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東海大学自然史・海洋科学博物館

 それでは、次に自然史博物館の展示を見てゆきましょう。前段でもお話をしましたが、ここは元々「人体博物館」だった建物です。なので、ここが自然史の展示を持ってきてリニューアルオープンすることには、一抹の不安がありました。展示物のレイアウトやコンセプトは、かなり緻密に考えて建物自体の設計にも関与しますので、あれをどうやったら詰め込めるのだろうか?と不思議に思っていました。リニューアルオープンして、しばらく経ってから行ってみました。予想というか期待を裏切るくらい見事な出来栄えでした(済みません偉そうで)。国立科学博物館(地球館)が地下2階(その下は確か宇宙だったと)から地上に向けて歴史が改まってゆくのに対して、ここではエスカレーターで最上階に上がり、古代史から始まって、1階に向けて時代が新しくなってゆきます。このような時空の表現は大切だと思いますし、あのエスカレーターがタイムスリップを彷彿させるのです。

タイムスリップエスカレーター

なので、3階の恐竜の骨格標本が現れると気分はジュラシックパークです(笑)。

割と女子ウケが良いディメトロドン

 ここに展示されているトリケラトプスの全身骨格標本は、レプリカではありますが、国立科学博物館が半身骨格標本の半身をコピーして左転させて全身骨格標本を製作して展示を行うまでは、日本で唯一のトリケラトプスの全身骨格標本でした。なので、それまでは国立科学博物館に行く度に、国立でも半身ヂャん!?と優越感に浸って(笑)いました。私の中では、国科・福井・東海自然史が日本における恐竜博物館の3大聖地だと勝手に思っていましたので、その恐竜オタクの聖地が1つ消失してしまうことは誠に残念でならないのです。このトリケラトプスのことについて、過去に何度か海洋学部の学生相手に力説したことがあるのですが、スルーされるか「あぁこの人もこっちの人か」と同類哀れみの令の眼差しを向けてくるのです(笑)。理解してくれぇ〜、当時の中国から持ってきた展示用の全身骨格標本からレプリカを製作させてもらうって、どんだけすごいことなのか、そんなことは理解はできないんでしょうね。例えば、サンフランシスコの自然史博物館のT-REXの全身骨格標本を展示用に借りてきて、返す前に「これ、レプリカ作ってイィっすか?」って聞いて「うん、イィよぉ」って言うやりとりが想像できますか(爆笑)。それくらいの信頼関係が東海大(あるいは担当研究員)と構築されていたと考えると、それこそこのレプリカが国際研究協力の財産としての証だと思うのです。

トリケラトプスの全身骨格標本

 欧米の博物館を見たことのある人ならば、骨格標本よりも剥製を尊ぶ傾向にあることを薄っすら理解していると思います。国立科学博物館の3階に何故?あれほどの剥製が陳列されているかと言えば、対国民に向けてでなく、外国人観光客に向けた日本の威信の誇示の要素が強いと考えます。日本人は、どちらかと言うとリアルな剥製よりは骨を好む傾向にあると感じています。その嗜好性に関しては専門家ではないので明言は避けますが、リアリティ(あるいはリアル)対クリエイティビティくらいの対極性を感じます(もちろん個人差はありますが)。そのような視点から考えると、もう少し剥製の展示があれば、外国人観光客の取り込みにも成功したのかも知れないなぁ~と悔やまれます。

首長竜は恐竜ではありません

 2階に来るとプレシオサウルスやラティメリア、1周回ってステラ海牛などの海を感じる展示もあります。以前、海洋スポーツの実習授業で翌日が時化ることが分かっていたので、学生証を持ってくるように前日に伝えたことがあります。案の定、海上で実習をするような状況では無かったため、学生を連れて両博物館のエクスカーションをしたことがあります。その時に、自然史はよくねぇ?って雰囲気が感じられましたが、水族を出た時にまだ天候は回復傾向では無かったため、じゃ自然史もね、と強制連行(笑)しました。その時、前述した海竜や海牛、シーラカンスのところで海洋生物学科っぽい話ができたので、何とかお茶を濁すことが出来ました。

ラティメリア・カルムナエとメナドエンシスは実在します

 また、静岡の自然や自然史についても解説があり、豊かな静岡の自然文化を知る上でもこの博物館の存在意義は高かったと感じております。
 子供が幼少の頃は、自然史博物館に来る割合が高かったと記憶しております。私はいつも水族に行きたいのですが、子どもは恐竜(全身骨格標本)を観たがるのです。突き詰めると、出口付近のミュージアムショップで恐竜のソフビが欲しいようです(笑)。ここで買わないで済めば、非常にコスパの高い(というか只で済む)エクスカーションになるのですが、何回かに1度は「只ほど高いものは無い」になった記憶があります。

学名で呼べると尊敬される始祖鳥

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