サンタさんへ、ロックマンエグゼ3とGBAが欲しいです

そうお願いしたのが確か小6の冬だったと思う。既に親がサンタクロースであることは知っていたし、親も僕にバレていることは認識していたと思う。だが直接「お父さんお母さんがサンタなんだよ」という話をしたことはなく、12月に入ると「サンタさんに手紙を書こうね」と、所望のプレゼントを把握しようとするという茶番が繰り広げられていた。

だから僕は、両親ことサンタへの手紙にロックマンエグゼの最新作と、まだ持っていなかった任天堂の携帯機をお願いしたわけだ。コロコロコミックの現役読者だったからエグゼの存在は知っていたし、友人宅でやらせてもらったらとても面白かったので、なんとしても欲しかった。お年玉は全部回収されるし、普段からゲームを買ってもらえる家庭でもなく、誕生日もクリスマスに近いことからプレゼントを一緒くたにされてしまう。しかも2つ上の姉は中学入学を期にサンタが来なくなっていた。だから、この小6のクリスマスがゲームを買ってもらう最後のチャンスだったのだ。

12月25日。
雪国の朝は遅い。関東とは違っていつも曇っているから。暗い部屋でしかし僕は、いつもの眠い目をこする朝とは違う目覚め方をした。毎年この日はそうだ。一番古い記憶では、保育園児の頃に5時起きをして枕元に置いてあったビーコマンダーで朝から大はしゃぎしていた。すでに母親は起きていた。今思えば毎日この時間から家事をしていたのだろう。頭が下がる思いだ。

閑話休題。
バッと飛び起きた小6の僕は、すぐさま枕元を確認した。ある。プレゼントが。包装紙に包まれた、いかにもクリスマスプレゼントですというものが置いてある。

しかし。しかし。薄い。小さい。どう見ても薄くて小さい。僕が頼んだのはゲーム機本体とゲームソフトだ。それがこんな、ノート一冊にも満たないほど薄く小さいわけがない。12歳を目前に控えた僕は察した。願いは届かなかったのだと。

ガッカリだ。
しかしここは気持ちを切り替えて、目の前にあるプレゼントはなんなのかを確認しよう。もしかしたら自分には思いもよらない宝物が入っているかもしれないのだから。包装紙を破り、中身を確認した僕は、さらに深く落胆した。

図書カードが入っていた。
額面はさすがに覚えていない。500円ってことはなかったと思うが、10000円ではなかったはずだ。3000円か5000円分くらいだった気がする。

ああ……。僕へのクリスマスプレゼント兼誕生日プレゼントの予算はこれっぽっちか……。そりゃゲーム機とソフトなんてもの、買えないわな……。

正直なことを言えば、なんとなくそんな気はしていた。サンタクロースこと両親への手紙を書きながら、「こんな高価なもの、買ってもらえないんじゃないかな」と思っていた。小学校の高学年になったあたりから「そろそろゲームは卒業しなきゃね」というような雰囲気を醸し出されていたし、実際中学に入ってからは部活で忙しくなりゲームどころではなくなっていた。だから、完全に親が正しかったとも思わないが、そう間違っていたとも思わない。結局、部活を引退する中3まで、ゲームはほとんどやらなくなっていた。

あれから20年か。ロックマンエグゼの全部入りがSwitchで出るという。
小6だった僕も今や立派な社会人。Switchは既に持っているし、ゲームソフトくらい自分で買えるようになった。

20年前の僕よ。お前の願い、叶えてやる。
3だけと言わず、全部だ。
1と2に、それ以降に出たシリーズも全部だ。
僕がお前にプレゼントしてやるよ。
20年遅れのクリスマスプレゼントだ。

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