ハンドボールのプロ化が進まない理由とは
ハンドボールクラブは全国に点在しており、試合も全国を回る地方巡業スタイル。スポーツ自体も、バスケやフットサルに近いサイズ感で得点も割と入るし、シーソーゲームのワクワク感もあり、魅せ方によっては興行として成功しそうなスポーツに思える。
しかし、近年ハンドボールのプロ化に向けて改革を進めていたようだが、古参のクラブなどからリーグ非加入などの回答を受け、ほぼ失敗に終わっている。当時バスケのBリーグの成功を見ていた私は、ハンドボールのプロ化にも期待していたため、プロ化に反対するチームの理由がイマイチ理解出来なかった。ただ、リーグ戦を自分の目で観戦し、近くでチームの活動を目の当たりすると、少しずつ理由が分かり始めてきた気がする。
古参のハンドボールチームは、ある意味地域と密着しており、行政としっかり連携して、青少年の育成、地域のスポーツ振興を目的にしている。そこに「いかに利益をあげて地域に還元していくか」という理念はない。ある意味、教育機関や福祉としての役割を担っているのだ。経営者やビジネスマンとしては「利益や娯楽を地域に還元する」ことで地域は活性化する…という思考で考えがちだが、「市町村が開催するスポーツ事業を、企業とともに推し進めている地域のお祭り的位置づけ」になっているため、ビジネスとは全く別物と考えられている。そこには、なるべく地域の人々が気軽に参加できる場所、購入しやすいチケット代、地域の方々が運営に参加して親しみやすく、皆で作り上げている共同ボランティア的な側面が存在している。
つまり、ハンドボールというスポーツをメジャー化し、スターを生み出して集客し、地域の知名度アップを含めた経済活性化などは、一切望まれないことになる。逆にビジネスの話を持ち出そうものなら、自分たちのこれまでやってきた献身的な活動を全否定されたと感じて猛反発にあうことだろう。
地域振興もプロ化もお互いに大切にしている理念・目的があり、何がベストなのかはすぐに答えを出すのは難しいだろう。お金で買えないものを大切にする気持ちも分かる。ただ、人を思いやる気持ちから何かをしたいという想いは同じ源流のはずだから、いつかは方向性を調整しつつ融合していってほしいと思う。
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