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MCU雑感/フェーズ1

大体1年くらい前、レッドキャップという作品を読み始めた。
この作品はスパイダーマンの二次創作で、当然ながらマーベル作品のキャラクターがバンバン出てくる。作者の方の手腕が見事なので本編を知らなくても大体のキャラ像は掴めるのだが、せっかくの機会なのでマーベルの映画作品シリーズであるMCUシリーズを視聴することにした。ついでなので見た作品の感想とかを残しておくことにする。

なお、作品のあらすじとヘッダーの画像はディズニープラスの公式紹介ページから引用した。

アイアンマン

テロ組織に拉致された巨大軍事企業の社長であり天才発明家でもあるトニー・スタークは、彼らの目を盗んで戦闘用パワードスーツを作り出し、脱出に成功する。そして自社兵器がテロ組織に悪用されていたことを知った彼は、テロ撲滅のために“アイアンマン”となって戦いに挑んでいく……。

金曜ロードショーとかで見た記憶があるのだが、改めてみるとかなり綺麗な作りをしているなーと感じた。原典のアイアンマンのことはあまり知らないのだが、その上で一本の映画として綺麗にまとまっていた。

話の縦筋は「HEART」だ。軍事企業の社長が、己の武器によって齎される惨禍を直視し、正義のための戦いに身を投じる。これを生命維持のために胸に装着するアークリアクターと併せ、ヒーローとしての誕生を描いている。敵は、会社の目を盗んで兵器を密売する役員で、トニーが開発したリアクターを簒奪することで稼働する巨大アーマーを駆るのだが、取引相手すら不要になれば始末するなど、文字通りの「心ない敵」というのを表現するのが上手いなぁと感じた。

映像面も2008年ということを鑑みても――というか現代でも十分通用するレベルのCGで、見ていて飽きなかった。超高速飛行で戦闘機とチェイスする場面のスマートさもさておき、序盤の試作アーマーの重厚な戦闘も見ごたえがあった。総じて満足。

インクレディブル・ハルク

科学者ブルース・バナーは放射能実験で大量のガンマ線を浴びて以来、怒りを感じるとアドレナリンの分泌と共に巨大な緑色のモンスター“ハルク”に変身する特殊体質となってしまう。そんな彼を軍事実験に利用しようとするロス将軍は、恐るべき追手たちを送り込んでくる……。

でかくてごつい奴が動くと楽しいがでかくてごつい奴が動くところ以外はちょっと普通だな……って感じの映画だった。
望まぬ力を手に入れた主人公の悲哀の話は割と見てるので、その上で何というか……それを超えるものではなかったかなぁという印象。

話の筋は「力をどう扱う?」かなぁと読み取った。力を忌避し、捨て去ろうとするバナー=ハルクと、ハルクの力に魅入られ、己のも異形の力を手に入れようとするアボニメーション。めちゃくちゃ悪の怪物にしか見えないハルクをヒーローにする手法が敵をもっと悪そうな怪物にするという剛腕は評価したいなぁという思いがあります。あとはハルクが動いてるときはとにかく楽しかった。両手を叩くだけで炎を吹き消したり、地面を殴って地割れを起こして敵の足を掬ったり、剛腕故のテクは見ていて楽しかったですね。

アイアンマン2

自らアイアンマンであることを告白した、トニー・スターク。そんな彼に新たな危機が迫っていた。米国政府のパワードスーツ没収命令、謎の男“ウィップラッシュ”の出現、そして、武器商人ハマーもパワードスーツを開発していた……。

アイアンマン面白いなぁ! のまま、アイアンマン2面白いなぁ! ってなれた。ちゃんと続編が面白い映画って貴重な気がする。

今回の縦筋は「継承」かなぁ? 己の死期を悟り、会社やスーツを託そうとするトニー。相対するはトニーの父と因縁を持つ男の息子、ウィップラッシュ。何かを託そうとして失敗するのは主人公のトニーも敵役のハマーも同じなんだけど、上手くいかなかったから奪おうとするハマーと、自分に託してくれるものがいたトニーの対比が綺麗に決まっていたなぁと思った。

映像の派手さも前回以上で、シナリオ演出両面で見ていて面白い映画だった。やっぱりアクション映画は派手な方がいいよね。

マイティー・ソー

神の国「アスガルド」で無敵の強さを誇る戦士ソー。だがあまりの傲慢さゆえに神々の王である父の怒りに触れ、最強の武器「ムジョルニア」と全ての力を奪われて人間界へ追放されてしまう。そんな最中、地球と神の国には危機が訪れていた……。

「ド派手CGを……やります!!」という映画。
神話世界のスケールをとにかく全力で……やる!!!!! という意志が見えました。とてもよいと思います。
異世界の怪物とか巨人とか、CGを大分頑張ってるなぁという印象です。

シナリオはかなり神話チックな兄弟喧嘩で、手あかがついてると言えばついてるんだけどCGが綺麗だからあんまり気にならないな~って感じです。雷落としたりするのはやっぱり映えるね。

ただ一点だけ滅茶苦茶気になったんですけどデストロイヤーって何!?!!?!?!? 絶対北欧のオブジェクトじゃないだろお前!!!!!!!! 最初は「ウィッカーマンかな? けどウィッカーマンってケルトだっけ?」みたいに思ってたけど完全に違うじゃん!!!! 何なんだよお前!!!!!!
あとやたら長尺で弓構えてるお前!!!! ホークアイなの!?

