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見た平成ライダーをお勧めする~二期~

平成ライダーを見ろ

一文目から再び「思想」が漏れ出てしまった。許して。
この記事は平成ライダーお勧め記事の続編である。出来れば先に一期編を読んでからこちらに臨んでいただきたい。

用語解説

前回は必要なかったが、今回の紹介にあたって幾らか用語の解説を挟むべきだと判断した。いずれも劇場版に関連する用語であるので軽く目を通していただきたい。

冬映画

冬頃に公開される先輩と後輩のコラボ映画を指す。先輩のシナリオの後日談であり、後輩のシナリオの伏線を張ったりする。例えば「Wとオーズの冬映画」であればWのエンディング後の話とオーズの話の後に二人の競演シーンが展開される。この都合上冬映画は各作品二本存在する。本編に明確に関連する場合、明記することにする。
大抵の場合後輩の話が12話程度まで進んだ頃に公開される。

夏映画

夏ごろに公開される単独主役映画を指す。主にストーリーの総括やテーマの復習など、本編に密接に関連する映画であり、本編の時系列に取り込まれている場合が多い。大抵40話前後まで進んだ頃に公開されることが多い。

春映画

春頃に公開されるお祭り映画を指す。オーズからゴーストの頃に公開された。スーパー戦隊とのコラボもあり、本編の時系列には基本的に介入しない番外編である。その性質や視聴しなくとも本筋の理解にはほとんど問題がないため、本記事では基本的に取り扱わない

Vシネ

本編終了後に公開される番外編映画を指す。Wとオーズと鎧武以降の作品に存在する。基本本編の補完や後日談なので見ずとも本筋の理解には影響しないが、一つの作品を完結させるには不可欠なことが多い。

小説版

読んで字のごとく小説媒体で発表される作品である。基本的に本編終了から一年近く間が空いてから発売されるため、Vシネに近い性質を持つ。あんまり読めてないので今回の記事で触れられる場面は少ない。

以上が今回の記事で登場する用語である。要は映画の話なんだなということが理解できれば問題ない。

また、繰り返しになるが、仮面ライダーは各作品2話までYoutubeで無料公開している。以下のページの各作品のリンクから視聴できるので、気になった作品はぜひ視聴して頂きたい。

W

(仮面ライダーWebより)

風の街・風都で多発する奇怪な事件。それはUSBメモリ型の特殊なアイテム「ガイアメモリ」を用いて超人的な力を手に入れた怪人「ドーパント」によるものだった。ハードボイルドになりきれないハーフボイルド=半熟な私立探偵・左翔太郎の元には、今日もドーパント絡みのやっかいな依頼が持ち込まれる。翔太郎とその相棒・フィリップは二人で一人の仮面ライダー、Wへと変身し、事件を解決へと導くのだった……。謎が謎を呼ぶ事件。ガイアメモリを流通させる組織。2人は風都に隠された数々の秘密を解き明かしていく。

仮面ライダーWeb

Wは恐らく最も広く流行したライダーだ。TV本編、映画、小説、漫画、アニメ、舞台と現代のメディアコンテンツをほぼ網羅したと言っても過言ではない。今なお幅広い人気があることが伺える作品だ。

ここまでの流行はやはりWという作品が持つエンタメ力の強さの証明ということができるだろう。クウガの頃、「大人の視聴に耐えうる」という言葉はリアリティの担保という形で表現されたが、Wでは「シンプルに話を面白くする」という形で表出している。

それを担保するのがWの持つ探偵もののフォーマットだ。何で毎週同じ町に怪人が出るの? とかなんで毎回一人ずつしか怪人が出ないの? とかという疑問は街で起きる事件を解決する話だからという形で解決できる。更に足で稼ぐ半人前の私立探偵の翔太朗と、脳内に星の本棚と呼ばれる無限の知識を持つ安楽椅子探偵フィリップの対比的なコンビの掛け合いもまた見るものを飽きさせない。人間的な甘さを持つ翔太朗を冷静沈着なフィリップがなだめたり、浮世離れしたフィリップには解決できない人間関係を翔太朗が見抜いたりなど、コンビであることをこの上なく生かした作劇は見事の一言だ。

