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見た平成ライダーをお勧めする~一期~

平成ライダーを見ろ

一文目から「思想」が漏れ出てしまった。許して。
皆さんは平成ライダーを知っているだろうか。平成ライダーは要するに平成という時代に放送された仮面ライダー。特にクウガ~ジオウのTVで放送された20作品を指す。こういうことを書くと「BLACK RXは平成でも放送してるだろ!!!」とか「真・ZO・Jは!?」とか「アマゾンズ!!!! G!!!!」とか言い出す輩が出てくるが今日はお前らに向けて話さないので一旦口を閉じて帰ってくれ。

私もまだ全部見れてないのだが、今まで見た分はとりあえず面白かったし、他人に勧められる内容だったのでお勧め記事を書くことにする。今回の記事で対象となるのは今までライダーを見たことがない人間である。また、「劇場版を見ないと話が繋がらなかったり完結しなかったりする」とか「客演が多いので他のシリーズを把握してないとよくわからない」とかがあればその都度明記していく。

ちなみに仮面ライダーシリーズは以下のリンクから各作品のページに飛ぶと全作品2話まで無料で視聴できる。気になった作品があるのなら試しに視聴してみると良いかもしれない。

あと念を押しておくけどこれは個人の主観だからな!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 個人の主観!!!!!!!!!!!!! 客観的な評価でないことは念頭においてくれよな!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

クウガ

(仮面ライダーWebより)

遥か昔、人類を殺戮する謎の集団「グロンギ」と戦士「クウガ」の戦いがあった。そして時は流れ、西暦2000年。復活したグロンギから人々を守るため、古代のベルトをその身に宿した冒険家・五代雄介は仮面ライダークウガとして戦い始める。次々に出現する怪人たち。激化する戦いの中で、より強力な形態を獲得していくクウガ。「みんなの笑顔を守るため」。五代は刑事・一条薫をはじめとする多くの人々に支えられながら、グロンギとの死闘を繰り広げていく。

仮面ライダーWeb 仮面ライダークウガ

クウガは平成ライダーの中でも特に異質な作品だ。登場ライダーがひとりだとか一人でバイク二台持ってるとかまぁそういうのもあるが、一番の異質さは異常なまでのリアリティの追求だろう。

作中に登場する怪人「グロンギ」と、それと戦う戦士「クウガ」以外のあらゆる事象に対して徹底的にリアリティを追及している。作中人物の移動時間まで完璧に計算したという逸話もあるほどだ。更に、作中のリアリティラインの追求の徹底例として、劇中でメタ的な設定用語を完全に排したという点も挙げられる。例えば上記ポスターのクウガは色ごとに赤色は「マイティフォーム」、青は「ドラゴンフォーム」などの設定があるのだが、これは一切作中で語られない。作中の呼称は「赤のクウガ」「青のクウガ」であり、そもそもクウガを知らない人間はニュースで放送された「四号」と呼称している(※)。
(※未確認生命体四号の略。怪人とともに発見されたクウガはまとめて同類と判断されて連番で名前が付けられた。)

このように、クウガという作品は徹底して作中の出来事を事実として扱っている。怪人による被害も生々しいものが多く、「ジャンプしてビルの屋上から投げ落とす」だとか「バイクで轢き殺す」だとか、我々の想像しうる現実と地続きの被害ばかりだ。このリアリティの追求こそがクウガの持つ魅力であり、後続では見られない独自の味である。

個人的には「シン・ゴジラ」みたいな限りなく現実に近い世界での話が好きならクウガはお勧めできるんじゃないかなーと感じる。さらに、クウガには劇場版も特別編もなく本編だけで完結しているので、他に情報を仕入れたりどのタイミングで映画を見るべきかを気にする必要もない
欠点を挙げるとするなら、連続ドラマとしての風味はやや控えめ。昭和のライダーを現代にアップデートし、「大人の視聴に耐えうる」という評価を目指した……というのがやや穿った見方である。
あとは流石にここまで古いとCGがきつい。気になる人は気になるかもしれない。

アギト

(仮面ライダーWebより)