キャプテン・アメリカ/ザ・ファーストアベンジャー

兵士として不適格とされた貧弱な青年、スティーブ・ロジャースは、軍の極秘実験「スーパーソルジャー計画」により“キャプテン・アメリカ”として生まれ変わる。悪の組織ヒドラから仲間を救うため、彼は敵地に向かっていく……。

なんかよく分からん映画だったな……うーん? って感じの映画。今もずっと考えているのだけどよくわからないなぁってなってる。

こう……よくわからなかったものを見た時、それは送信側の問題なのか受信側の問題なのかっていうのがわからないともやもやするじゃないですか? 今まさにそんな感じになっています。うーん何だったんだこれは。

まずもって第一に、キャプテンアメリカがあんまり強そうに見えないという問題があるんですよね。劇中の時代設定が第二次大戦中で、ヒドラは超科学兵器を持っているものの、なんかそれがいまいち強さに結びつかないというか……。アイアンマンは戦車を片手間で破壊し、ミサイル基地を壊滅させる人間武器庫で、ハルクは当たり前のように自動車を片手で持ちあげ武器にする怪力を持ち、ソーは神として雷撃を操りムジョルニアでの戦闘もできる。それらと比較したときにキャプテンの格があんまり高そうに見えないんですよね。滅茶苦茶強い人間であって、なんというか……それ以上じゃないというか……。本人の力で派手な破壊が起きるわけではないのもあんまり強そうに見えないのに拍車をかけてる感じがしますね。対人戦だと無敵、と言われても他の奴らもそれくらいできるじゃん? って感じなので。

第二に、キャプテンのキャラが生かしきれてないなぁというのがあります。
キャプテン、クソ真面目人間なのでどうしても一人じゃ間が持たないんですよね。軽口叩いてくれる人が周囲に居ないと「真面目で強い兵士が戦います!」で終わってしまう。アイアンマンやソーは割とちゃらんぽらんなところがあるし、ハルクは一見大人しそうに見えて怒ると手が付けられないという強力な二面性がある。なので一人でも割と間を持たせられるんですが……。

で、第三の問題、というかこれが一番でかい問題なんですけど、多分「キャプテン・アメリカ」ってアメリカの神話なんですよね。アメリカという国のナショナリズムの体現、建国神話の一等地。なので「ヒドラ=ヒトラーが我々の国を脅かそうとしている!」「けど大丈夫! 我々にはキャプテンがいるからね!」「アメリカ万歳!」のノリが理解できないと多分本当の意味でこの映画を理解することができないんだろうなぁという気がするんですよね……。

頑張って解釈を試みるなら、神話の遺物であるキューブと、70年の時を経て復活したキャプテンを重ね合わせて「神代回帰」をやろうとしているのかなぁ……? そうすることで次のアベンジャーズが神話の始まりと表現できるのか……? 解らないので有識者の解説を聞きたいですね……。

アベンジャーズ

地球侵略へのカウントダウンが開始された時、70億人もの人類の未来は、“最強”の力を持つヒーローたちに託された。彼らの名は、“アベンジャーズ”。だが、意思に反して集結させられた彼らはそれぞれの心の傷に囚われ、ひとつのチームとして戦うことを拒み続ける。次第に明らかにされる“アベンジャーズ”の知られざる過去と苦悩……。人類史上最大の敵を前に、果たして彼らは地球を救うことができるのか?それとも……?

高級春映画だろ!! 高級春映画以外の何者でもないぞこれ!!
あまりにも春映画過ぎて体の中の春映画で喜ぶ部分がずっと反応していた。だってすっげぇ春映画だったから……
(※春映画:平成仮面ライダーシリーズにおいて春ごろに公開される映画を指す。往々にして沢山のキャラが登場するが、殆どが賑やかしであったり、設定に矛盾点が見られる。転じて、「脚本の質やシナリオの整合性よりも勢いと絵で盛り上げる類いの胡乱な映画」を指す)

これは視聴前に展開を予想したツイートなのですが、恐ろしいことに半分くらい的中していることからも春映画であることは疑いもないと思います。最初の仲間集めパート! なんか悪そうな敵! 洗脳悪堕ち! 仲間割れ! 終盤は団結して巨大な敵とのバトル! 雑に統合される世界観……全部が春映画!!! 海を隔てても、予算と時間が潤沢にあっても、ヒーロー大運動会は世界共通ということをこれ以上なく理解させてくれる作品だったな……

とまぁ擦ったのは擦ったけど流石に戦闘シーンの迫力は段違いで見ていて楽しかったですね。長尺弓おじさんと思われたホークアイが敵に回ると滅茶苦茶厄介だったり……空中でのアイアンマンの装着シーンとか……色々!!
それはそれとしてSTARKタワーのネオンが戦闘で破損して最終的にアベンジャーズのAだけ残るのは平成板と発想の大本が同じだろ!!!!!!

とりあえずフェーズ1はこれでおしまい。次のヒーロー大運動会のときにまたまとめるね。

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