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【短編怖い話】前の所有者

【短編怖い話】前の所有者

数年前、私の親しい友人、Cさんがとても珍しいアンティークの鏡を手に入れたと聞きました。

Cさんはアンティーク好きで、趣味として色々な古道具や家具を集めていました。

先日、彼の家で夕食を共にした際、その鏡のことを教えてくれました。

「この鏡、すごいんだ。前の所有者が何かを訴えているような気がして」と彼。

「訴えているって?」と私。

「うん、鏡を見ると、自分の姿ではなく、前の所有者の姿が映って、なんだか現実と夢が入れ替わっているような感じがするの」と彼は言いました。

その後、彼はその鏡の前に立ち、私にその現象を見せようとしました。

「見て、これが…」

しかし、彼の声は途中で絶えました。

鏡には彼ではなく、前の所有者の死に様が映し出されていました。

彼の顔には、紛れもない恐怖の色が浮かんでいました。

そして、彼は突然その場に倒れ、動かなくなりました。

救急車を呼んで彼を病院へ運びましたが、心臓発作で亡くなってしまいました。

私は、あの鏡の前で何が起きたのか、その恐ろしさを思い出して、しばらく立ち直れませんでした。

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