不可能犯罪によって人々が変死する事件が発生。それは正体不明の怪人「アンノウン」によるものだった。警視庁「未確認生命体対策班」に所属する氷川誠は、G3と呼ばれるパワードスーツを装着して迎撃にあたるが、怪人の驚異的な力に翻弄され、追い詰められてしまう。そして窮地のG3の前に、金色の戦士「アギト」が現れる……。記憶喪失の青年・津上翔一と水泳選手・葦原涼の身体に起こる異変。アギト、アンノウン、オーパーツの謎。新たな戦いの幕開けと共に、翔一に秘められた過去が明らかにされていく。

仮面ライダーWeb 仮面ライダーアギト

アギトは今なお続く仮面ライダーシリーズにおいて、ある種基準のような見方をされている作品だ。クウガからアギトへの進化で生み出された群像的な作品感は今なお形を変えて受け継がれている。
というかアギトはマジで話題に上ることが少ない。隠れた名作扱いもいいがたまには語ってあげてほしい。なのでここでネタバレにならないように魅力を解説したい。

クウガからアギトへの変化で最も大きい点は連続ドラマとしての魅力の確立だろう。登場ライダーは3人に増加し、それぞれの人物が独自に行動し、ニアミスし、或いはライダーとして互いに正体がわからずに激突し、共闘する。それぞれが持っている情報量や目的が異なるというのは単純ながら強烈にドラマを生んでいく

記憶喪失の青年・津上翔一の正体。未確認生命体対策班・氷川誠が対峙する謎の怪人「アンノウン」の目的。水泳選手・葦原涼が追い求める「あかつき号事件」の真相。――なんと序盤で氷川誠は「あかつき号事件の英雄」であることが明かされる。つまりクリフハンガーとして、芦原涼と氷川誠の邂逅が用意されており、更にアンノウンと人知れず戦う「アギト」の正体は津上翔一であることもなんと一話で開示される。先への期待の引っ張り方が上手いんだわ!!

アギトに対する総評の中で「クトゥルフ神話っぽい」というものがあり、私はこれを言い得て妙だと感じた。神話、生物、科学。この三要素を物語の主人公に当てはめ、壮大な神話を背景に、未知のオカルトのテクスチャの上で奔走する人間を描くのがアギトという物語だ。

また、アギト以降の作品は劇場版が存在する
アギトの劇場版は「Project G4」。作品中盤以降の展開が含まれるので深くは触れないが、アギトのテーマを詰め込んだ、人間賛歌としての名作であるということには触れておこう。本筋とは関係のないパラレルな世界のストーリーであるため、視聴せずとも物語の理解には支障がない。深いテーマを知りたいのであればお勧めだ。あとなんか知らんけどめちゃくちゃ画質がいい。特別なカメラ使ってるらしい。

先述したが、アギトはクトゥルフ神話TRPGのような「先にある謎を考察しながら物語を読み解いていく」という作品が好きな人間にお勧めだ。劇場版や特別編はあるが、物語の本筋とは別なので本編だけ見ても話が飛んだり置いてけぼりになる心配はない
欠点を上げるなら……画質が古いくらい? 優等生みたいな作品で完成度が高くて欠点が少ないから話題に上がらないという観点もあるかもしれない
以上の点から平成ライダーの入門編としては自信をもってお勧めできる作品である。画質の古さが気にならず、考察しつつ見ていきたいならぜひ検討してみてほしい。

龍騎

(仮面ライダーWebより)

全てが左右反転した鏡の中の世界「ミラーワールド」。そこでは生き残った者の願いを叶えるという、仮面ライダー同士の過酷なバトルが繰り広げられていた。「ライダーバトルを止めるため、そして人々を守るため」。仮面ライダー龍騎となった城戸真司を待ち受けていたのは、ナイト=秋山蓮をはじめとする他のライダーたちとの出会いや仲間の死、そしてバトルに仕組まれた悲しき真実であった。熾烈なライダーバトルの中で、真司たちはそれぞれの願いを胸に命を散らしていく。

