サブスクリプションとしての「新聞」―NYTを中心に

というわけで、昔からあるサブスクリプションについて調べていきたい。
今回は、新聞について調べていく。

新聞の提供するもの

新聞の提供しているものは、「情報」といって差し支えないだろう。
代表的なマスメディアの一つであり、低質紙にニュースを印刷し、配布する形態をとっている。
記事のバラ売りもあるが、毎月固定の料金を支払うことで定期的に新聞を届けてくれる。
近年は、紙の新聞は売上高が低迷しており、各新聞社はインターネットによる電子新聞に活路を見出しているようだ。

今回は、新聞社を代表してNew York Times(NYT)の収益構造を見ていきたい。

なぜNYTか?

NYTを選んだのには以下の理由がある。

1. 決算報告が出ていること
 決算が見れなければ話にならない。

2. 新聞社単独の決算が見れること
 例えば、TV、ラジオなど、あまりに多くのメディアを複合して運営していると、新聞の収益構造が見えづらくなるため。

3. 新聞の売上と広告その他の売上高が比較できること
 新聞そのものの売上と、他の収益源による売上高を比較するため

NYTの収益構造

New York Timesのアニュアルレポートを読んでみよう。

画像1

Advertising―つまり広告の売上高が、Subscription―紙面、オンラインを含む継続課金による売上高の50%以上の売上を稼ぎ出していることがわかる。

だが、Subscriptionの売上は108千万ドル程度であるのに対し、事業経費は163千万ドルにのぼる。そこに、広告収入53千万ドルが入ることでようやくトントンになり、不動産収入で利益がでている。

もし、NYTが広告なしで現在と同じ売上高を維持しようとした場合、現在の購読料では事業経費すら賄うことができない。少なくとも、1.5倍以上の購読料しなければならない。
つまり、広告の収入があることで、本来の価格よりも安く新聞を提供できているのだ。

三者間市場

クリス・アンダーソンの「フリー」では、こうしたモデルを「三者間市場」として紹介している。

従来からあるメディアでは、メディアが制作物をタダかそれに近い価格で消費者に提供し、そこに参加するために広告主が金を払う。ラジオは無料だし、テレビの多くもそうだ。同じように新聞や雑誌の発行者も、制作や印刷、配達にかかる実際の費用よりはるかに少ない料金しか読者に請求しない。
--クリス・アンダーソン 「フリー <無料>からお金を生みだす新戦略」

New York Timesなどの新聞では、サブスクリプションの売上の50%を広告料で、料金を引き下げている。広告の売上のみで制作費、その他経費を賄い、かつ利益を上げようとしているのが、テレビやラジオなどの無料媒体のようだ。

まとめ

・新聞は情報を提供する古くからあるサブスクリプションサービスである。
・通常毎月固定の購読料を支払うことで、定期的に媒体が得られるという形態である。
・新聞は広告料によってサブスクリプション料金を下げている
・テレビのように広告料に、よってサブスクリプション料金がをゼロにし、提供することもできる

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