勝ち切れないもどかしさを抱えた浦和のシーズン前半戦 エルゴラ浦和担当、沖永雄一郎さんと振り返る

浦和レッズの2022年シーズン前半戦が終わりました。2019年末に3年計画を打ち出したクラブは、その最終年となる今季の最大目標を2006年以来のリーグ優勝に定めましたが、シーズン前半戦の成績はそれとはかなり遠いものになってしまいました。そこにはどんな要因があり改善点にどんなことが必要なのか、沖縄県でのトレーニングキャンプから取材していたサッカー専門新聞エル・ゴラッソの浦和担当、沖永雄一郎さんと共に振り返っていきたいと思います。

6月17日の金曜日(18日朝に再放送)は、テレ玉の浦和レッズ応援番組「GGR」に出演もさせていただきましたが、時間の関係から入り切らなかったような部分も補えればと思います。

※文中で敬称を省略します。

沖永雄一郎(エル・ゴラッソ浦和担当)
山口県出身。2019年10月よりアイキャンフライしてフリーランスという名の無職となるが、気が付けばサッカー新聞『エル・ゴラッソ』の浦和担当に。
https://twitter.com/RMJ_muga

轡田哲朗(フリーランス)
埼玉県出身。浦和生まれの浦和育ちでイタリア在住経験も。9つの国から11人を寄せ集め、公用語がないチームで臨んだ草サッカーのピッチで「サッカーに国境はない」と身をもって体験したことも。出版社勤務の後フリーに。https://twitter.com/tetsu11k

沖縄キャンプで受けた印象と、下振れ感を招いた退場3回

轡田:今季の浦和レッズは、リカルド・ロドリゲス監督の就任2年目で、クラブの3年計画の集大成としてリーグ優勝が最優先の目標とされました。その中でのシーズン前半戦を終え、リーグ第16節の終了時点で勝ち点15(2勝9分5敗)、得点15、失点16の14位です。4月に約2週間の集中開催だったAFCチャンピオンズリーグ(ACL)は6試合を4勝1分1敗でグループ突破。ただし、ライバルと目された大邱FC(韓国)には1分1敗でした。天皇杯は3回戦に進出し、ACL出場によるシードでルヴァン杯は準々決勝から登場になります。これらの成績をざっと見ての印象はいかがでしょうか。

沖永:もともと今季リーグ優勝を狙うのは時期尚早とも思っていて、優勝争いにどれだけ絡めるかが焦点だろうと思っていましたが、この順位はさすがに想定外でした。キャンプ時点での印象は、得点力の部分に多少の不安はありつつも、昨季よりも戦力的には上という見方をしていましたので、様々な要素が合わさり、かなり下振れした印象はあります。

轡田:下振れにあたる言葉から連想しやすいのは、3試合で退場者を出していることです。いずれも、退場処分が出た時点のスコアで試合が終わっていた場合よりも悪い勝ち点で終わったということで、非常にもったいない試合になりました。その時点のゲーム内容や展開を見れば、3試合とも勝利していておかしくなかったようなものが2分1敗に終わりましたから、勝ち点7を損した印象もあります。これがあると9位までいきますから、確かに見た目の印象はガラッと変わります。他にも、開幕直後に新型コロナウイルスの陽性反応を示した選手がいたこと、キャンプ終盤からけが人が特定のポジションに多く出たこともマイナス要因になったと思います。1月から2月にかけての沖縄県トレーニングキャンプで沖永さんが戦力的に昨季より上だなと感じられた部分はどのあたりでしょうか。

沖永:退場も「ピンチを招いてやむを得ず」ではなく、すべて自滅に近い形でしたので、実力と言われればそれまでかもしれませんが、コロナでバタバタ開幕となった流れが引き起こしたとも言えます。その後のメンタルや成績にも雪だるま式に影響してきたように映りましたので、真ん中より上にいた可能性のほうが高かったと思います。

戦力が高いと見たのは、リカルド監督2年目なので当たり前と言えばそうなのですが、トレーニングの様子を見ても非常にスタイルの習得がスムーズに映り、新加入選手たちも、昨季よりも素養が高いと感じたことが大きいです。例えば、田中達也と松崎快、金子大毅と1年目の伊藤敦樹の2人、安居海渡と岩尾憲の2人を比較した際に、早期から活躍できる可能性は高いと感じました。ただ、結果論も含めてになってしまいますが、全体的に『成長ぶん込み』の補強であって、やや小粒感があった面も否めないと思います。

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