更に登場する怪人はみな人間がガイアメモリと呼ばれるアイテムで変身した「犯人」であり、その犯罪を解決するためにWの二人は事件の謎を解くという形で探偵もののフォーマットをライダーに落とし込んでいる。ガイアメモリでもたらされる能力は決して複雑ではないが特殊なものばかりで所謂能力バトルの側面がとても強い。Wはこれに探偵道具と6本のメモリで謎と能力の真相を解き明かすバトルを展開していく。

Wのシナリオはとても面白く、いくらでも話せてしまうのだが、少し初見にやさしくないポイントとして、二人の出会いや翔太朗が探偵を志した切っ掛けの師匠の話、そして風都を襲う最大の犯罪の話が全て映画に回されており、TV本編だけだとWの魅力を堪能しきれないのだ。どれもめちゃくちゃ面白いし、本編の時系列に組み込まれているのは夏映画だけなのだが、ディケイドとWの冬映画を見ないと劇中で散々取り沙汰される「ビギンズナイト」という用語が引っ掛かり続けるので、できればディケイドとWの冬映画だけでも早めに見てほしい。

ともかく、Wは本当に万人向けで面白いし、バディ物が好きなら間違いなく良作なのでそういうのが好きなら見て損はない作品だ。他の作品への間口も広く、番外編という名の福利厚生も行き届いているので視聴を強くお勧めしたい。

OOO(オーズ)

(仮面ライダーWebより)

800年の眠りから目覚めたメダルの怪人「グリード」。彼らは完全な姿を取り戻すため、神秘の力を持つ「オーメダル」を求めていた。人間の欲望を利用して暗躍するグリードたち。欲望とは無縁の青年・火野映司は、右腕だけになってしまったグリード・アンクに促され、仮面ライダーオーズとして戦い始める。人々の命を守るために戦う映司。オーズの力でメダルを手に入れようと目論むアンク。グリードたちとのメダルを巡る争いは、やがて世界の存亡にまで発展していく。

仮面ライダーWeb

オーズは一貫したテーマ性で作品の理解がとてもしやすい作品だ。テーマはずばり欲望で怪人のグリードたちは人間の欲望からヤミーと呼ばれる怪人を生み出し、人を守るために戦う映司もまた守りたいという欲望を持っていると言えるし、映司を利用するアンクもまた結局は私利私欲のために彼に手を貸している。オーズという作品は人間の持つ欲望を多面的に映し出し、性の側面も負の側面も我々に提示してくれる。それでいて物語は全体を通して暗くなり過ぎず、また説教感もない。Wに匹敵するレベルで面白いんじゃないかと個人的には考えている。

確かにオーズはWの持つ探偵もののようなフォーマットを持たないため、Wが解決していた展開の都合に対する解決こそ持たないものの、敵味方のパワーリソースであるメダルの奪い合いや、敵のグリード同士の薄氷の上の協力関係など、スリリングな展開ではこちらの方が一枚上手と言えるだろう。

さらに、Wの様々なメモリを切り替えて敵の弱点を突く戦闘は三枚の動物の力を宿すメダルを組み合わせて変身する形式へと進化し、よりにぎやかかつダイナミックな戦闘を展開している。より強力な力を手にするためにメダルを奪い合うという描写は、欲望をテーマとする本作と非常にマッチしているし、特定のメダルの組み合わせで発現するコンボと呼ばれる形態は劇中での活躍も相まって非常に記憶に残る。私は特にタカとクジャクとコンドルの組み合わせで変身するタジャドルコンボが脳裏に鮮烈に刻まれている。

また、オーズの劇場版は殆どがパラレルな展開であり、視聴せずとも本編で理解できない事象などは存在しない。後年の客演では一部劇場版の出来事を踏まえている場面があるが、そこまで見るころになってから考えてもいいだろう。

深い信頼で結ばれた翔太朗とフィリップのバディアクションであるWと互いに利用し合う油断ならない関係性の映司とアンクが繰り広げるスリリングなオーズ。甲乙つけがたい名作であるのでここはやはり個人の好みが出るところであろう。どちらも良作であることは個人的には疑いようのない事実である。

フォーゼ

(仮面ライダーWebより)

