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高水温の影響

 昨年に増して今年は水温の上昇と最高到達点が早く、かつ高いように感じております
昨日(8/14)の時点で、水深23m付近の水温が28度に達し、安全停止エリアの水温は29度を超えました
過去にこの高い水温が記録されていない訳ではありませんが、この状態は継続することによって、明らかに亜熱帯からの生物が優位になり易い状況を作り出しています
 表紙の画像は、先端部に欠損がみられ、徐々に弱っている状態のトゲトサカです
砂地にポツンと生育していることがありますが、適当な着生基盤が周囲にもあれば密集することもあります
この場所には、3個体が1㎡内に居ることからタイミングと環境のマッチングが良かったことが推察されます

溶けて倒壊してしまったトゲトサカ

 ポリプの欠損が始まると、体躯を維持するのに必要な栄養が徐々に取り込めなくなり、空洞化が起きて自立ができなくなる場合があります
特に付着器付近に空洞が生じ、あるいは痩せてしまうと画像のように横倒しになります
辛うじて、ポリプが残っているので、暫くはこの状態を維持できるとは思いますが、消失するのは時間の問題です
もう少し早く気がつけば、水温の低い場所に移動して固定することもできたのですが、まさか2週間でここまで進行するとは思っていなかったので、残念な気持ちでいっぱいです
このトサカは1年近く観察をして、徐々に成長する様や付着生物の変化などを記録して研究の対象としていましたので、特段の愛着がありました
トサカやヤギは、生物の蝟集する場所となって、時にはコロニーやハレムを形成して特有のハビタットとなります

タイワンマトイシモチの隠れ家

 魚類であれば、画像のようなテンジクダイの仲間やオキゴンベ、キタマクラ、カサゴの幼魚などが見られ、アカスジカクレエビ、トウヨウコシオリエビ、稀にナガソネカニダマシなどの甲殻類、テンロクケボリガイ、セロガタケボリ、ヒナコダマウサギ、ムラクモコダマウサギなどのウミウサギガイの仲間などが観察されます

ウロコムシの仲間

 ここ1年ほど、倒壊してしまったトゲトサカで頻繁に観察していたのが、画像のウロコムシの仲間です
他のウミトサカでも観察されているので、観察場所を移して今後も生態行動の記録を続けようと考えていますが、自然の摂理の中でのアクシデントとは言え、突出した観察場所の消失は非常に痛いできごとでした
ちなみに、画像の中心に赤い短線の模様が規則的になっている部分がありますが、それがウロコムシの仲間になります
この2cm程度の生き物をトゲトサカのハビタットの中とは言え、水中で探すことの困難さは理解し難いと思います
ここから諦めることなく更に突き詰めて、この生物の生態を明らかにしたいと考えます

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