機能獲得の必然性

TTXをフグ以外の生き物は後天的で、フグだけが先天的獲得をしていた理由については前述した通り、その生物の仲間の数を分母とした時に、分子となる数が多いか少ないかを根拠としました。その生物の発生時に、大多数が必要としている機能が備わっていることは、当然の結果だと考えます。逆に、少数しか獲得しなかった理由は、その生活環境や食性に大多数の種が必要としていなかったからだと考えます。

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TTX(tetorodotoxin)は前半部のtetorodoがフグを指し、後半部のtoxinは毒の事です。なのでフグ毒と訳されますが、フグ以外にもこの毒を獲得している生物がいるためテトロドトキシンと呼ばれることが多くなってきました。アカハライモリやツムギハゼ、スベスベマンジュウガ二、ヒョウモンダコ、トゲモミジガイ、ヒラムシの仲間など海洋性生物に多く見られます。それ以外にも摂餌によって巻貝のボウシュウボラやバイガイが毒化することが知られています。トゲモミジガイやフグの死骸を食べて毒化する巻貝と違って、先に挙げた生物はビブリオ属やシュードモナス属などの共生菌を保持して、生産していることから、TTXを何らかの形で機能させていることが考えられる。では一体何のために、あるいはどのように機能させているのだろうか。機能を獲得している生物が全く同じような利用をしているとは考え難いが、相乗的な面や共通している効果は考えられる。先ず、根幹となっているフグの仲間に関しては、固いものを食べることから消化を助ける役割りがあることが考察される。

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