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私の体を君に貸そう。

避妊をやめて2回目の”タイミング”で、私たちは赤ちゃんを授かった。
結婚したからいつ子どもができてもいいよねくらいの気持ちで、妊活をしていたわけではないから、「愛を確かめる行為」が「子どもを作るための行為」に変わるうんと前に授かれたことは、とても幸せなことだった。

妊娠検査薬の陽性反応、豆粒より小さな影を写したエコー写真、昔よりはるかに可愛い母子手帳。どれを受け取ってもなかなか妊婦になる実感が湧かず、愛おしそうに私のお腹をさする夫や、おめでとうをくれる家族に「いや、まだ無事に産まれるかわかんないし…」と最初はすごくモヤモヤしていた。
母体を出るまでは、パパもジジババも赤ちゃんを守ることはできない。この子を生かすも殺すも私一人に託されている。そう思うと、お腹に赤ちゃんがいることを手放しに喜べなくて、ただ楽しみに待っているだけでいい周りの人たちを恨めしく思う日もあった。

それでも君はすくすく大きくなっているようで、検診のたび「順調ですね」のお墨付き。私の不安なんてお構いなしに育っていく君は、もう立派に一人前だね。
ほんとは私、スリムが売りで、大きいお腹なんて許せないんだけど、あと数か月は君に貸してあげることにするよ。
だから、君を愛してくれるたくさんの人が待つこの世界へ、元気に生まれておいで!

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