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Z世代に伝えたい、優しい世界の作り方(1章)④

もう一度便利な生活に戻りたいかというと、便利な生活をするには経済活動が必要であり、
働かなければならない。働くくらいならまだ不便なほうがいい。環境破壊にも繋がらないし今の生活のほうが楽しい。

「あきら、おかえり」
魚と山菜を持って帰ると、隼人が火を起こしていた。
彼は気を起こすのが好きらしい。放っておくと1日中でも火を見ているのではないかと思う。火で焼けたのか、日焼けなのか肌が真っ黒なんだ。
「隼人は火が好きだね、そんなにずっと火を起こしていると薪がなくなっちゃうよ」
隼人がニヤッと笑った。黒い肌に白い歯が光って見える。
「薪なんていっぱい拾ってくればいいさ、火を見るのだけが楽しみなんだ」
「それもそうだね、好きにすればいいよ」
キャンプが流行したのも、世界がこうなるのを予期していたみたいだ。キャンプが趣味の彼らと出会わなければ、僕一人では生きていけなかったかもしれない。


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