仮面ライダーWeb 仮面ライダー龍騎

まだ見終わってないのでお勧め文は省略

555(ファイズ)

(仮面ライダーWebより)

夢を持たない青年・乾巧は旅の途中、特殊な変身ツール「ファイズギア」を持つ少女・園田真理に遭遇。異形の怪人「オルフェノク」に襲われたことをきっかけに、仮面ライダーファイズとして戦い始めるのだった……。ベルトを巡る争い。そしてオルフェノクとして甦りながらも、人として生きようとする青年・木場勇治との出会い。悪意が生み出す罠や対立に巻き込まれながらも、巧は人間として、ファイズとして、誰かの夢を守るための戦いに身を投じていく。

仮面ライダーWeb 仮面ライダー555

ファイズは人間の持つ善性と悪性を強烈に抉り出す、人を選ぶ作品である。滅茶苦茶面白いんだけど、それはそれとして思慮なく他人に勧めるのは少し無責任な気がする、そんな作品だ。
ファイズという作品は「ライダーは正義で怪人は悪なのか?」「悪人は最初から悪人だったのか?」ということを強烈に投げかけてくる。そのために「いやこれは人を憎んでも仕方ないですわ……。」みたいな描写を重ねるのだが、この描写がかなり人を選ぶ。ファイズは人間の悪意を描くことに容赦がないため、それが苦手な人はとことん合わないだろうなぁと感じる。1話できついなぁと感じたなら無理せずやめておいた方が無難かもしれない。

ファイズのシナリオで特徴的なのはライダーと個人が結びつかなくなったところだろう。今作はベルトさえあれば簡単に変身できるため、「こいつが変身するのはこのライダー!」と断言できないのだ。つまり他人を騙って襲い掛かったり、変身者を誤認させたり、そもそもベルトの奪い合いが生じたりする。怪人とライダー、どちらが正義でどちらが悪か、そもそも区別があるのかと問いかけるシナリオにおいて、簡単にライダーになれてしまうというのはとても深い意味を持つと感じた。

何度も繰り返している通り、ファイズは善悪を視聴者に強烈に問いかける。一見好青年に見える木場勇治は怪人として蘇り、激情を抑えきれずに感情のまま行動してしまう場面が散見されたり、どこか突き放したような態度をとる乾巧は成り行きとはいえ人を助ける場面が多く「人を裏切るのが怖い」と零してしまうほど繊細な一面を持つ。作中で登場する怪人は殆ど死人が蘇ってしまった者たちであり、平穏な暮らしを望む者も、力に溺れる者も存在する。更にはライダーの中にも怪人を倒す為なら目障りな人間を貶めることを厭わないという危険思想の持主さえ存在する。そして彼らの生き様は、簡単に折れてしまうこともある。描かれるのは人間の本能として当たり前に持ちうる善性と悪性、そして弱さだ。

そしてファイズの物語で救いとして描かれるのは「夢」だ。怪人に成り果てようとも、弱さを抱えようとも、本能として持つあらゆる悪徳を乗り越えるのは「夢」なのだとこの物語は主張する。ファイズの物語は夢を持たない青年・乾巧が己と、周囲の人間と向き合い、夢を知る物語である。

特に劇場版「パラダイス・ロスト」はパラレルな物語でありながら、人類滅亡間近という衝撃的な展開で我々に善悪とそれを超越するための「夢」を突き付けてくる作品だ。本編を視聴する折にはネタバレを勘案して30話手前位のタイミングで見てほしい。

繰り返しになるが、ファイズは陰鬱な展開を多く含み、視聴者をかなり選ぶ作品であると私は考える。視聴の際にはその点を注意してほしい。鬱展開に耐えられて、それを乗り越えることこそ人間の本懐なのだという人にとってファイズは無二の良作となることだろう。
あとあまり触れなかったが戦闘シーンがスタイリッシュで本当にかっこいいのでそういう面でもお勧めできる。スマートなフォルムと各部に仕込まれた発光ギミックは素晴らしく、闇夜に光を纏って現れるライダーは最高だということを教えてくれる。
……鬱展開に耐えられてスタイリッシュな戦闘が好きな人間、要は中二チックなものが好きな人間では? という思考が脳裏をよぎったがもし私が中二の頃にファイズを見てたら好きになり過ぎて狂ってしまったかもしれないな……。

