日本偉人伝

偉人
すぐれて立派な人。
すぐれた能力、性格などを備え、偉大な業績を遂げた人。
                 (日本国語大辞典)

 今の日本は便利なモノゴトがたくさんあります。
 電車や自動車、病院や生活保護制度などなど。
 パソコンを発明して普及させた人々は、まさに偉人だなと思います。

 そう思っていましたが、現代においてお金とは空気みたいなものではないかと考えているうちに、どうもほんとうに、とんでもなく大切で、それが無いともう生きていけないようなものごとは、ふだんは、それがあることに気づかないくらい、軽く、さりげなく、或いは、透明なものではないかという気がしてきました。

あたかも人間が太陽の光を受けて育ちながら、太陽に気づかない、空気を吸って生きながら、空気のありがたみを思わない。

 これですね。
 そして、ありがたみすら感じないようなそれらのものごとがあるから、生きていられて、便利なモノゴトも工夫したり、享受できたりしている。

頭の良い、理屈の立つ人々や、社会政策とか社会福祉とか言っていろいろ仕事をしたがり、それを自慢にする親切ごかしの商人みたいな者どもをみな追い払って、
おっとりして重厚な人や、黙ってコツコツと善くはたらく型の人を挙用した。二年三年と経つといつとなくその地方が善く治まった。いわゆる無為の化である。水や、空気や光のように誰からも無意識であり、無名であるようでなければ本当でない。

 偉人というと、伝記に載っている、雑誌の特集によく取り上げられる、小説や映画になるような人たちを思い浮かべますが、それとは違う偉人もいると思います。

おっとりして重厚な人や、黙ってコツコツと善くはたらく型の人

水や、空気や光のように誰からも無意識であり、
無名であるようでなければ本当でない

 このような人々は、偉人だとわたしは思います。

 そして、かつての日本には、こういうタイプの偉人が日本のあちこち、町や村にも、ふつうに歩いて、ふつうに暮らしていたようです。

 それが、どうも、失われてきているようなので、わたしは、悲しいです。
 そして、何より、残念です。

 世界遺産がどうこういうなら、日本の透明な偉人たちを登録してもらいたいものです。 
 なぜなら、近い将来に迫った、グローバル化した世界の、精神的な荒野となった都市の暮らしを救うのは、アインシュタインとかスティーブ・ジョブズとかいったタイプの偉人ではなく、かつて日本にいた透明な偉人たちだろうと思うからです。


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