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お茶日記:入院に持ち込んだのは般若心経の写経練習帳

ひょんなことから身体に病気があることが分かって、手術入院をすることになりました。

まさか自分がと驚き、怒り、足掻き、そしてようやく受け止められるようになったのも、受容のプロセス通りだなぁと学びました。

とはいえ、しっかり手術を乗り越えて、まだまだお茶をやりたい。

その気持ちだけは揺るぎません。


般若心経を手に取る

入院スケジュールが決まってから、病院に持ち込むものを近くの100円ショップに買い出しに出かけた時のこと。

いろいろなご事情で過去に入院を経験されている先輩諸氏の記録を参考にしながら、S字フックやらストロー付きコップやら、いろいろとカゴにつめていきました。

その時、ふと目にとまったのが、この般若心経の写経練習帳。

「あ〜、これだ〜。」

「自分が今回の入院のお供にするのは、これなんだ。」

と、どこからか聞こえてくる心の声に従い、カゴに追加。


毎年、京都のお寺さまで坐禅会

というのも、思えばずっと、般若心経に興味があったんです。

毎年、泊まり込みで坐禅会をさせていただいている京都の由緒あるお寺さまでのこと。

朝の4時過ぎに起きて、お経を唱えたり作務(掃除のこと)をしたりするのですが、一緒に参加されているご高齢の先生方(みなさんお茶の先生です)が、般若心経のところだけは和尚様に合わせてお経を唱えられるのです。

「はーらーみったー、ナントカー」

おー、もしかしてこれは、将来お茶の先生になることを目指している自分も学んだ方がいいものなんだろうなと、なんとなく感じていたのです。


仏教の真髄は、「すべては空である」こと

そして今回、実際に病棟に持ち込み、手術前に写経をしました。

加えて、意味や内容も、はじめてじっくりと読み込みました。

「色即是空 空即是色 しきそくぜくう くうそくぜしき」

という言葉が有名ですが、「すべては空である。」という意味の内容が般若心経の262文字に込められているそうです。

「すべては空。」

「手放しなさい。」

これこそが仏教の教えの真髄とのことです。

怒りや苦しみ、喜びでさえも存在しないこの世の中で、私はいったい何を手放そう。

うーむ。

考えたところでよく分かりません。


和尚様の明るい笑顔に教わる

ただ、そんなことを考えていると、京都の和尚様のお顔が思い浮かんできます。

いつもニコニコご機嫌で、

「悟りとか分からないよね!」

と豪快に言い放って、周りの私たちと一緒に大笑いしてくれる、その和尚様。

その場にいらっしゃるだけで明るい空気にしてくださり、本当に素敵な方だと常々感じています。

「分からなければいけない」

という考えから手放してみようと、教わる思いです。

いつ治るのか。今の状況はどれくらい続くのか。この先の人生はどうなるのか。

など、病気に関係なく、健康体であっても、頭の中の思考は次から次に現れて来ます。

それらを手放すことで、すーっと楽になれる境地があるように感じます。


あなたは何を手放したいですか?



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