剣(ブレイド)

(仮面ライダーWebより)

1万年前、不死の生命体「アンデッド」が52枚のカードに封印された。現代に甦ったアンデッドを再び封印するため、「人類基盤史研究所(通称:BOARD)」はライダーシステムを開発。新人職員・剣崎一真は仮面ライダーブレイドとして、先輩の橘朔也=仮面ライダーギャレンと共に日夜アンデッドとの戦いを繰り広げていた……。橘の裏切り。壊滅する組織。そしてアンデッドの封印に仕組まれた罠。過酷な運命に翻弄されながらも、剣崎は己の信念を刃に込め、全ての人のために戦い続ける。

仮面ライダーWeb 仮面ライダー剣

剣はファイズとは別の理由でちょっと勧めづらい点がある作品である。具体的に言うと視聴中にインターネットが襲い掛かってくる作品なのだ。
多分ここを見ている人間は「オンドゥル語」というものを少しは聞いたことがあるだろう。詳細は省くが要するに何故かみんな序盤滑舌が悪いのだ。
滑舌が悪いのならいいのだが、剣は特に序盤の話の動きが鈍い。話が面白くなるのは全てのライダーが登場する16話以降で、ここからは一気に面白くなる。つまり剣という作品は話の動きが鈍くインターネットでネタにされまくってる序盤の展開をみて離脱されないかを気にしてしまう作品なのだ。
無論ネタにしながらゲラゲラ笑って見てもらえるならそれに越したことはない。見てもらえさえすれば途中から加速する展開に目が離せなくなるはずだ。ただネタをネタとして笑えなかったり話がよくわからなくて離脱する気持ちも分からなくはない……。序盤は受け入れてもらうしか……

剣の物語の見どころは剣崎一真と相川始の数奇な運命と友情だ。職業として仮面ライダーをやっている剣崎と、謎のライダーとして戦っていた始。最初は剣を交えた二人が徐々に絆を育んでいく中盤までの展開と、それゆえに致命的な破局に向かっていく終盤、そして剣崎が選び取った結末という「切札」。この二人の関係性に着目すれば剣の一番おいしいところが存分に味わえるだろう。勿論他の二人のライダーの関係性も魅力的だ。頭脳明晰で戦闘能力も秀でているが、どこか精神的に不安定な橘さんと、特に覚悟もなくライダーになってしまった故に、力への憧憬が危うさを産む睦月。彼らの師弟関係もまた物語をけん引していくのだ。
先ほど序盤の展開が鈍いと言ったが、それはこれらの人間関係の為の助走ともいえるだろう。じっくりと描かれる関係性は剣の最大の見どころといってもいいだろう。

剣は序盤の展開こそ鈍いが物語が描く登場人物の関係性や、中盤以降の展開は全作品トップクラスの鋭さを持っている。特に剣のオタクはTwitterで調べたらなんか今でも狂ってる人が多い。もうそろそろ20年前の作品なのに狂ってるオタクがいるということはもうそれは良作の証拠という他ない。インターネットミームに襲い掛かられても笑ってやり過ごせる方はぜひ剣を視聴して欲しい。そして最終回まで見て私たちと一緒に情緒をボロボロにしような……。

響鬼(ひびき)

(仮面ライダーWebより)

己の身体を鍛え、変身することで超人的な能力を発揮する戦士「鬼」。ヒビキは鬼の一人であり、人々を守るために怪物「魔化魍(まかもう)」 を退治する使命を背負っていた。そして屋久島を訪れた少年・安達明日夢は、鬼と魔化魍の戦いを目撃する。鬼の名は響鬼。ヒビキが変身した姿であった……。ヒビキへの憧れ。抱える悩み。明日夢はヒビキやその仲間の鬼たちと出会ったことで、徐々に成長していく。