天ノ川学園高校にやって来たリーゼントの転校生・如月弦太朗。その夢は学園の全員と友達になること。転校初日に謎の怪人「ゾディアーツ」と遭遇した弦太朗は、幼馴染の城島ユウキから託されたフォーゼドライバーで仮面ライダーフォーゼへと変身。以来、ユウキや歌星賢吾らと協力して学園の平和を乱すゾディアーツとの戦いを繰り広げている。徐々に増えていく個性的な仲間との友情を深めながら、弦太朗は学園の陰に潜む敵に迫る。

仮面ライダーWeb

フォーゼは間違いなく平成ライダーで一番明るい作品だ。これまでのシリーズでは多かれ少なかれ暗い展開が含まれていたのだが、フォーゼはそれらを排して友情を前面に押し出した明るい物語が展開される。これは震災によって落ち込んだ当時の世間を考慮してのことらしい。間違いなく後に暗いものを残さない作品であることは保証できる。

作中に登場するゾディアーツと呼ばれる怪人は、学園の生徒たちが心の闇に付け込まれて力に溺れてしまった姿だ。弦太朗はフォーゼに変身し、仮面ライダー部の仲間とともに彼らを救い、友情を結んでいく。なんとこの仮面ライダーは学園部活ものなのだ。劇中では部室の宇宙基地で駄弁ったりするシーンが頻繁に挿入されるし、戦闘もどこかコミカルな描写が多い。全体的なノリはやや緩めだ。良くも悪くもWやオーズからの流れとはやや異なるのでこのあたりは評価が分かれるかもしれない。555が無理という人にはフォーゼはかなり合うかもしれない。

劇場版の話題は本編にそれなりに取り入れられているが、そもそも本作はあまりシビアな考察や考証をする作品ではなく、明るさを前面に押し出した青春活劇であるということを考えれば見ずとも話のノリで許容できるかもしれない。暗く落ち込んだこのご時世に明るい話が見たいという方はぜひ視聴を検討してみてほしい。

ウィザード

(仮面ライダーWebより)

文明の進歩と共に忘れ去られてしまった「魔法」。だが、現代にも魔法使いは存在した。彼の名は操真晴人。魔法の指輪「ウィザードリング」で仮面ライダーウィザードへと変身し、絶望から生まれる魔物「ファントム」から人々を救うために戦い続けている……。晴人が魔法使いになった理由、謎の少女・コヨミに秘められた過去、そして二人を待ち受ける過酷な運命。人々に希望をもたらす、指輪の魔法使いの物語が幕を開ける。

仮面ライダーWeb

ウィザードはヒーローの在り方に新たな一石を投じた作品だ。これまでのシリーズでは怪人を倒すことで問題が解決する場面が多かったが、ウィザードにおける問題の解決は怪人の撃破ではない。人々を絶望から救うことがウィザードの目的なのだ。

本作の怪人、ファントムは人々を絶望に陥れることで、同族を増やして繁殖する。その際に絶望した人間はファントムに成り代わられる形で消滅してしまう。そのためウィザードこと晴人はファントムを退けながら人々を絶望から救い出さねばならない。絶望の原因はさまざまで、単純にファントムに命を狙われるという絶望から、特にファントムに関係なくスランプに陥ってしまったり、何か問題を抱えてしまったりと様々だ。晴人は魔法を使って敵を倒すことはできても、そんな心の問題を魔法で消し去ることはできない。一人の人間として彼らと向き合い、一つ一つ問題を解決していく――ウィザードはそんな人の心に寄り添う物語ともいえる。

優しいストーリーとは裏腹に、戦闘は超絶スタイリッシュだ。ライダーシリーズの戦闘の美しさランキングトップ3はカブト・ウィザード・ゼロワンが常に独占しているなどとも評されるほどで、重力を感じさせないきりもみ回転や宙返り、CGを駆使した魔法の描写はシリーズでもトップクラスの美しさだ。更にアクションをするたびにたなびく腰のマントもめちゃくちゃセクシーだ。このセクシーさを語るとこの記事がゲムぼくみたいになってしまうので一旦ここで止めておくが、よいアクションを見たいという人にもウィザードはお勧めできる。

劇場版もあまり本編の理解には必要ない――というよりもウィザードは本編がめちゃくちゃ丁寧で、1話だけでここまでに書いた情報がほぼほぼ入手できるので、そういった意味でも見やすい作品であると思う。かつて剣一話で得られる情報量よりもウィザード開幕5分で得られる情報の方が多いとすら断言した記憶があるのだが、そのレベルで見やすさは考えられている。

