見出し画像

3つ勉を受けようと思うまでの話

※3つ勉の話は今回のnoteには出てきません。
自分語りしていたら長くなってしまった、いつものことです…。

よりよいマンガを描くために


私は3月にコルクラボマンガ専科を卒業しました。

マンガ専科は学びが多く、大変濃密な半年間でした。
私が受講したときは、マンガの作り方や考え方についての講義が前半に、後半は表現の幅を広げる講義が入っている感じ。

私にとっては、後半に色々結集していた講座が特にすごく刺激的でした。

特に、カメラワークについて学んだこの回と

人を魅了する絵とは何か?を学んだこの回。

この二つは今までの自分のマンガ表現に対するスタンスを大きく変えたものでした。

目からウロコが落ちるというより、もう目ん玉取り替えるぐらいのカルチャーショックがあったよね。

これらの講義は全身がビリビリするぐらい、何というか、刺激が強かった。
「描かねば!」と思う反面「描くのが怖い」となるほどに、自分の表現が上手く行っているのかと迷いが生まれるような。

コルクアートクラスの中で

「漫画家は若いうちにアシスタント経験を積むことで知らず知らず背景を描く力などを鍛えている。失敗が許される若いうちにそこを通過していないのは正直ハンデである」

とか

「年齢的若くない人は、それ相応に頑張らないといけない」

みたいなニュアンスの言葉がありまして。
40から突然この世界に入った自分としては

「もうダメだ」
「こんな大事な事を何でこんな歳を食ってから知ってしまったんだ」
「今更頑張ったってもう手遅れだ」

みたいな絶望感も受けてしまったのですよ。

でも、それでもやりたいから諦めたくない!
だって描きたいんだ!!!という、心だけ20代のような青さを保ってマンガ専科を最後まで駆け抜けた私です。

正直この後半講義が心にかけた圧と、それまで自分自身が自分にかけてた圧のダブルパンチで、卒業間際のメンタルと体調は本当にひどかった。

ので、最終課題として提出したイチタはなんだか色々ぐちゃぐちゃで悔しいと思ってる。

前半と後半があるんだけど、後半をアップしてないことに今気付いた。
それほどまでに思い入れがない…。

なので慌てて後半もアップしました。


キレイな絵を描くことへの呪い


講義中盤~イチタ前半は「絵を綺麗に描かなければいけない」という妙なプレッシャーを自分で勝手にかけていて。

なので背景素材だとか、3D人形だとかを使って「狂いがない、出来るだけおかしくない絵」を描こうとしています。(それでも描けてない)

でもこういう方向で頑張ろうとするとちょっとした狂いとかがすっごい気になっちゃって…もう物語云々よりも

「ここのパースが狂ってる」とか「この人の身体が歪んでいる」とかそういう部分がどんどん気になって、ずっと絵を直し続けてるみたいな状態になってました。

でも、そうやって「キレイな絵」を描いたら、同期から「専科に入る前から比べたらものすごい画力伸びた」なんて言われて、やっぱりキレイな絵は良いのだ!!もっと狂いのない絵を描かねば!と更にドツボにハマったりして。

でも、それがすごくすごく楽しくなかった。

でも最初に挙げたカメラワークの講義と、コルクアートクラスでその「楽しくない」理由が少しわかった気がして。

「良い絵」と「上手い絵」は違うのだと。
私は自分の良さを捨ててまで「上手い絵」を目指そうとしてました。

自由に好きに描いてた時期から見たら、どんどん線が固くなってることも気付いてた。

好きに描いてた頃のマンガ


狂いとかを気にしまくってる時期のマンガ


「上手く」はなってたと思う。
だからいいと思ってたけど、描くことが、楽しくなくなってた。
線もすごく硬いなあと思う。

それに気付いた私は、最終課題の後半から背景素材と3D人形を使うことをやめました。

下手くそでもいいから、素材ではなくて自分の頭の中にあるものを描くんだ!って方に考え方をシフトした。

そしたらまた『描くのが楽しい』が戻ってきた。
それがイチタの後半。

子どもの肩の位置とかおかしいけど、それでも自分は気に入ってる


私は!
絵がわかる人から見たらどんなに下手くそでも、まず自分が「好き」と思える絵を描きたいんだ!

