見出し画像

ボクのポケットには今、お金がないんだ

「ホンダは常に、確実なリターンが見られる場合にのみ投資する” 保守的 ”な企業だった」
「私が最後に見たもの(財務開示報告書)は、商業面で経験していた困難が、エンジンサプライヤーとしてF1に留まりたいという彼らの関心と願望をはるかに上回ったため、F1ビジネスの側面を破壊したことを明確に示していた」
(F1-Gate.com  2022.0808)

 2020年にホンダがF1撤退を発表してから現在までの「ホンダの変遷」に関する様々な意見のうち、現在の活動(実態は2025年まで)を肯定的に捉えている人びとの意見だ。

 F1という、モータースポーツのトップカテゴリーからホンダという存在が消えることを残念に思う人びとはたくさんいる。
 ただ、F1活動には年間200億円というお金がかかる。そしてそのお金は、直接的な利益を生まない。「遊び」でしかない活動にそんな大金を使うことは許さない、と考える人びともたくさんいる。

 そして、パンデミックの結末が見えない現在においては、後者のチカラが勝ってるということだ。

 ホンダは、日本の企業群のなかでは「保守的な企業」に分類される企業ではないと思うけど、株式公開(上場)企業にとって「企業収益の健全性」を株主に提示することは「最優先事項」という認識があることは確かだろう。
 この場合の「株主」は個人株主ではない。主に銀行などの機関株主を意味し、彼らは保守的な安定性(ROIの保証)を好む。
 ちなみに、個人株主はDPR(配当性向)を好む…傾向がある。

 つまり、ホンダが保守的なのではなく、パンデミックによる収益性の悪化という状況下で、多くのお金を出資している機関株主たちの要求に応えざるを得なくなったということだ。

 銀行という「金貸し」の存在が大きい日本の経済構造においては、「目先の利益」がなによりも優先されるべき最重要事項だ。状況の推移を予測しながら、一定のスパン(3年〜5年)のなかで事業収益をコントロールするという発想は、あまり許してもらえない。

機関株主たちの言い分は、「毎月ちゃんと家賃を払え」
…ということだよ。

 こういった構造を基本に「経営判断」が形成されるから、状況が悪化すればするほどビジネス全体が硬直化してしまい、回復へのダイナミズムが失われてしまう。
 企業価値を優先してビジネスを継続することで、回復後のステイタスも維持される。それをサポートするのが機関株主のビジネスだと思うけど、実際はそれを機関株主たちが阻害してるっていうことだよ。
 でもまぁ、そういった経済構造だから「企業倒産が少ない社会」が維持されていると考えるべきなのかもね。

1986年 Detroit GP
ナイジェル・マンセルが乗るウィリアムズ・ホンダ
『Number Oct.’86』より

 ちなみに、レッドブルとポルシェの提携交渉は決裂した。かなりの確率でホンダの復帰がありうると噂されている。HRCとしてでもいいから、そうなればいいなと期待しているのはボクだけじゃないと思うけど、どうなんだろう?

 SDGsカーボンニュートラルという次世代のための投資は必要だ。でも、それでも……!

 HONDA
がんばれ‼︎  本田宗一郎の夢を失くさないでほしい‼︎  そう願うのはボクだけじゃないと思うけど、どうなんだろう‼︎


#F1  #HONDA #ニュースレター #モノローグ #エッセイ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?