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【ワクワクしたマーケティング3選】
初めてnote書きます。
調査会社にてBtoCマーケ支援 × セールス をしているてつと申します。
マーケティングリサーチを通じて、クライアントのマーケティング活動を支援しているため、日々マーケティングにかかわる情報収集をしているのですが、
先日Twitterで気になる投稿がありました。
【心に残ったマーケティング】~スゴイ位置情報マーケティング~
— 木下勝寿/東証1部社長兼現役webマーケッター (@kinoppirx78) January 7, 2021
ネット広告の主がPCからスマホに変わったことで自社の店舗の近くを通りかかったときにプッシュ広告でクーポンを発行すると言った「位置情報マーケティング」ができるようになった
ただ、それを使いこなした日本の事例はあまり聞かない
北の達人の木下社長のツイートで、海外の位置情報マーケティングの話が出たのですが、これがめちゃくちゃ面白かったんです。詳細はぜひ木下社長のTwitterをご覧ください!
改めて思ったのは、マーケティングはとても面白いということ。特に心に残るマーケティングは、聞くだけでも「ワクワク」するし、思わず人に話したくなるなと感じました。そこで、自分自身が面白いなと感じた仕掛けを3つほど集めたので、ご紹介できればとおもいます!
①【吉野家】超特盛と小盛の合わせ技
牛丼といえば吉野家ですが、2018年よりP&G出身の伊東正明さんが常務に就任。ここ数年は「ライザップ牛丼」「ポケ盛」など、数々の施策をヒットさせています。伊東さんというと「引き出し理論」が有名です。
人間の頭の中に引き出しがあるイメージで、その引き出しを開けたときに手前にあるものを買うのが購買行動。例えば「時間がないからご飯を手短に食べたい」という引き出しを開けたとき、吉野家は手前にいるという考え方。
特に「牛肉を食べたい」と思ったときに、真っ先に吉野家を思い浮かべるようにすることを意識していたようでした。(専門用語を使うと、第一想起というやつです。)
「ライザップ牛丼」も「ポケ盛」もすごいなと思ったのですが、私が一番ワクワクしたのは「超特盛」の話です。
ID-POSデータを分析したところ、吉野家のメインターゲットは40~50代。この世代の方は「並盛でも量が多い」「量が多いから丼を食べるのはたまにでいい」と考えていて、自然と来店頻度が減ってしまっていたそうです。
伊東さんは、この分析から「食べ過ぎ」「食べきれないを防ぐ」狙いから小盛を出すことを決めたそうです。ただし、ユーザーニーズには合致しているものの「圧倒的に地味」という問題がありました。そこで「超特盛」と抱き合わせて同時に発表。それがメディアに取り上げられ、見事に話題化しました。
一見すると「超特盛」の話題化の成功なのですが、超特盛って毎回食べるものじゃないですよね?一度試してみたら満足して、その後はリピートされないというタイプの商品です。一方で「小盛」は当初の狙いであったターゲット層の心を掴み、リピート数が増加。更にサイドオーダーの注文数も増加したのこと。
しかも、これって肉を盛る量を変えるだけなので店舗にもほとんど負荷がかかってないと思います。計算され尽くされていて、すごいを通り越して恐ろしい・・・。
吉野屋の「ワクワク」したところをまとめます。
①顧客起点の考え方 ⇒ 小盛はメインターゲットの「並盛でも量が多い」というインサイトを捉えた商品
②話題の作り方 ⇒ 超特盛とセット販売にして仕掛けることで、報道メディアやSNSでの反響を作ったこと
②【ドミノピザ】驚異のお持ち帰り戦略
続いてはドミノピザ。宅配ピザ業界は「ピザーラ」「ピザハット」「ドミノピザ」の大手3社が争う状況だったのですが、ドミノピザは万年3位の立ち位置。それが2020年7月2日、国内宅配ピザ業界で店舗数・売上NO.1に逆転したことを発表。その原動力になった「お持ち帰り戦略」について迫ります。
ピザといえば宅配のイメージが強いですが、ドミノピザは「お持ち帰り」でシェアを伸ばしていきました。この「お持ち帰り戦略」は全部で3つあります。
①2枚目無料から1枚目半額へ ⇒ 単身世帯のニーズを取り込む
②ジャストインタイム ⇒ お客さんが来店したタイミングで商品を渡す
③ミッション20ミニッツ ⇒20分以内にピザを届けられないとクーポン贈呈
まずは2枚目無料⇒1枚目半額について。もともとドミノピザでは、店舗でお持ち帰りすると、2枚目無料というキャンペーンを展開していました。