後から見返したくないような、狂いとか歪みとかばかり見てる硬い線のマンガなんて描きたくないんだ!

自分の表現したい世界を、余計な事を考えずに感覚的に描きたいんだよ!
下手くそでも「伝えたいことが伝わるゥ~」って絵を描きたいんだよ!

絵で世界を伝えたいんだよ!!
形じゃなくて命を描きたいんだよ!!

(言葉選びが厨二病的になってきたのでそろそろやめる)

この考え方が良いのか悪いのかはわからないけど。

マンガ専科を卒業してから、その思いはどんどん募りました。

「ジェスチャードローイング」に出会う


そんな時に私が知ったのが「ジェスチャードローイング」でした。
そのものの形を追うのではなくて、生命力そのものを描く練習とでも言ったら良いのだろうか。

これは何か、私が求めているものに近いのではなかろうか。

そんなわけで見よう見まねで描いた初日のドローイングがこれ。

どん。

1分
5分

1分と5分の違いは線の数w

…こんなん描いてるだけで力つくの?

1000体描いたら絵が変わった!なんてブログを見ては
「夢物語か…」と呆然とする。

砂糖ふくろうさんとの出会い


でも、もうちょっとジェスドロを知りたくて、ネットで色々検索して出会ったのが、砂糖ふくろうさん。

初見で「この方の絵が、凄い好きだ!」と思ったのがまずひとつ。

ここ最近のマンガって、どれもこれも細くて綺麗で描き込まれた物が多い。

商業作家としてやっていきたいなら「まず画力」と言われるなんて聞くけれど、私はその綺麗で描き込まれた絵があまり好きじゃない。

綺麗だけど、なんかつくりものみたいだという漠然とした違和感。
(あくまで個人的な好みの話です)
そして自分の一時期ハマってた泥沼はそれを目指してしまっていた。

砂糖さんの絵は、線が少ないし、描き込まれてもいないし、線もザカザカしている。
でもすごく描かれているものがすべて生き生きとしているように思えた。

そうだよ。
私の描きたいのはこういう絵なんだ。

で、いくつか無料公開されてるYou Tubeを見ましたよ。

そこには講義で「年齢的に遅くなった人は若い人以上に頑張らないと」みたいに言われて苦しんでた自分の心をふわっと軽くしてくれる雰囲気が。

「下手くそでいいのよ~、どうせ描き続けてれば上手くなるんだから!」

「80歳までに満足行く絵が描ければ良くない?まだ何年もあるじゃん!」

「失敗はいっぱいしていいの!それをどうにかするのは、未来の自分に託せばいいのよ~」

絵は楽しく描けばいい。
楽しく楽しく、たくさんたくさん、毎日毎日。

そんな言葉に背中を押されて、無料で見られる動画を見たり、ブログを読んだり本を買ったりしながら見よう見まねでジェスドロを続けた。
500体ぐらい描いたころに描いたnoteがこちら。

初日から見たら、どんどん自分の線がいきいきとしていくのがわかった。

それがわかるのが凄く楽しかった。

そして、ジェスドロ続けながら描いたマンガがこれなんだけど




今まで描いてたマンガと比べて、自分の描く線やキャラクターが、すごくのびのびとし始めた気がする。


”このポーズを書きたい”と思った時、今までだったら自分でそのポーズをとって写真を撮ってみたり、人形を使ってみたり、ネットで近い体勢をとってるひとを検索したりして描いていた。

でもこの作品に関しては、一切何もしていない。
私の頭の中に浮かんだ映像を引っ張り出して描いている。

それでいて、何かを見ながら描いたものより、自己評価的に『思った通りに描けている』のだ。

人間だけじゃない、背景とかもだ。

まだまだ拙いけど、明らかに前より表現出来ている。

これはすごい感動だった。
ジェスドロすごい!自分の進歩が目に見える!
なんてたのしい!この歳になって、まだまだ成長って出来るんだ!

