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エンタメを提供する側から考える。

この話を音声で聞いてみたい方はこちらから。


()は文字起こしのときに追記している文章です

Xで見かけた、山崎まさよしさんの水戸ライブの話


先日、 山崎まさよしさんの水戸でライブがヤバかった、というような内容の投稿を見たんです。

私も流れてきた情報をさらっただけなので、どれぐらい 正しい情報を得られているかわかんないんですけども。
(noteで詳しくその時の状況を書いて下さっていた方がいらしたので最後にリンク貼っておきますね。)

ざっくりと説明すると。
山崎まさよしさんがライブをする時に「今日はあんまり 僕 歌いたい気分じゃないんだよね」って言って 突然ライブのほとんどをトークにしてしまった。という。

大抵のライブが何曲ぐらい歌うものなのかはわかんないんですけど、そのライブは8曲しか歌わなかったっていうようなことが書いてありました。
歌う以外は何してたかって言うと、本当に喋ってたそうで。
その喋りも、そんなに楽しい話ではなかった…まぁ、あんまり上手ではない雑談だったらしいんですよね。

それに対して一部のチケット買った人が「俺たちは あんたの歌を聞きに来たんだよ!」ってなったそうです。

くだらないお話を聞きに来たんじゃないって言って、すごい怒っていた、と。そういうようなお話のようで。

聴きに来た方が怒ったっていうこと自体は、すごいわかるんですよ。

私は好きなアーティストは BUMP OF CHICKEN と スピッツで。
バンプは行ったことないけど…スピッツのライブは何度か行ったことあるんです。

やっぱり音源になってしまったものしか聞いたことがない曲を、生歌で、目の前でその人が歌っているっていうことには やっぱり プライスレスな価値があるというか。
ちょっとしたアドリブとかそういうのが入るのもまたいいなって思います。

ライブに行く人はそのために行く、っていうのはわかるんですよね。

MC がメインのアーティストさんっていうのも 結構 いらっしゃるので、そういう方もそれはそれでいいと思うんです。ただ、山崎まさよしさんは基本的に普段あんまりトークをしないで歌が中心って方だったのでそこにショックを受けた方もいたみたいで。

チケット返金しろって言ったり、こんなライブ嫌だって言って 途中退場しちゃった人もいたと。

それを見て山崎さんが「僕は 何年も こうやって音楽活動してきたけど途中でファンの人が帰ってしまったのは初めてだな」 って寂しそうにしていたみたいな話も書いてました。

何で山崎まさよしさんがそんな行動 取ったのか? っていうのは結局わからないんですよね。今日歌わない理由をはっきり明言しなかったっていうことで。

ただ、ライブの中で
「歌を歌う っていうことは結構疲れるんだよ。
今日はあんまり歌いたくないんだ」
みたいなことを言ったらしいんですよね。

私は、一番最初にこの話を、たまたま流れてきたXのポストで知ったわけですけど、私がそれを読んでぱっと 一番最初に思ったのは…

そうやって「今日は歌いたい気分じゃないんだ」ってアーティスト本人が、正直にファンに伝えた時”受け入れてくれるファンがいた”っていうことはすごい救いだよな、っていうことです。

私も、音楽ではない形で創作活動っていうのをしてるわけですけど。
創作っていうのは多分、音楽にしても絵にしても、小説とか漫画にしても。

その時の 精神的なコンディションみたいなものが活動に影響する部分って、すごい大きいと思うんですよね。
誰だって「今日はどうしてもそういう気分になれない」みたいな日っていうのはあるもんだと思うんですけど。

それでも、ある程度のファンを抱えてしまった山崎まさよしさんクラスのアーティストだったら「今日はやりたくない」っていう気分だけで、歌わないでほとんど MC にするなんて、聞きに来た人に対して失礼だっていうのはわかるし。絶対やらないもんだと思うんですよ。