難点を上げるとすると、丁寧な作品で欠点が少ないのだが、他の作品と比較して爆発力に欠ける点は否めない。アベレージヒッターではあるが満塁ホームランはちょっと……という感じだ。減点法で見るとかなり上位なのだが、加点法で見ると少し厳しくなってしまうかもしれない。

鎧武(ガイム)

(仮面ライダーWebより)

アルバイトに勤しむ青年・葛葉紘汰は、もっと強く、何でもできる自分に変身したいと思い悩んでいた。そんな折、謎の変身ベルトを拾い、アーマードライダー鎧武へと変身する力を入手。空間の裂け目から現れる異世界の怪生物「インベス」から人々を守るために戦い始める……。アーマードライダー同士のバトル、異種族との出会い、やがて戦いは二人の男の一騎打ちへと収束していく。

仮面ライダーWeb

脚本:虚淵玄

――正直これだけで大体伝わるんじゃあないかと思ったが、流石に手抜きはよくないのでもう少し書いていく。本作は所謂ライダーバトルもので、怪人との闘いよりもライダー同士の衝突が主軸に置かれる作品だ。本作のライダーたちはロックシードと呼ばれるアイテムを用いてフルーツをモチーフにした鎧をまとい、戦いに身を投じる。フルーツで鎧武者という一見ちぐはぐでユーモラスな姿だが、ストーリーはシリーズ通してもなかなか見られないほどシビアだ。これまでのシリーズでは暫く見られなかった死亡描写や、登場人物の裏切り、闇堕ちといったシリアスな描写が散見され、大人になったばかりの主人公の紘汰はそのたびに身を切るような選択を迫られることになる。

作品を通して突き付けられるのは「変身」という言葉の重みだ。単に鎧をまとって力を手にすることが変身ではない。身も心も強くなることが変身なのだ。そんな主張が登場人物の衝突の中で大きく描かれる。また、今作は制作陣から平成初期への回帰が掲げられるほど、W以降のマンネリ感からの脱却が測られており、脚本として虚淵氏が招聘されたのもこれが理由であると考える。

外部から脚本家を読んだ都合か、作品中にはアニメ的な脚本を現実の絵面に落とし込むのに相当苦労した様子が見て取れる。序盤のダンスチームの抗争は正直理解に苦しんだが、あれは最初はストリートギャングの描写を想定していたが倫理的に没になった名残だとか、木から降りられなくなった猫が用意できないので子供になったとか、異世界の森を撮影したいのに冬場になって枯れてしまっただとか、そのあたりの畑違いのギャップが引っ掛かる場面が散見される。しかし、それ以上に登場人物の主義主張の対立や刻一刻と変化する状況や勢力、そして世界の存亡をかけた一騎打ちなど、オタクが好きな奴が全部盛り込まれてるので、そういったものを摂取したいオタクはぜひ見てほしい。更に伏線も随所に張られ、序盤の些細な描写が油断ならない起爆剤に化けるシーンなど、中盤以降は作中の人物と視聴者の間で秘密を共有する共犯関係で物語が牽引されていく。

映画は……全部見るつもりなら見たほうがいいかなぁって感じ。一応全部の映画が最後の小説版の展開に収束するので、そこまで見るなら劇場版やVシネも全部見たほうが収まりが良いのは確かである。

総評としてはかなりオタク向け、特にFateシリーズとかが好きなら鎧武の描写は結構面白く映るんじゃあないかなぁと思う。欠点としては平成初期のようなシビアさがあるが、これは正直好みの問題な気がする。

ドライブ

(仮面ライダーWebより)

機械生命体・ロイミュードによる大規模破壊事件「グローバルフリーズ」から半年。沈静化したと思われていたロイミュードたちが活動を再開する。「特殊状況下事件捜査課(通称:特状課)」の刑事・泊進ノ介は、意思を持つ謎のベルト=ベルトさんや、個性的だが腕は確かな同僚たちと協力してロイミュード関連の怪事件を捜査。スーパーマシン「トライドロン」で現場へ急行し、仮面ライダードライブへと変身して市民の安全を守るために戦う。捜査と戦いに明け暮れながら、進ノ介は事件とその裏に隠された真実を解き明かしていく。