仮面ライダーWeb 仮面ライダー響鬼

未視聴なので省略

カブト

(仮面ライダーWebより)

渋谷の隕石落下災害から7年後。人間に擬態する地球外生命体「ワーム」の脅威が人類に迫る。秘密組織 ZECTはワームに対抗すべく、クロックアップ=超高速戦闘を可能とする「マスクドライダーシステム」を開発。しかし、システムは組織の思惑とは関係なく、運命の男・天道総司を仮面ライダーに選ぶ。こうして天道は仮面ライダーカブトとして、自身の思うままに戦い始めるのだった。

仮面ライダーWeb 仮面ライダーカブト

未視聴なので省略

電王

(仮面ライダーWebより)

未来からの侵略者「イマジン」。彼らは過去を改変することで未来を変えようとしていた。謎の乗車券「ライダーパス」を拾った”運がとてつもなく悪い”青年・野上良太郎は、時を越える列車「デンライナー」と遭遇し、イマジンのモモタロスに憑依されてしまう。だが良太郎は、自分に憑りついたイマジンの制御や、仮面ライダー電王への変身が可能な存在「特異点」であった。良太郎はモモタロスをはじめとする味方のイマジンたちと協力しながら、時の運行を守る戦士・電王として戦いを繰り広げる。

仮面ライダーWeb 仮面ライダーカブト

未視聴なので省略

キバ

(仮面ライダーWebより)

人間の持つライフエナジーを吸収する人類の天敵「ファンガイア」。バイオリン職人の紅渡は仮面ライダーキバへと変身し、悪のファンガイアとの戦いに身を投じていた。父・紅音也が遺した「ブラッディローズ」を超えるバイオリンを作ることを夢見ながら……。そして遡ること22年前、天才バイオリニストである音也もまた、ファンガイアとの戦いを繰り広げていた。過去と現在、父と息子。二世代に渡る人間とファンガイアの運命の物語が動き始める。

仮面ライダーWeb 仮面ライダーキバ

ライダーを始めて見る人間にキバを勧めるのはあまりよくないと思う。いやキバは滅茶苦茶面白いのだけどこの面白さはオタクがクラスの一番後ろで腕組んで「俺は面白いと思ってるが……」ってやるタイプの面白さなんですよねこれは。順を追って解説していきます。

いろんな作品を鑑賞するときにとりあえずその手の作品の「型」ってあるじゃないですか? 例えば漫画だったらコマをどう読み進めればいいとか、ホビーアニメだったらホビーが世界規模で流行ってるのが当然だとか。ライダーだったら怪人が出て来て……みたいな「型」があるじゃないですか。キバはそれがわかってないと混乱しちゃうところがあるんですよね。

キバは過去と現在、父と息子が主人公の作品で、それゆえに視点移動がとても多く、繋がりを把握するのが結構大変なんですよね。今どっちの話をしてるのかわからなくなった上でライダーのお約束の怪人バトルが挟まっちゃうと「ああこれは今週のバトルなんだな」ってならずに「何を見せられてるの?」ってなっちゃうんですよ。なのでキバを見る前に何かしら別の作品を見てなんとなくのライダーの傾向を掴んでおくとよいかもしれません。

物語は恋愛要素が強めで、父も息子も三角関係になっちゃうので昼ドライダーなんて呼ばれ方されてます。このあたりも人を選ぶ原因になってるかもしれません。特に恋愛に興味がない人からしたら主人公の恋愛パートに尺を割いてるのは退屈かもしれないので……。

物語のテーマは「継承」だと私は思っています。父と子、世代を超えて受け継がれるものは何か? それは血の繋がりだけなのか? ――つまるところキバはGENEとMEMEのお話です。
現代編の主人公のは世間との繋がりを断って引き篭もり、あまつさえこの世アレルギーなんて言い出す始末です。しかし彼は何故かキバの鎧をまとい、怪人のファンガイアと戦っています。過去編の主人公の音也は渡とは真逆に、天才的なバイオリンの腕と致命的までの社会性の欠如を抱え、好き勝手に生きています。彼がファンガイアとの戦いに身を投じたのも言ってしまえば下心が原因です。彼は現代編ですでに故人となっており、渡は音也のことをほとんど知りません。いったい彼に何があったのか? 何故渡はキバに変身できるのか? そのような謎を抱え、物語は過去と現代、二つの時代で展開していきます。

