台割の向こう側に完成品が見えた時〜ライターなるには日記【第4回】<裏>
先日『”サッカー旅”を食べつくせ!すたすたぐるぐる 埼玉編』を出版した、西葛西出版を取材させていただいた。その時の記事がこちら(有料コンテンツだが、イントロ部分だけでも雰囲気は掴むことができるはずだ)。
西葛西出版を立ち上げた中村慎太郎社長は、OWL magazineの主筆でもある。もともとOWL magazineは「若い書き手を育てて世に送り出す」志の高いメディアであった。しかし、それだけでは満足できない中村さん。とうとう出版社を立ち上げて、OWL magazineで誕生した新世代のライターをどんどん書籍デビューさせようとしている。
OWL magazineの秘蔵っ子である、ライターの五十嵐メイさんもそのひとり。彼女もまた西葛西出版で、デビュー作となる書籍の準備をしている(内容については当WMをご覧いただきたい。ただし会員向け)。インタビューの中で中村社長は、同席していた五十嵐さんの企画について、こう語っている。
中村 書籍として、十分に成立するということが、先ほどの打ち合わせで判明しました。最後は著者の根性だと思うので、宇都宮さんの「ライターなるには日記」で、書き切るために必要なことを学んでほしいですね(笑)。
ここで当連載の名前が出てくることに、いくばくかの使命感を禁じ得ない。当連載が、OWL magazineで展開していることを鑑みても、ここは心して連載を続けていくことにしたい。そしていずれいつの日か、当連載もブックライターを志す若者たちのために、書籍化されることを目指したい。版元はもちろん、西葛西出版で(笑)。
さて本題。前回は徹マガ元編集員の斉尾俊和くんによる、こちらの相談に私が答える形でスタートした。斉尾くんの相談の内容は、このようなものであった。
「メルマガでのアシスタントを経てから、編集プロダクションで経験を積んで今に至っています。それなりに長めのルポ記事なんかも書いているんですが、いずれもバラ売りの記事ばかりでした。そんな中、スポーツ居酒屋に関する書籍の企画が持ち上がり、ついに僕もブックライターとしてデビューするチャンスが巡ってきました。そこで、徹壱さんに質問です。バラ売りライターがブックライターになるためには、何が必要なのか教えてください」
この質問に対して、前回「バラ売りライターがブックライターになるために」というテーマでお届けしたが、台割の重要性を語り始めたところでタイムアップとなってしまった。今回は斉尾くんのみならず、これから西葛西出版で本を出そうとしている未来のブックライターに向けて、本稿をお届けすることにしたい。その前に「すたすたぐるぐる」に先駆けて、47都道府県を踏破して生まれた、こちらの書籍を「お約束」で。
というわけで、斉尾くん、メイさん、そしてこれから西葛西出版で書籍を出す、未来のブックライターの皆さん、こんにちは。当連載では毎回、質問者の出身地にまつわる写真を掲載しているのですが、今回は対象が個人ではないので、過去に海外で撮影した写真を掲載してみました(いずれもポストカードにして年内に徹壱堂にて発売予定)。
さて『蹴日本紀行』を7月末に上梓後、すぐに私は次の書籍に取り掛かりました。以前、こちらのnoteで言及した、松本光平というプロフットボーラーの半生を描いた書籍。今回は「構成」という立場で関わっています。著者である松本選手に合計10時間近いインタビューを行い、さらに周辺取材を重ねたのちに同選手に関わりのある8人の人物の証言も紹介する構成となっています。
これらさまざまな構成要素を、ぎゅっと1冊の書籍にまとめ上げるのは、かなりの力技となります。そこで重要となるのが「設計図」としての台割。そのことについては、第3回の<裏>で述べたとおり。ボリュームがある書籍を書き上げるためには、まず綿密な台割を作っておく必要があります。そして台割は「設計図」であると同時に「地図」でもある、とも書きました。
今回はその点について、もう少し深堀りしたいと思います。ここでヒントとなるのが「デッサン」です。
【以下、OWL magazine読者のみに公開】OWL magazineでは、サッカー記事や旅記事が毎日、更新されています。Jリーグだけでなく、JFLや地域リーグ、海外のマイナーリーグまで幅広く扱っています。読んでいるだけで、旅に出たくなるような記事が盛りだくさん。すべての有料記事が読み放題になる、月額700円コースがおすすめです。
なお、宇都宮の新著『蹴日本紀行』は、徹壱堂でお買い上げいただきますと、著者サイン入りでお届けいたします。
ここから先は
OWL magazine 旅とサッカーを紡ぐWeb雑誌
サポーターはあくまでも応援者であり、言ってしまえばサッカー界の脇役といえます。しかしながら、スポーツツーリズムという文脈においては、サポー…
よろしければ、サポートをよろしくお願いします。いただいたサポートは、今後の取材に活用させていただきます。