃に収録で使いたいと急な依頼が入った。 すでに時間は24時半。 倉庫での受け渡しだったが、時間があまりない。 彼は慌てて車に走った。 しかし、ドアが開かない。 鍵はオートキーで、近付けば解錠されているはず。 時間もないので確認もせずに鍵を鍵穴に突っ込