見出し画像

【短編】「Slaughterhouse6」_Simplicity of the world, Complexity of the life. 052

Time machine の扉を閉める男。/林道の道ばたでクルマを止めて立ったまま用を足している男。/夜、自宅のリビングにて「何かあったの、今日?」と妻に聞かれる。「べつに」 と男。/全身が光っている人のカタチをした物体に話しかけられる男。何を言っているのか分からず、愛想笑い。「ちょっと、私もこの辺には詳しくなくて...。」/妻ではない女を抱いている男。/朝、新聞を読む男。「いつの時代も残酷な事件ってのはあるもんだ」と、独り言。/「あれ、今、何時代だっけ?」/とあるホームレスの老人、なにかを思い出したように呟く。「あの頃は、よかった」それを見つめる少年。/ベーコンエッグを食べている男。/自分の頭に銃口をつきつけている男。泣きそうな顔。/TV のニュース。『1700 年代半ばの地価の高騰は当分続く見込みで...』 /ハムエッグを食べている男。/庭で札束を燃やす男。火の粉が顔に飛ぶ。/ネオンの煌めく大都市の路上。年齢不詳の男にも女にも見える人間に尋ねられる男。「すみませんが、今、何時代ですか?」/林道で立ったまま用を足している男。/泣きながら黒い猫の亡骸を埋める男。/TV のニュース「つづいて明日の地球の質量バランスです…」/別の男と寝ている妻。/街で老人と目が合う男。目をそらす老人。/自宅のベランダにて。「来年、観た花火は奇麗だったね」と、男に向かって語る妻。/深夜、書斎のデスクでシガーに火をつける男。黒い猫が足元にすり寄ってくる。/銀行の融資受付にて。男、行員に尋ねる。「こちらの紙幣の価値っていくらかばかりかお分かりですか?」/ベッドの中で本を読んでいる男。隣で寝ている妻、「その小説、読み終わったら一昨日あたり、貸してくれない?」/泣きそうな顔で銃を捨てる男。/「来年も花火が見たいね」と妻。/割れた卵がソーセージにゆっくりとまとわりつく。/電車で隣に座った初老の男から話しかけられる男。「わたし、たしか以前、あなたにお会いしたことが...」「人違いだと思います」/また別の男と寝ている妻。/ TV のニュース「明日は比較的、質量はマイナス傾向に向かうでしょう。」/ベーコンエッグを食べている男。突然、 咳き込み顔を真っ赤にして呟く。「死ぬかと思った。」/男、電車で初老の男に向かって。 「それか、あるいは、時代違い...ですかね」/立ったまま用を足している男。ズボンを上げ「まあ、それはそれで、悪くないもんだ。」/夜、リビングにて「何かあったの、今日?」と妻。「べつに」と男。「今日は、べつに。」/
Time Machineの扉を閉める男。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?