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BGAアグリコラ4人戦雑感② lose-lose

 前回の記事に引き続き、BGAアグリコラ4人戦の雑感を記載していきます。
 今回はlose-loseとなるアクション選択について、思うことをざっくりと述べます。

① lose-loseの選択とは何か、何が問題なのか

 lose-loseの選択とは、お互いにとって利益の生じない・損をしてしまう選択のことです。
 例えば、「収穫直前の4R、かまどを持っていて食料0のAさんを苦しめるために、すでに部屋に羊を1匹飼っており、かつ空いている牧場もかまど・調理場もないBさんが羊の累積スペースに入る」ようなアクションがlose-loseの選択として挙げられます。この場合、Aさんは効率のよい食料確保ができなくなり損をしますが、Bさんも結果的に自分自身にとっては何の価値もない行動に貴重な1手番を費やすことになってしまっています。
 Bさんの1手番を使ってAさんにそれ以上の損失を与えているので、二人の間においては、アクションを行ったBさんの方が収支としては相対的にプラスとなっています。しかし、仮にこの二人以外に同卓しているプレイヤーが居たとしたらどうでしょうか。
 lose-loseの選択における最大の問題は、損をするプレイヤー以外には何の影響も及ぼせないことです。先程の例で言えば、Aさんに2手番分の負債を押し付けたとしても、Bさんもまた1手番を無駄にしてしまっているので、同卓しているCさん・Dさんが相対的に1~2手番分得をすることに繋がりかねません。
 このように、多人数でゲームを行う際に問題が顕著となるlose-loseの選択ですが、「相手に損をさせる」という着眼点そのものはゲームの進行上、有益に働くことがままあります。

② 先行投資による遅滞と、得点行動による妨害

 アグリコラは、最終的に他プレイヤーの誰よりも勝利点を多く獲得していることが勝利条件となります。lose-loseの選択における問題は、つまるところこの勝利条件を満たすために、その選択が不適切である場合が比較的多いために生じるものだと言えるでしょう。
 しかし、見方を変えてみれば、例えその1手が直ちに利益を生まない・遠回りになってしまう1手であっても、他プレイヤーの多くに影響を及ぼすのであれば、結果的に利益が生じ有効手となる場合があります
 考える余地がある2つのパターンについて、以下に記載しておきます。

先行投資による遅滞
 主に、現状直ちに必要としない資材をあえて回収し、多くの他プレイヤーの計画や得点行動への道筋を制限しようという考え方です。例えば、増築に必要な資材がすでにあるにも関わらず葦2を先取りしたり、現状改築に向かう予定がないのにレンガ4を先取りしたり、大進歩を取る予定がないのに2stで溜まった石2を先取りしたり……最優先ではないアクションを先取りすることで、他プレイヤーの計画を曲げたり、得点行動(特に大進歩による)へ向かいにくくします。
 重要なのは、回収する資材はゲーム中必ずどこかで必要になるものだけにしておくことです。要するに、後で取らなくてはならない資材が、いい感じに溜まっているので先取りするついでに、他プレイヤーの進行手順にちょっかいをかけられたらラッキーぐらいの考えということです。
 葦2を先取りされたことで、プレイヤーのいくらかは次の増築を諦めるかもしれません。2stの石2を先取りされて、井戸や工業を狙っていた数人のプレイヤーのプランが崩れる可能性もあります。そうであろうとなかろうと、自分がそのアクションで行った投資を、最大限に活かすことができれば、結果的に差し引きプラスの成果を得られるでしょう。例えば2軒増築をして手番を浮かすとか、自分が井戸を取って効率よく得点を得るとか。

得点行動による妨害
 ゲーム後半になると、主に盤面を埋めるために特定のアクションの価値が高くなることがあります。こうした時、他の多くのプレイヤーが必要とするアクションを先取りすることで、その分野での得点を取らせないように妨害しようという考え方です。例えば、他プレイヤーのほとんどが畑や柵、改築のアクションを打たずに後半に突入した場合、それらを先に押さえることで複数の他プレイヤーにとって効率の良い得点行動を阻害することができます。
 こうした妨害を考えるときには、自分の盤面がある程度整っている必要があります。極端に自分の盤面に不足しているものがある場合、結局そこを突かれて最終的な自分の得点が著しく落ちてしまう可能性があるからです。
 応用として、あえて得点行動の余地を残すことで、他プレイヤーの優先するアクションを誘導するという考え方もあります。他の誰もが畑を耕せないなら、畑アクションの優先度は落ちますが、もしも他の誰かと競合しそうだと感じたなら、ある程度優先して取りにいきたくなるはずです。(結局、自分もいつかは取らなきゃならないので、そこまで有効になる場面もそうそうありませんが……)

lose-loseが適切となり得る場合
 勝利条件を満たすために、lose-loseの選択が適切であれば、そもそも何も迷う必要はありません。最終盤、自分とトップ目の他プレイヤー1人が頭一つ抜けていて、事実上の一騎打ちになっているようなときであれば、lose-loseの選択が最適解になり得る可能性もあります。しかし、ここまでくると、相手の得点ルートを潰しきれない可能性も多々あるため、結局あまり有効でない場合も多々あります。見極めが大切です。

③ おわりに

 アグリコラは拡大再生産のゲームであり、いかに効果的なエンジンを用意するか、その上で効率のよいアクションを選択できるかが得点を伸ばすポイントになってきます。lose-loseの選択とは、その原則から完全に逸脱した行動であり、原則的には「弱い行動」と言わざるを得ません。
 しかし、最終的に2位のプレイヤーより1点でも多く得点を得ていれば勝つことができる以上、場合によってlose-loseの選択が最も効率のよいアクションになることもまた否定できない事実です。
 自分の得点が伸びる余地がまだあるのなら自分を最大限伸ばす一手を目指す。これ以上得点が伸びないと見限ってから、相対的にトップ目との差をつけるための行動を考える。これぐらいの気持ちでいるのが、ちょうどバランスよく全体を俯瞰できるのではないでしょうか。

 ついでに宣伝のコーナーです。
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 アグリコラが好きで、BGA(ボードゲームアリーナ)のアグリコラではELOレート500に到達してエキスパートの称号を獲得しました!
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