自分たちでゼロから結婚式を創った夫婦の話し。~Ep1.みはるとの出会いと再開~
Ep1.みはるとの出会いと再開
意気揚々と入った会社も現実と理想は全く違っていた。例えるなら、まさに生き地獄だった。自分の出来が悪かったせいもあるだろうが、毎日のように直属の上司から「お前、アタマ腐ってるんじゃねーのか!」と怒号を浴びせられた。もちろん、サービス残業は当たり前だった。21時に会社を出られたら早い方。土日も職人から呼び出され工事現場に行くことも多々あった。入社して一度も泣いたことは無かったが毎日会社に行く途中、電車の中で僕の胃はキリキリと悲鳴をあげていた。
出張に行くこともよくあった。僕は営業4課で担当が中四国から西のエリア。みはると出会ったのは福岡に出張していた時だった。営業周りから帰ってきてホテルのロビーに到着すると上司から「飲みに行くぞ」と誘われ、断れる理由もなく渋々付いていった。そして、その飲み屋に居たのがみはるだった。
みはるは友人のあゆみと2人で飲みに来ていて、当時大学4年生だった2人の姿は営業で疲れ切っていた自分にはキラキラして見えた。彼女は中谷美紀と柴咲コウを足して2で割ったような顔立ち(僕から見て)で美しかったが、高飛車なところもなく無邪気に笑う顔が可愛かった。
僕は上司がトイレに行っているスキに2人に声をかけた。これだけ聞くとナンパだが、仕事で息苦しかった自分には同世代の友だちと話したかったのだ。そして、少し話したあと連絡先を交換してその場は終わった。
1週間の出張が終わり東京に帰ってきた僕はみはると何度か簡単なやりとりをしたが、その連絡も仕事の忙しさに追われ段々少なくなり、年に1回程度になった。出張エリアが中四国のみになったこともあり、再び会うこともなく月日は流れていった。
しかし、機会は突然やって来る。みはるから連絡があり福岡から東京に遊びに行くから会おうということになった。上野駅の中央改札で彼女と再会するまでに6年という月日が流れていた。当時、大学4年生だったみはるも28歳となり僕も仕事を変えていた。僕も彼女も会うのが2度目にも関わらず、お互いの考えていることが似ていて嬉しかった。そして僕は「この人と一緒に居られたら楽しいのにな」と考えていた。2時間ほどお茶をして別れ、みはるは福岡に帰っていった。
その後、みはるから「もう、私は付き合っているような気持ちでおるけん。」と電話があった。僕は少し驚いたが「そうだね、みはると付き合いたい」と僕も返答した。場所が遠くても彼女となら乗り越えられそうだと思った。僕は彼女に「遠距離を続けるのは無理だから結婚前提で付き合うけどいい?」と尋ねたら、彼女は迷いなく「もちろん、そうでないと困るけん。」と博多弁交じりにしっかりした口調で言った。
僕たちは遠距離恋愛を1年した後、品川に1Rの小さな部屋を借りて2人で住み始めた。最初は小さな喧嘩も少ししたが、彼女も東京に慣れてきて大きな問題もなく1年が経ち入籍をした。結婚式をゼロから作ろうと決めたのは入籍する半年前のことだった。
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