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かわいい女の子になるための仮想現実入門

仮想現実。バーチャルリアリティ。略して「VR」。

Wikipediaの説明を見てみると、「バーチャル・リアリティとは、現物・実物(オリジナル)ではないが機能としての本質は同じであるような環境を、ユーザーの五感を含む感覚を刺激することにより理工学的に作り出す技術およびその体系」とあります。

Wikipediaだけではなく、ほかのサイトや百科事典などの定義でも、この「五感」というワードがキーであることがよくわかりますね。

しかしこれは、某VRMMORPG系アニメをはじめとした、驚異的な想像力をもって作られた独創的な「VR」の世界に毒された日本のオタクたちが思い描くVRとは少し距離があるのです。

インターネットに目を向けてみましょう。インターネットでは、昔から10代美少女と騙るきたないおっさんたちがたくさん生存しています。いわゆる「ネカマ」というものですが、実はこれってかなり日本のオタクが思い描く仮想現実とかなり近いことがわかります。嘘だと知らなければ、そのおっさんが放った「揺れたね……」というただの状況報告ツイートにもそれなりの価値が付くし、なによりそのおっさん本人も通常なら味わえられない承認欲求の快感を体験できます。

かなりひねくれた事例を持ち上げてもう申し訳ないが、今の仮想現実の進化の方向性である「実物に近い環境」ではなく、この「自分の存在の方をイジる」ことに注目した仮想現実を理想としている人間は一定数存在しているのです。特にこの日本では。

具体的に説明しましょう。

私は、「かわいいアイドルになって承認欲求を満たしたい」と思ったことがあります。同じ夢を持っている方は挙手しなくていいのでこの記事を最後まで読みましょう。

ただ性別を決める染色体で「Y」を持っている私は、その夢から遠い存在にいました。そこで私は「かわいいを体験できる仮想現実があったらいいなあ」と思いました。

その仮想現実に私が求めることは二つ。

一つ目は「周りの人々からかわいいと認識されていること」

二つ目は「自分が自分をかわいいと認識できること」

この時点で、「仮想現実」の定義とは一見、かけ離れた理想になってしまいました。一応一つ目の要望に応えてくれるサービスは一定数存在します。最近流行りの「Vtuber」や「VRChat」などでは、近い体験を実現できます。

ただ二つ目の要望を実現してくれる仮想現実関連のサービスは、私が知る限り存在しません。そしてそれを実現するためのテクノロジーも、かなり手の届かない場所にあります。

一応、「自己催眠で自分がかわいいと信じ込ませる」というオカルティックな方法があります。同様に、某アニメでも、「電磁パルスによって視覚情報を脳に入力する」という脳科学的な方法で没入的なVR世界を実現しています。

……怖いですね。

しかしそう考えると、「五感をイジる」面では、ちゃんと「仮想現実」の分野では一応あるんですよね。まあ今の社会が、「脳をイジる」と「五感をイジる」が同一概念であることを許せる社会ではないと思うんですが。

「仮想現実の最終形態は脳をイジること」という誰得な結論となってしまいそうですね。まあ、現実的な考え方でこの話をまとめてみましょう。

「承認欲求を満たすためのサービス」の存在意義は確実に存在する一方で、「承認欲求を満たすため」という仮想現実の使い方はあまり意識されていません。ただ、そのようなサービスは確かに存在しており、日本人の間ではかなり人気です。

……最後は余談で締めくくりましょう。めちゃくちゃ個人的な意見ですが、メイクってある意味仮想現実ですよね。メイクをしたら、自分も変われるし、世界も変わりますよ、的な。それを発明した昔の人ってすごいな、と思う今日この頃でした。

御後が宜しいようで。

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