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戦没者の遺骨収集の推進に関する法律の一部を改正する法律案について(政治家女子48党浜田聡参議院議員のお手伝い)

戦後70年を過ぎましたが、戦争の傷跡はまだまだ残っているようです。今回は戦没者の遺骨収集の推進に関する法律の一部を改正する法律案について、調べた限りを述べていきたいと思います。

本法律改正の要旨は「遺骨収集の集中実施期間の延長」です。法改正の趣旨に明記されているように新型コロナウイルスの影響により関係国への入国が困難であったこと等、当初計画の実施が困難である事が期間延長の理由になります。
 
「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律」は2016年に施行された法律です。法律制定以前からも遺骨収集事業は行われています。あまり報じられることはありませんが、著名人も参加する事業でもありますので、本法律の改正に至る経緯を見ていきたいと思います。

①遺骨収集事業とは~戦後の収集事業の歩み~

遺骨収集事業とは、前の戦争(俗にいうアジア・太平洋戦争(大東亜戦争とも))で犠牲になり、まだ国外にある遺骨を捜索し、日本に収容する事業を指します。
 
遺骨収集事業はサンフランシスコ平和条約締結後の1952年から開始しており、1958年度には合計計1万1358体が終了されました。これにより厚生省(現厚生労働省)は、これにより「国交未回復の地域及び相手国の事情から入域が困難な地域を除く玉砕地等についてはおおむね予定通り実施された」と第1次計画の実施を報告している。前の大戦で亡くなった方は約310万人で、そのうち海外で亡くなった方が240万人にのぼります。約240万のうち約1.1万体の収容は成果としては非常に乏しいものと評価せざるをえない数字ではあります。その後進展はなく、1967年に政府は「第2次計画」の実施を発表し、実施されました。「第二次計画」は1972年度まで行われ、計8万2679体が収容され、その後、第三次計画(1973~75年度)も行われ、9万3628体が収容されました。
 
ところが、その後は再び事業の進展が見られず、2016年に成立した議員立法である「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律」まで待つことになります。現在までに約128万柱の遺骨を収容しておりますが、全体の約半数程度になります。この事業が完了するのはいつになるのでしょうね。前が見えないです。

厚生労働省HPより

遺骨収集事業の経緯

厚労省HPより抜粋し、作成

②遺骨収集が進まない理由

戦後70年が経つ現在で、約半数程度しか遺骨収集が進んでいない理由の一つが遺骨の身元特定です。遺留品等による身元特定ができる遺骨ではない場合、DNA鑑定を現在は行っております。こちらは厚労省の「身元特定DNA鑑定会議」において報告がなされていますが、会議の議事要旨を確認すると、血縁関係を確認できない遺骨が大半を占め、身元の特定をすることが非常に困難であることが分かります。
もう一つは、外国との関係である。遺骨の発掘調査を行うためには相手国の事情もあり、日本との関係も影響が及びます。北朝鮮や中国などは対日関係を考えると進展が難しく、東南アジア地域でも発掘に関する問題が発生している。これは政府が委託したNPO法人が現地人に一部任せ遺骨を収集させたことが原因であることが報じられている。
 
このように長い年月が経ってしまった現在、遺骨収集がさらに困難なハードルとなる事は想像に難くないといってよいのではないでしょうか。

③遺骨収集事業の経費は?

遺骨収集事業の経費はもちろん税金が使われています。また、厚労省が指定団体とした一般社団法人 日本戦没者遺骨収集推進協会を中心として協力団体が多く存在し、物資の提供など企業も参画しています。どれほどの額がどれほど使われているかは下記のサイトから概観することができるので是非ともご参照ください。

また厚労省の報道資料にある令和4年度遺骨収集事業予算案の総額は約32.8億円にのぼります。この金額が高いか低いかはそれぞれの価値観となると思いますが、税金の使い方として意味のあるものなのか、精査されるべきではあると思います。

また令和5年度遺骨収集事業実施計画には詳細な計画が明記されていますが、ここに書かかれていることで一つ気になる事が派遣人数です。南方戦闘地域(主に東南アジア)への派遣は1班5名程度、遺骨収集に派遣する人員は1班概ね10人となり、実際に経験していない筆者が感じる限りなので客観性は欠きますが、「この少ない人数で進展はなるのか?」と感じます。

身元の特定も進まず、事業としての進展が乏しい中、政府の責任で起こした戦争の尻ぬぐいは結局、税金が原資です。議員立法で成立し、新型コロナウイルスというアクシデントにより事業が思うように進まなかったことが理由に挙げられていますが、その期間を除いた実績値を鑑みても、有志の民間団体で資金を持ち寄り、相手国との交渉は政府がサポートすればよいのではないかと思います。遺骨収集を求めるのは遺族が多いと思われますが、その遺族も高齢化し、近親者が減少していくことでしょう。歴史的史料として調査するという側面を考慮に入れれば意味のあるものになるとは思いますが、目的が異なるため、遺骨収集事業としては縮小・廃止の方向に向かうべきであると思います。筆者は大学で歴史学を専攻し、人並み程度の歴史的事実や遺族の想いに馳せるだけの情報を持ってはいますが、このような長い期間かけて進まない事業に対し税金を使うことに関しては疑問を持ちます。非常に冷徹との批判も起こるでしょうが、今を生き、未来の日本の発展のために税金は使われるべきだと主張したいと思います。
 
最後に戦後の遺骨収集に関して参考になる本を紹介しておきたいと思います。

最後までご拝読ありがとうございました。

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