痛みとQOL

　軽い運動でも始めようと思う。過去、色々な怪我や病気で運動が出来ない期間がとても長く続いた。

　健常な体がうらやましい。別に体力や筋力がなくても健常な体であれば、後は「やる気」だけ。運動はストレス発散にもなるし血流も良くなるから健康維持していくには不可欠。

　自粛が緩和されたら運動を始めたい。私は傍から見たら健常に見える、これがとても難儀。私の身体は見た目よりも健康ではない、そして日本は痛みに対して後進国。最近やっとペインクリニックが多くなってきたと思えるくらい。

　痛みは人によって表現がとても難しい。自意識過剰（表現がオーバー）な人たちは少しの打ち身で騒ぐ傾向にあるが、本当の痛みって動けないし声も出せないですよね、誰にも痛みは分らないから我慢しかない。

　先進国では痛みがQOLを低下させることを重要視していて、痛みのコントロールを行いQOLの維持や向上を図り、健やかな生活環境を手に入れる。この普通の生活が出来ると言う事がとても重要な事に気が付いてもらいたい。

　心臓病が原因なのか、小さい時から重度の片頭痛に悩まされていた。心臓の手術をした2ヵ月後、傷口がとても痛み出した、ドクターに聞いたが心臓は大丈夫だと言われ相手にされなかった。シャワーが傷口に当たるだけで声を押し殺すくらいの痛みが続いた。ペインクリニックを自分で調べ診察へドクターは私の皮膚の状態を見た瞬間にこれは酷い「今までよく耐えましたね」とやっと痛みをわかってくれた。即効性のある薬はないと言う事。診断名は「神経障害性疼痛（重度）」約3年間痛みに耐えた。その後も痛みは続いていたが我慢できる状態に。

　疼痛が治まっていくと同時に色々な関節が痛むことが多くなってきた。左右同時に出ることもありリュウマチも疑って血液検査もした。リュウマチではなかった。大きな関節から細かい関節まで痛む。両膝の痛みでは起き上がる事や足を動かす事も出来ないくらい痛む。痛みは約一週間で治まる。治まると次の関節が痛くなる。酷い時は毎週どこかの関節が痛かった。レントゲンも撮ったが骨には異常なしと言われるだけ。

　色々調べたが「多発性関節炎」という症状がピタリと当てはまる。痛風も疑ったが左右同時や一度に複数の関節に炎症は起きないと言う事。

　いつもより歩いた翌日には膝が痛み出す。これでは外出する気は失せる。買い物に行って重いものを運んだら手の指や肩の関節が痛む。このような状態が5年くらい続いた。処置は湿布と痛み止めしかない。痛み（炎症）がピークになる前に対処しないと効果が薄い事に気がついた。

　痛みに耐えるストレス、痛みが来るかもしれないストレス、運動不足からくるストレス、家に籠るストレス。筋力低下による体の不調。

QOLを向上させる事の出来ない負のルーティーン

　負のルーティーンから抜け出すため、軽い運動を始めようと思いジムへ通うが大怪我に繋がり、結果一週間だけとなる。大怪我により左腕一本全麻痺。あと6時間から半日遅かったら壊死が始まっていただろう危険な状態だった。今まで沢山の痛みを耐えていたために、ずっと痛みを我慢した結果がこれだ。

　神経麻痺は3か月、6ヵ月で判断する。3か月以内に少しでも動き始めると治る見込みが高い。6か月以内で動き始めたら半分。6か月過ぎても動かなければ見込みは少ない。リハビリを行い6か月が過ぎても動きは見えない。

　動かないショックよりも左腕全体にある激痛が問題だった。この激痛が続くのなら腕を切り落としたいと思うくらいの激痛。眠れない日々が1カ月過ぎたころ体に異変が、激痛と睡眠がとれないストレスから顔以外の全身に蕁麻疹。全身を引っ掻いて全身傷だらけ。不思議な事に引っ掻いている時左腕の激痛が緩和される。だめな事は判っているので、とにかくかゆみ止めを塗りまくった。約2年後まで掻きむしった跡が残っていた。

　この激痛。どうしても眠れない、睡眠薬を処方して頂いたのだが眠りに落ちてから激痛で起きるのに10分。しかし10分の睡眠でも脳は休めたに違いない一週間続けたら、蕁麻疹が引いた。その後睡眠薬は止めた。

　半年たつ頃には、激痛は続いているが痛みに体が慣れてきたように感じた。リハビリも半年がたち理学療法士も浮かない顔。リハビリ効果が見えないので自分でリハビリする事にして通院は止める。　

　とにかく動かす意識を持つ。説明が難しいが、例えばタイピングをする時に左手を見てタイプする（指を動かすイメージ）を持ちながら右手で左腕を動かす。イメージと動作を常に意識した。

　とにかく時間はかかったが、左腕全麻痺から4年半。タイピングをしている自分がいる。力は別だが9割回復している。痺れ（痛み）24時間続いていますけどね。

　痛みはQOLを劇的に悪くさせる。痛みは我慢するのではなくて対処できる痛みならばペインコントロールを行う事をお勧めします。