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にこまちアートプロジェクト

先日行ったプロジェクトの報告書をnoteにもシェアしておきます!

にこまちアートプロジェクト実行委員会報告書
(かなっくホール共催事業)

第1回西菅田団地ブックフェスティバル 
日時:2022年10月30日(日)10:00〜14:00 
場所:西菅田団地集会所および集会所前広場、集会所横駐車スペース。

<経緯> にこまちアートプロジェクト実行委員会は、神奈川区内でのアートインクルージョン活動の実践を目的として2021年11月イベント開催に向けて2019年の発足時より動き始めました。 (株)URコミュニティ 横浜住まいセンターへのアプローチを試み、神奈川区内でも文化資源の乏しい地域のUR西菅田団地でのブックヘスティバル開催を目指し企画を提案。 URさんのご快諾、西菅田団地自治会及び西菅田団地こども会さんのご協力を得て開催に向け て動き始めましたが、コロナウィルス蔓延の影響により二度の開催延期を余儀なくされました。 そして中止を乗り越え、2022年10月30日(日)に開催することが出来ました。

<事業1・わたしの古本市> 
自治会さんの大活躍により、団地内で集められたリサイクル図書を広場にて綺麗に分かりやすく 並べて下さいました。役員さんたちのチームワークで店番を気長に行って頂けたことは、訪れる 住民の皆さんにとっても安心感が大きかったことと思います。 入れ替わり立ち替わり沢山の住民の方たちが並んだ本に目を通し、お話を交わしながらお気持 ちのお金を入れて購入して下さったこと(予想以上の2万円強の寄付金)は大成功と言えるでしょ う。お気持ち入れの入金ポストは、手作りの本の形をあしらったデザインで、非常にかわいく、イベントの装飾を華やかに潤すアイテムだったと思います。今回こども会さんで考え作って下さった飾りは、どれもすばらしかったと思います。イベントの意図や、上演作品の内容をしっかりとイメー ジさせる大きな助けとなりました。 中央図書館の無料リサイクル図書には子どもを連れたお父さんお母さんたちも大喜びでした。本は重たいものなので、子どもを連れている時に持つのは大変です。自宅近くで多くの絵本を手に入れられることは、本当に助かるだろうと思いますし、本離れを避けるためにも良い効果があるよ うに感じました。広場での開催も、子どもがぐずっているからといって書籍売り場から離れる必要 もなく、皆で見守りながら絵本を選べる点も良いと感じました。

<事業2・『セロ弾きのゴーシュ』演奏とリーディングの上演> 
【出演:俳優 はざまみゆき、チェロ 奥泉貴圭】 
チェロの演奏とダイナミックな俳優の朗読は、初めて観劇をする子や、演奏を初めて間近で聞く 子ども達に大きなインパクトがあったように思います。楽しんで聞いてくれている姿が見受けられ 嬉しい。高齢の女性が観劇後「とても面白くて感激しました。」と言って下さり帰っていかれたこと も嬉しかった。 椅子席だけの用意だったが、乳幼児連れのお客様もおり、乳幼児スペースをあらかじめ作って安 心感と居場所を作ってあげられたらよかったかも知れないと少々反省点はある。

<事業3・観客参加型演劇『あらしのよるに』> 
【出演:俳優  井原農、枝元萌、ヴィヴラフォン 會田瑞樹、打楽器 櫻井音斗、美術 玉田多紀】
 ヴィヴラフォンとパーカッションの演奏や、セリフに合わせて観客が効果音を出す演出でしたが、 子どもも大人も楽しく参加してくれたこと、自分がお芝居の一部になれたこと、実感しながら想像 力を働かせてもらえたのではないかと思います。一度どなたかのミスでカメラのフラッシュが「ピ カッ」と光ったことを嵐の演出と思ってくれた女の子は、本当に可愛かったです。ハプニングも、作 品世界に没頭していれば演出と感じてくれる子どもの素直さを、豊かに伸ばしてあげたいと実感 しました。演劇経験は、学童期の子どもにとってとても有効に働くので、親御さんたちにも演劇は 楽しいと伝わってくれたようでこの先に良い影響があると良いと思いました。

<事業4・神奈川図書館読み聞かせ会> 
畳の部屋で、リラックスした手遊びなどのムード作りから始まり、小さな子どもたちがお母さんとニ コニコとコミュニケーションを取りながら過ごしていました。 畳の部屋、というのがとてもよかったように思います。

<事業5・横浜市中央図書館はまかぜ号招致> 
イベント当日は、多くの方が新規で図書カードを作成して、図書を借りていく姿が見られました。 はまかぜ号という沢山の本を積んだ車にワクワクと目を輝かせる子どもたちの姿や、車の横に広 げられたゴザの絵本読みコーナーで、珍しい図鑑や名作絵本を楽しむ子どもたちの笑顔が印象 的でした。また、すでに図書カードを持っている方も、「今まで遠い図書館まで沢山の本を借りに 行っていたので、いつも来てくれたら嬉しい。」という声もありました。この言葉を下さった親子も、 じっくりと本を選び借りて帰って行かれました。 UR管理事務所、自治会、かなっくホールの協力により集会所で返却できる日を設けたことも借り てみたいという気持ちを増進させ、中央図書館所蔵の本に触れる良いチャンスになったと思いま す。

<考察> 
アート・インクルーシブの実践という観点での活動は、西菅田団地に着目出来たことが大きな成功点であったと思っています。団地の特性、土地の特性を見極め、幼児から高齢者、多国籍な集 客が出来たことは、図書館、図書から派生するアートへの導きの盲点になりがちな部分に、一定の効果をもたらすのではないかと思います。 何より、地域住民の皆さんが自分たちの手だけで能動性をもって開催の形態を作り上げられたことは、継続できる事業としてすでに成功例を手にされたということです。 また、子どもたちにとっては、自分の暮らす地域の大人たちが自分たちのために手をかけて楽しいことをやってくれたという事実が大きな喜びであり、情緒の安定や生活への安心感に繋がります。この点で、ブックフェスティバルは、単に本や演劇に触れる機会というだけでなく、多様なコミュニケーションを生む貴重な機会になったと実感しております。

にこまちアートプロジェクト実行委員会  委員長 新見真琴

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