でも、その日の山崎さんはどうしてもそうしたい 何かがあったんですよね。わざわざお金を払って自分の歌を聞きに来てくれた ファンに対して歌を聞かせられないっていうことは全部自覚した上で今回の事をやってる。

デビューしたてでちょっと人気出てきて、いきがってきたバンドとかじゃなくて。長いことファンの方と向かい合ってきた方がそういうことやったっていうことは、やっぱり何かしらのちゃんとした理由、でも、はっきり語れない何かがあったんだろうな、と。

それで…最後まで帰らなかったファンの方もいて。
「ある意味 色んな意味で伝説のライブだったから行けてよかった」って言ってる人もいる、っていうのを見て、私はすごい ホッとしたというか。

 私は漫画とか文章を書く活動をしてるんですけど、いろんな作品を書いてるんですよ。

その中でも、私の自閉スペクトラム症当事者としてのエッセイ漫画(自閉日記)が私の活動の主軸になっていて。それでフォロワーさんが増えているっていう部分はあるんですよね。自閉日記を読むためにフォローして下さってる人っていうのは結構いると思うんですが…

でも、それ以外の作品も『自分が書きたいと思ったから』描いているし、何か伝えたいものがあるから作っているっていうのは間違いないんです。

それでも自閉日記以外の作品を上げたときの反応が、著しく悪いわけです。

特に創作漫画。

去年から今年にかけて、結構 何ヶ月かかけて書いたんだけど…その作品の反応がひどく悪くって。(でもnoteの創作大賞の一次選考通過したよ)

私としては、実験的に色んな作品を書いているっていう部分もあるんですよね。自閉日記しか書けない、ってなっちゃうと私としても息苦しいんで。

自分の「発達障害」っていうくくりの中だけじゃなくて、いろんな体験を漫画にしてみたい っていうのが私の中にあるんです。

私の作品を好きだって言ってフォローしてくれる方には、どんな作品でも、「この人こういう視点も持ってるんだ」とか、全部を面白がってくれるほうが嬉しいなって思うんですよね。
作品のファンなのか、作家のファンなのか?っていう。

そこの大きな軸みたいなのが私の中で結構気になるというか。
「あなたが作ってくれる作品だったら、好きか嫌いかは読んでから判断するけど、全部読みます」 って言ってくれるファンの方を増やしたいっていうのはあるんですよ。

自閉スペクトラム症のエッセイにしか価値がないみたいになってしまうと、私自身の価値というよりその作品にしか価値を持てないっていうか。

そういう風になってしまうと自分自身の存在意義 みたいなのがすごい揺らいでしまうな、って思って。

それで違う作品も色々上げてみるんだけど、反応が悪かったりすると「お前は黙って自閉日記だけ描いてればいいんだよ」「自閉日記以外には興味ねぇんだよ」って言われてるような気持ちになってしまうんですよね。
そんなこと言われてないのにね。

で、今回。山崎さんのお話を聞いた時に、ひょっとして 山崎まさよしさんもそういったことを感じたんじゃないか って思うところがあって。

『歌わない山崎まさよし』に価値を感じてくれるファンは一体どれだけいるのか?っていうことを確かめたくなったんじゃないかって、私は勝手にそう思ったんですよね。

だからXで何気なくそういったことをつぶやいたんです。
そしたら『歌わない自分に価値を感じて欲しいとしても、歌わないときには予告はするべきだし、わざわざチケット買ってまで来た人に対して失礼だ』みたいな反応を下さった人がいたんだけど。

そういう気持ちになる人がいることは、私もよくわかってるんですよね。

観客、聞く側。つまり『提供される側の心』はそう思うであろうことはわかる。

わかるけど、それを言う人は『提供する側の方の心』には全然配慮してないでしょ。

「誰かのために自分は歌を歌い続けなきゃいけない」っていうのを背負って生きるって、私は結構しんどいと思うんですよ。

だから、喋りたいって思った時に「喋りたい日もあるんだね。じゃあ聞くよ」 って言ってくれるファンがいることは、すごく大切な事っていうか。活動継続していく上でめっちゃ大事だと思っていて。