ピザってパーティーや家族など大人数の食事というイメージがありませんか?でも、1人で食べたくなるときもありますよね。
1人や少人数でもピザが食べたいときの悩みが下記のアンケートです。(ドミノピザのプレスリリースより)
「値段が高い」がダントツ1位、「量が多い」が次ぐ結果となりました。
そこでドミノピザが出した戦略は「1枚目を半額にして、単身者を取り込むこと」。これが見事に大ヒットしました。さらに言うと、「2枚目無料」と「1枚目半額」ってコストは実質一緒なんですよね。まさに言い方1つで印象が変わるという例です。
2つ目は「ジャストインタイム」。1枚目半額は画期的な施策ですが、これだけだと競合店舗にすぐマネされてしまいます。ドミノピザが取った戦略は「位置情報から来店時間を予測して、お店にきたタイミングで届けること」
世界一美味しいピザが食べられる!?🍕 #ジャストタイムCOOKING がスタート✨ お店に近づいてから作られるピザはアツアツの美味しさを楽しめます👍 追加料金はなんと0円!! TVCMもう見た??https://t.co/OIBusMfywQ #ドミノピザ #ジャストタイムクッキング pic.twitter.com/RSAwLbFWbI
— ドミノ・ピザ (@dominos_JP) May 26, 2019
「坂上忍の潰れない店」という番組で、ドミノピザのこの特集を見たのですが、顧客の来店時間ぴったりにピザが出来上がるシーンが非常に印象に残っています。
最期は「ミッション20ミニッツ」。追加料金を払うことで20分以内にピザを届けてくれるというもので、もし届かなかった場合は、次回ピザMサイズの無料のクーポンがもらえます。
ここで重要になってくるのが宅配のスピードです。このスピードを徹底するためにドミノピザがやったことは「店舗数の増加」「人員の増加」です。
「1秒でも速く届ける」を掲げていて、とにかくスピードを追求するために店舗数を増やしています。2020年には700店舗、2025年~2028年には1000店舗を増やす計画のようです。
またスピードを追求するため、ドミノピザでは「ランナー」という面白い役割があります。どんな役割なのか、皆さん想像つきますでしょうか?
ランナーというのは、焼きたてのピザをドライバーに届けて積み込む役割です。ピザをデリバリー車両に1秒でも早く渡す、ということでこのポジションが出来たとのこと。
スピードで回転率を上げて儲けようという狙いですね。コストをいかに抑えるかというこの時代に、あえて店舗と従業員を増やすというのはすごい決断です。
しかし、この速く届ける仕組みこそが競合がマネできない最大の強みになっています。部分的には非合理に見えても、全体で見ると独自の強みに繋がっているんですね。この強みがあることで、競合が1枚半額にしたとしても、スピードの部分で差別化できます。
個人的には「ミッション20ミニッツ」「ジャストインタイム」の面白さは、プロセスを新しい付加価値に転換したことだと思います。
お客さんも、ひょっとしたら従業員も、ゲーム感覚でピザのデリバリーやお持ち帰りを楽しんでいるんじゃないでしょうか。
「ピザが食卓に並ぶまでのプロセス」にゲーム性を持たせることで、食べるだけじゃなく手に入るプロセスも楽しめる。
味がいいことが絶対条件ですけど、このプロセス自体に面白さを感じることでドミノピザを選ぶ人も多いのではないかと想像してます。
ドミノピザの「ワクワク」したところをまとめます。
①顧客起点の価値転換 ⇒ ピザは1人でも食べていいものだし、お持ち帰りしたらお得になるという認識形成
②プロセスも価値に繋げる ⇒ 食卓に並ぶまでのプロセスにゲーム性を持たせたこと
③【PayPay 】消費者の記憶に刷り込むマーケティング
最後はPayPay。ソフトバンクグループの企業で、今やスマホ決済を代表する存在ですね。実はPayPayはスマホ決済の中では後発なんです。
PayPayが世の中に出る前のスマホ決済は、今はメルペイに吸収されたOrigamiPay、楽天ペイ、d払いなどのQRコード決済、ApplePayなどスマホの非接触決済も先行している状態でした。
そんな中、どうやって今の地位を築いたのでしょうか。
PayPayの戦略は大きく分けて3つです。
①100億円あげちゃうキャンペーン ⇒ 後発でも話題をかっさらう
②個人店の開拓 ⇒ 競合が手をつけられなかった市場に入り込む
③キャンペーンの一貫性 ⇒ 使える場所の想起を高める
まずPayPayといえば「100億円あげちゃうキャンペーン」ですね。
購入金額の20%をポイント還元する施策です。今やキャッシュレス=還元が当たり前になりましたが、当時はものすごい衝撃でした。