キバは内容も複雑で初見だと理解が及ばない箇所が多く、それゆえに最初に気軽に見るには少しハードルが高い作品だと判断します。逆に全部理解できた時は滅茶苦茶気持ちいいのですが……。ともかく、最初に見るにはあんまりお勧めできない作品です。ある程度ライダーに慣れてしっかりと物語を楽しめるようになった際にはぜひ視聴して欲しいのですが、一旦は別の作品を視聴して欲しいかなぁと考えます。

ディケイド

(仮面ライダーWebより)

突如崩壊し始める世界。人々に襲い掛かる無数の怪物を前に、記憶喪失の青年・門矢士は仮面ライダーディケイドへと変身する。彼に課せられた使命、それは世界を消滅から救うことだった……。別世界での仮面ライダーたちとの出会い。そして戦い。9つの並行世界を巡るディケイドの旅が今、始まる。

仮面ライダーWeb 仮面ライダーディケイド

最初にディケイド勧めるのもよくねぇよ!!!!!!! ディケイドは確かに他よりもちょっと短くて視聴しやすいように見えるけど他の作品のネタバレが凄い勢いで含まれるんだよ!!!!!!!!!!

ディケイドは今でいうとマルチバース的な世界観を持つ作品と言えるだろう。過去作のライダーが登場する並行世界を旅して、各世界のライダーに変身できるようになるのがディケイドの特徴だ。過去作のライダーが登場すると言っても、本人が客演するわけではなく、並行世界の人物――要は「仮面ライダーディケイド」という作品に登場するクウガは「仮面ライダークウガ」に登場するクウガとは別人である。ディケイドは「仮面ライダーディケイド」という作品のクウガの世界を旅して、「仮面ライダーディケイド」という作品のクウガとともに戦う訳だ。

今作は各ライダーの世界をめぐり、原典と相似の物語を繰り返し、ディケイドの物語が紡がれていく。いわばこれは再話構造であり、有体に言えばテストの復習のようなものだ。そしてその性質上、原典のネタバレが凄い勢いで含まれる。さらに、過去作のライダーの客演も普通にあるし、一部場面では本人客演すら存在する。なのでディケイドを全力でしゃぶりつくすなら他の物語を先に視聴してからディケイドを視聴することを推奨したい。

そしてこれはマイナスポイントなのだが、ディケイドの物語は本編だけで完結しない。劇場版2作品を経て、ディケイドは真の完結を迎える。そういった意味でも少しお勧めしづらい点が含まれるのは確かだ。しかし逆に考えれば滅茶苦茶気軽に過去作の要点を見ることができる上にいろんなライダーがたくさん出てくるお祭り作品としてみればまぁ……最初に見ても……いいのでは……!? という気持ちもなくはない。結局のところネタバレを気にしないのであれば平成一期のまとめ作品としてみるのも悪くないだろう。

総括~平成一期~

ここまで紹介したのは平成ライダーの前半、所謂平成一期と呼ばれる作品群である。簡単に特徴をまとめておく。

  • 映画が本筋と絡まないものが多い

  • 番外編は殆どない

  • 以上の点から本編だけで話が完結する

  • 撮影時期もあって映像はやや古め

また、お勧め作品の総括としては以下のような結論である。

  • リアリティを求めるならクウガ

  • 考察したいならアギト

  • ダーク作品のファイズ

  • 関係性に重点を置いた剣

  • キバは最初はやめとけ

  • お祭り作品のディケイドも微妙かも

また、ここまで長々と書いてきたが、あくまでこれは個人の主観であり、特別見たいものがあればそちらを見る方が満足感は高いと思う。特に電王は私は未視聴だが、特に良作と推す声が多い。気になった作品はどんどん見ておかないと見る時間が無くなってからでは遅いぞ!!!!!!

平成二期編に続く


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