だから、残ってくれた人とか、逆にトークが中心のライブがめっちゃ貴重だったって言ってくれる人とか。
『どうしたんだ 山崎まさよし!?』 って山崎さんをすごい心配してるファンの方とかの声も結構見かけたんですけど、そういう方がいっぱいいるっていう事は、誰かに何かを届ける発信者として活動していくためにめちゃくちゃ救いだったろうな って、しみじみ思ったんですよ。

歌わないお前に価値はない、金返せっていうようなファンは、その”人”のファンではないんだろうなと、個人的に、私はそう思ったりしました。

ライブに来てくれる人たちが「こっちは金払ってるんだ、歌いたくなくても黙って歌え」って言う人だけしかいないとしたら。

それは、ちょっと辛いよなって思います。

文字起こし追記


サラッと色んなポストを読んでみたけど「せっかくライブチケット取って、その日の予定を空けて、楽しみにしていたであろう人の思いを想像するといたたまれない」みたいな、観客側の思いを想像する人は結構いたんです。

でも「今日は疲れるから歌いたくない」と言うことに対して「人なら誰だってそういう日もあるよね」という想像をする人というのは圧倒的に少なかったです。歌いたくないって言って歌わないなんてわがままとか、そのわがままでどれだけの人が迷惑被るかとか。それこそ私にコメントしたように「事前に告知すべき」って山崎さんの過失を伝える人が多かった。

人って、自分に近い立場側のことのほうが想像しやすいんですよね。

そういう人は、自分一人が歌うことを何十人、何百人、何千人がいつでも待ってるっていうプレッシャーを常に抱えて生きる側の気持ちなんて想像しようとしていないんだろうなと思ったりします。

私も山崎まさよしさんと比べれば全然全然小物なわけですけど、それでも数万フォロワーいる一応インフルエンサーの括りには入れるんです。だから、全くわからないわけではないと思う。多分。

普通の会社員なら、どうしてもしんどい日は休めるのに。大人気アーティストになると、待ってる人のために頑張れよ!ってなってしまう。

でも、ファンだったら、そのアーティスト自身のことを思いやる想像力があっていいんじゃないのかな、なんて思ったりするんです。

どんな大物になったって、結局誰もが一人の人間なんです。

漫画家でも、有名なところだと冨樫義博さんですね。
よく休載することで有名な作家さんですけど、先生の体調を思いやるよりも「休んでばっかいないで描け」「待ってる人がいるんだぞ」って言う人のほうが多かったりする。
本当は描きたいけどどうしても描けない、ってところでそんな事言われたら辛いだろうなっていう想像力を持ってほしいんですよね。

身体とか心を壊してしまって今後の活動そのものができなくなってしまってから「辛かったなら無理しなければよかったのに」って言う人のいかに多いことか。休もうとしても休むことを許さないのにね。

大抵、そうやって言う人ほど、人の心を揺さぶる歌声も、作画力もなかったりするんだろうなと思ったり。

全力で歌えるコンディションでなくても、舞台に上がった山崎まさよしさんってむしろすごいんじゃないかなと私は思ったりします。

そんな山崎さんのライブについて詳細に書いてくださってる記事はこちらから読めます。この方は終始「山崎まさよしさん大好きだ!」って言って下さっているし、心底心配なさっているので、安心して読めました。


https://note.com/masu868/n/nee9ac0a564b6


個人的余談(一部メンバーシップ限定)



お話の中で出てくる私の個人連載「自閉日記」ですが…
Xで毎週水曜日に連載しているんですよね。

それを今週水曜日に、一度Xでの連載を休止しました。

この作品は個人的にずっとゆっくりでも続けて行きたいと思っていて、でも、今回の記事の中でも書いている通り「自閉日記しか無い人」みたいになってしまうのは何だか嫌なんですよね。

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