毎日毎日私はジェスドロを続けた。
でもあるときふと気づく。

…あれ?
なんか、楽しくなくなってきた。

のが、このあたりのジェスドロ。

「動きを描く」のがジェスドロなのに、どんどん「形を追う」方に意識がシフトしていっていた。
手の位置はここじゃないとか、靴の形はこうだとか。

そしたら途端に楽しくなくなってくるのだ。
多分、心が「正しくなきゃだめだ」みたいになるからだろう。

形は追わなくていいんだよ~
動きだよ~、フォースとかリズムを追うんだよ~~

https://amzn.to/3Nvb0S9

この本は私の作品に惚れた!と言ってくれた方が「欲しいものリスト」からプレゼントしてくれたんだ…ありがたい…
すごく良い本だからジェスドロやる人は買って損はないと思っている。

3つ勉でも超オススメされていた。手に入れていて良かった。

しかしどんなに心に言い聞かせても、どうしても私の手は『形』を追いたがった。

むむむむむ!!これは楽しくない!楽しくないと続かない!
いかん…!

そんなわけで、もう無料動画ばかりじゃだめだ、有料でいっぺんがっつりやらないと!!!とその時募集がかかっていた「8つ勉」を申し込もうと思っていたのですが。

春休みあけでドタバタしているうちに申し込みをすっかり忘れていて…
いつの間にか申し込み期日を過ぎてしまっていました。

あーあ、とがっくりしていたところに

今回受講した「3つ勉」の募集が出たわけです。


お絵かきと家計と


8つ勉は、「お絵かきに大切な8つのこと」を学べる講座なんだけど、8にかけてなのか、8888円だった。
1万円を切っていることが私としてはギリギリOKのラインで、先日受賞したマンガ賞の賞金2万のうち、1万は本に使ったので残り半分を使ってこの講座を受講しようと思っていた。

でも申込みし忘れた。ばかー。

そのあと出てきた3つ勉は、「8つ勉の中で特に大事な3つのこと」に絞った講座。
正直私は、8つ勉全てが気になっていたわけではなくて、その中でも

・ジェスチャードローイング
・フィルムスタディ
・カフェスケッチ

この3つが気になっていたわけです。

そしたらその3つに絞った講座が!
こっちのほうがいいじゃん!と申込みページに行ってみたところ…

なんと、お値段が1万5千円になっていた…
倍近いやん…予算オーバーやん…

ただでさえ、コルクラボを半年受講したことで「絵を描くスキルのため」に10万近く投資してしまったのだ。
それでいて、何か自分の絵を収益化出来たかといえば出来ていない。

卒業後に小さなマンガ賞を2回とったとはいえ、投資に対して現状がまだまだ大赤字だ。

なのにまだ学びにお金をかけるのか。
お金を描けたら収益化出来るのか。
そんなことわかるはずがない。

もう家族に迷惑をかけたくない。でも受けたい。ううう。

無料動画でも今までどうにか学んでこれたんだから、わざわざそんなお金をかけて学ばなくていいんじゃないのか。

もう、めちゃくちゃ迷いました。

そんなとき、砂糖ふくろうさんと森田唯さんが一緒にやってる無料ジェスドロ講座の動画を見たのでした。

ああ、この人達は、なんて楽しそうに絵を描くんだろう。

講座を見ながら思わず笑ってしまう。
ニヤニヤしながらジェスドロをやってみたらそれがもう楽しいのなんの。

「絵を描くのは楽しい」

その気持ちをもっと思い出したいと思いました。

なので、決めたんです。
3つ勉、受けるんだ。と。

先に結論から言うと、3つ勉はほんとうに受けて良かった。

3日間のオンライン講座だったんですが、3日とも本当に楽しくて有意義で、かつ、「やらなきゃいけない」じゃなくて「早く絵を描きたい」と思わせてくれるような講座だったということ。

あと、「講座では伝えきれなかったからオマケにこれもつけちゃうよ」みたいなオマケがもはやオマケレベルではなかったので、どう考えても倍ぐらいの価値がある講座だったということ。

講座の後から、今まで以上にジェスドロが楽しくなったし、フィルムスタディをすることで画面の見方が変わったし、カフェスケッチを知ったことで日常が発見に溢れたこと。

それらを活かしてマンガづくりをしたら楽しいだろうなぁ!と超ワクワクしていること。

…そんな3つ勉のレポは…別な記事に書きます…!

(いつものことながら文章が長い)

★ジェスドロ編はこちらから


サポートいただけたらそれも創作に活かしていきますので、活動の応援としてぽちりとお気軽にサポート頂けたら嬉しいです。