「生産性」と「成果」について

Noteのおすすめ欄で生産性が話題になっていたので。
生産性とは、少ない資源でどれだけの成果を上げられるかである。企業で言えば、一般的に投入資源(人・モノ・金)に対する効率性(従業員あたりの付加価値や総資本回転率など)である。

非営利組織の生産性

では、この基準を非営利組織、例えば病院などにも適用するべきなのだろうか?ドラッカーの「断絶の時代」でこれについて語っている部分がある。

収益性が測定するものは経済的な成果である。利益は、経済的な成果を目的とする組織、すなわち企業にとってのみ活動の基準となる。政府、病院、軍などの組織では経済は成約要因にしかすぎない。したがって、それらの組織は非経済的な基準を必要とする。同時に、市場に相当する客観的な尺度を必要とする。

P.F.ドラッカー、「断絶の時代」、上田惇生訳

生産性の意味は組織によって違う。当然成果の測定の仕方も違う。

同上

つまり、例えば軍隊は経済的な利益を生み出すものではない。だから、経済的な利益を最大化することを生産性と呼ぶならば軍隊は無いほうが良いだろう。しかし、一般的には軍は存在しなければならない。それは経済的な利益とは別次元のところに軍隊の「成果」が存在しているからである。(軍隊の成果が一般人にも分かる形で測定可能となる状況は嫌だが)

このように、非営利組織は経済的な利益以外の部分で、成果をあげなければならない。

生産性は何によって決まるか

ただ、非営利組織は営利組織とは異なり、売上高という形の、わかりやすい指標で審判を下されない。基本的には概念的な成果とせざるを得ない。では、どこで「成果」を決めれば良いのだろうか?

基本的に組織の外の世界が望み、欲することによって決まる。外の世界の論理によって決まる。新車のデザインを自動車を作っている者に投票させても意味はない。重要なことは消費者が買ってくれるということだけである。

同上

その組織内部の人が存在価値を認識していたとしても、外部の人間から「必要がない」とみなされてしまえばその組織は存在価値を失ってしまう。それは非営利組織といえども経済的な影響をどこかで受けるからである。非営利組織を営む上では、その組織の必要性を外部に分かる形で主張し続けなければならないのだろう。

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