忙しい時こそあそびごころ 【よい生活リズムのために 2】
前回の若江先生のお話*に続いて、今回は子どもの遊びから生活リズムについて考えてみましょう。
*前回の記事はこちら↓
幸せの記憶
みなさんが子どもの頃、親との遊びでわくわくした記憶はありますか。
わが家では、“ワニワニパニック“という遊び。小さなスペースから出られない私が、周りを走る娘たちを「食べちゃうぞー」と言いながら捕まえる、ただそれだけなのですが、のちに子どもと「おもしろかったねぇ」と懐かしんだ遊びです。
専業主婦の方でしたら、毎日毎日、家の中や公園、近所の子育て支援センターで遊ぶ生活に、何か変化を求めたくなりませんか? また、共働きの家では、一緒に過ごせる休日に、外出の楽しいプランを考えることもあるでしょう。
しかし、子どもは、単調でも何気ない毎日のくり返しの生活の中で、わくわくしたり、ころころ笑える小さな遊びがくり返されることで、幸せ感が子どもの心の中に積み重なっていくのです。
子どもが小さい時期は、1回のイベント的な楽しさは忘れられてしまうものなのですよ。
子どもへのまなざし
気に入った洋服は数日着続ける。お気に入りの2枚のブラウスはついに重ねて着て登園。散歩中に暑くなり、「たくさんきてきたよ。わすれてたー」とうなだれていたそう。 (2歳7カ月)
本当にあったこと、想像したことなど話してくれる。自分で引っかいた顔の傷は「へびにかまれた」とのこと。 (2歳5カ月)
みなさんの記録(下記「乳幼児グループ」会員のお子さんの成長記録)から、子どものようすを想像すると笑い出しそうになりますが、何よりも感心するのは、子どもの姿をおもしろがって見ている、優しく受容的なまなざしと心の余裕です。
家事、育児、社会人として目の回るような暮らしの中で、どうしたらそのようなまなざしが持てるのでしょう。大人は先を見通して、失敗しないか、時間がかからないかと気をもみますが、子どもは“今生きる世界”で感じ、考えていることがあります。それを理解しようと思うことが、おもしろがるまなざしへの転換点なのかもしれません。
「そんな余裕はない! わが家は毎晩、戦いよ 」と言われる方もあるでしょう。仕事があってもなくても、夕方から子どもが寝るまでの時間は忙しい時。親も疲れはピーク。子どもは疲れて眠くて、なのに遊びたい。怒ったり、泣いたり“魔”の時間ですね。そのような時こそ、子どもへのまなざしを変えてみましょう。
忙しい時こそあそびごころ
• 着替えるのをいやがったが、ぬいぐるみが服を選んで「これ着よっか~」と誘う“ぬいぐるみ作戦”を実行すると、着るようになる。 (2歳1カ月)
• 寝る前にお便所へ行きたがらない。父が「お父さんが飛行機で連れて行くぞ」と言う。手足を伸ばし飛行機になった子どもは、ブルンブルンとエンジンがかかり、寄り道をしながらお便所へ。ワクワクして次の子どもが待っている。 (津守房江 『育てるものの目』から抜粋)
子どもは、生活と遊びが混在して、今を生きています。大人が少しのあそびごころをもって過ごすことで、生活リズムがトントンと進むという思いがけない世界が開けます。よい睡眠がとれる生活リズムを作るためにも、あそびごころで忙しい時間を乗り切りましょう。
榎田二三子 (武蔵野大学名誉教授・保育学)
【婦人之友社 乳幼児グループのご案内】
婦人之友社 乳幼児グループは、0歳から4歳までの乳幼児を持つおかあさん、おとうさんの会です。 乳幼児の子育てをしていらっしゃる方なら、海外在住の方も入会できます。
乳幼児グループは、戦後間もない1945年、子どもたちの栄養状態を危惧した婦人之友編集部が、杉田玄白の子孫である杉田つる氏に健康調査をお願いしたことからはじまりました。それからおよそ80年間、支援する形は変わっても、ずっと乳幼児を見守り続けています。
『乳幼児だより』(B5判8ページの冊子)を毎月お届けします
各分野の先生や乳幼児グループのスタッフに育児相談できます
お子さんの成長の記録を送ると『乳幼児だより』に掲載されます
詳細、ご入会については乳幼児グループのホームページを御覧ください。
・乳幼児グループのホームページ https://www.fujinnotomo.co.jp/nyuyouji/