Z世代に伝えたい、優しい世界の作り方（４章）②

はじめがライフラインのない生き方を教えているという噂が広まり、忙しくなった。
「あきらも一緒に生活しているんだから、教えられるんじゃないか？」
僕が人に教えるなんて考えたこともなかった。
「そういえばそうだな、当たり前にやっていたけど教えられそうだ」
僕も他のグループに行って生活方法を教えることになった。家の作り方、水の引き方と貯め方、動物や魚の取り方などだ。働くことが嫌い、人と接するのが苦手な僕が今では人に教えている。人生って何が起こるか分からないもんだ。
僕らのグループの周りでは大きな集落を作らない意味を伝えたうえで、支援をしているが、もしかしたら、大きな集落を作ろうとしている人もいるかもしれない。
結局、人間の欲により同じことが繰り返されるんだ。人間が無欲にならない限りは変わらないだろう。
欲というのは、科学技術や経済の発展には必要なんだけど、度を超えると戦争や環境破壊を引き起こす。