このときは還元の上限金額がなかったので、やろうと思えば100万近く還元を受けることができました。(実際に20万円戻ってきたというツイートを見たことあります。)
この伝説的なキャンペーンは当初3ヶ月くらいの予定だったのが、わずか10日で終わることとなりました。当時は使える場所も多くはなかったのですが、家電量販店のビックカメラで使うことができました。
PayPay行列がテレビに取り上げられていたのが印象的でしたね。
このキャンペーンのおかげで、スマホ決済=PayPayという図式が消費者の頭の中に出来上がりました。「売れるもマーケ 当たるもマーケ マーケティング22の法則」という本でも、1章目から一番手の法則を説いています。
皆さんもご存知の通り、NO.1ってものすごく影響力が強いんです。
あまり詳しくない分野に対しては、人はみんなに支持されている(と思われている)サービスを選んでしまいますよね。
ここでポイントなのが、いち早く市場に出したらNO.1を取れるわけではなく、消費者に認知されることで初めてNo.1になれるということです。100億円キャンペーンで大きく話題化することによって、後発でも消費者の認識を掴みました。
2つ目は個人店の開拓です。100億円キャンペーンをやる前に、3,000人もの営業を動員して個人店の開拓を一気に行いました。 個人開拓のポイントは「お店に負荷をかけないこと」
通常クレジットカードなど決済系のビジネスモデルは、導入したお店から利用額の3%程度の手数料を取ることで成り立っています。
PayPayはこの手数料をなんと0円にしました。(正確には期限付きの0円)。また紙で貼った QR コードを使うことで、店舗側に読み取り端末の料金がかからないこと、置く場所の負担を省きました。
このロゴマーク、今はどこでも見ますよね。
私たちが支払い方法に求めるものって、当たり前すぎて意識してないですけど「どこでも使える」ということです。
クレジットカードは広く普及してますが、唯一導入が進んでなかったのが中小の個人店舗。PayPayはここを満たしたことで「どこでも使える」というイメージを形成し、一気に覇権を握ったわけです。
3つ目はキャンペーン。還元額の大きさに目が行きがちなんですが、使える場所とペイペイを紐付ける戦略が一貫しているなと思います。少し前の 超paypay 祭の CM も、マクドナルドや松屋など、特定の加盟店の名前をCM で連呼しています。使える加盟店とPayPayをリンクして記憶させる狙いじゃないかなと。
「特定の名前を連呼する」というのは、消費者の記憶に刷り込むために効果的です。私たちの記憶には「短期記憶」と「長期記憶」の2種類があります。通常は自分の関心に沿っているものが「長期記憶」に代わっていくのですが、情報が反復することによって「長期記憶」への変換が促進されることがあります。なんとなくメロディーやリズムは覚えているというやつですね。
無自覚ですが「長期記憶」に残っているので、スマホ決済を始めようと考えだしたタイミングでサービス名が思い出されやすくなるんですね。
TVCMでとにかくサービスの名前を繰り返すのはこういった狙いがあります。
資本力がベースにある100億円などはとても真似できないですが、ユーザーの焦点が「使える場所」であることを見抜き、そこにフォーカスした施策を一貫しているのは勉強になりますね。
PayPayの「ワクワク」したところをまとめます。
①100億円キャンペーンでの強い話題化 ⇒ 短期間で認知をあげて、スマホ決済=PayPayの記憶をつくる
②キャンペーンの一貫性 ⇒使える場所とPayPayを紐付けることによって、「どこでも使える印象」をより明確にした
最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございます。
ワクワクしたマーケティング3選いかがでしたでしょうか。印象に残る仕掛けって思わず人に共有したくなる面白さがありますよね。
何か少しでも参考になれば大変嬉しいです。
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【消費者理解に役立つ7つのこと】
— てつ| リサーチャー × B2Bマーケ (@tetsu_marke) January 6, 2021
・成功より、損失を回避しようとする
・飽きるか、強い不満あると辞める
・使うことで初めて価値が分かる
・最大限より最低限あればいい
・身内/世間ごとになると動く
・東京人のみ異常に検索活用
・満足と継続は相関しない
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