12と13:アヴォイドノートについて

アドリブを吹くときに「アヴォイドノート」を避けるようにと言われたことのある人って多いんじゃないでしょうか?

アヴォイドノートって個人的な感覚では特定のコードの中におけるb9のインターバルの音だと考えています。ドミナントコードの上のメジャー7thとか、マイナートライアドの上のメジャー3rd、メジャートライアド上の11thなどです。他のは大抵トライトーンサブスティテューションとかで折り合いがつけられます。このb9のインターバルは数字でいうと1オクターブ+半音、すなわち12音に対する13のインターバルになります。12と13、数字で考えると最小公倍数は156になるわけですからこれは響かないわけです。12の中だけでの数字の組み合わせの最小公倍数はここまで大きくならないことを考慮してもやっぱりものすごく難しいインターバルと思えます。この3つを踏まなければ他は何をやってもなんとか辻褄が合わせられるはずです。12という数字を幾何学的に分析して考えるという手法は19世紀のロシアの音楽家、ジョセフ.シリンガーが提唱したもので、バークリーメソッドの根幹にあるものです(話として知っているだけでシリンガーシステムの本は見たことないし、バークリーにも行ってません。そもそも音楽は独学なのです)。この周囲にあるニコラス.スロニムスキーの本も似てる気がします。19世紀のクラシックの和声法を見ると、ストラヴィンスキーの師匠であったリムスキー.コルサコフの書いた和声法があります。これ、これ以前のドイツ音楽的和声法から一歩踏み出した本なのではないかと思っているのですが、まだ後半まで読めてないのです。ジャズと無縁だったロシアのカプースチンの音楽の和声が極めてジャズ的であることも含めてこれはきちんと読んでおこうと思っている本です。

他方、ジョージ.ラッセルはリディアンクロマチックコンセプトにおけるトーナルグラヴィティにおいて一番遠いのがトライトーンだとしています(12に対して6のインターバルですね)。一方コンサバティブな、というかビバップ的なコード解釈ではトライトーンを活用してピヴォットポイントのようにしてマルチトニックにハーモニーを考えていくように思われるのですが、とすれば、b9のインターバルがアヴォイドになるのはイオニアンスケール的発想によるもので、リディアンで考えたらこれはないのかもしれません。リディアンクロマチックコンセプトも途中で放棄してるので、もう少し読んだらこういうことについて書いてるかもしれません。

何れにしてもこれは「丸い卵も切りようで四角」みたいな話なので、あまり気にしないで演奏するのがいちばんの上達の早道だと思います。むしろたまたまアヴォイドノートを吹いちゃって「あーこれダメなやつだ」って体感することがアヴォイドを吹かないための最短ルートだと思います。

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