仮面ライダーWeb

視聴途中につき省略

ゴースト

(仮面ライダーWebより)

18歳の誕生日。天空寺タケルは謎の怪人・眼魔に襲われ、命を落としてしまう。謎の空間で出会った仙人風の男の計らいで一時的に復活したタケルであったが、 完全に生き返るためには、英雄の魂が込められた15個の目玉型のアイテム「ゴースト眼魂(アイコン)」を探し出さなければならない。 タケルは仮面ライダーゴーストとして襲い来る眼魔を倒しつつ、眼魂を探し始めるのだった……。そして眼魔との戦いは、世界の行く末を左右する事態へと繋がっていく。

仮面ライダーWeb

未視聴につき省略

エグゼイド

(仮面ライダーWebより)

「バグスターウイルス」それは人体に直接感染し、ゲーム病を引き起こす新型のウイルス。
聖都大学附属病院の地下には、バグスターに対抗するための極秘部署「電脳救命センター:通称CR」が存在した。
CRに所属する小児科研修医・宝生永夢は天才ゲーマーの手腕を最大限に発揮し、仮面ライダーエグゼイドとしてゲーム病の治療に全力を注いでいた……。
思い出せない過去。自身とバグスターの関係。明かされていく数々の事実に打ちのめされながらも、永夢は患者の命を救うために戦い続けるのだった。

仮面ライダーWeb

エグゼイドはシリーズで最もロジックを重視する作品だ。ゲームをモチーフにしたド派手なビジュアルとは裏腹に、シナリオは作中で提示されたルールに従って進行していく。どれほど気持ちが強くても急に強くはならないし、格上に勝つためには相性有利を取ったりアイテムでパワーアップする必要がある。データオタクにとっては考察しようのある作品と言えるだろう。

また、医療とゲームという対照的なジャンルを(コンピュータ)ウイルスという用語で繋ぎ、一つしかない命を守る医療/死んでもコンテニュー出来るゲームという対比構造を作り、その境界を破壊することで物語に更なる牽引力を齎すシナリオは見事の一言。刻一刻と変化する状況の中、提示されたルールに従ってはいるが針の穴を通すような例外処理で視聴者の期待を上回っていくストーリー展開はまさに圧巻の一言。過去のどの描写が伏線になっているのかと疑心に塗れるほどのシナリオ構築能力は他の追随を許さぬ出来だ。

戦闘描写は主人公がアクションゲームをモチーフにしていることからスピーディかつ格闘ゲームのようなポップさを兼ね備えており、如何にもゲームらしい効果音やBGMも相まって、まるで熟練プレイヤーのスーパープレイを見ているようだ。シナリオが進むと様々なジャンルのゲームをモチーフにしたライダーが登場し、戦闘はどんどんド派手に描写されていく。更に、どんどんインフレしていくパワーバランスの中で、型落ちしたと思われた形態が思わぬ能力を発揮する場面もあり、見るものを飽きさせない。

難点を上げるとすると、あまりにも密度が高いシナリオ故に、春映画を除くほぼすべての番外編を視聴しなければ納得できない描写も多く、視聴の際にはナビゲーターとなる人物が一人いてほしいところだ。もし近場に視聴済みの人がいるなら声をかけてみると良いかもしれない。無論私も見たのでフォロワー各位視聴して感想を書いてくれるのなら喜んで並走する次第である。

まとめると、設定とかをゴリゴリ詰めていくタイプのデータオタクはエグゼイドを見ると幸せになれるはずだ。特に概念バトルとか強さランキングとかが好きであればもれなく見たほうが良い。欠点としては逆にキャラに対する魅力が原動力の人はちょっと嵌りづらいかなぁ……けどパラドとかは沼に嵌る人いるんだよなぁ……。

ビルド

(仮面ライダーWebより)

惑星探査船が火星から持ち帰った謎の箱「パンドラボックス」。
箱から放出されたエネルギーが巨大な壁を生み出し、日本は三つに分断されてしまった。
そして10年後。謎の怪人「スマッシュ」が暗躍する東都の街で、人々を守るために戦う仮面ライダービルドの存在が噂される。
その正体は記憶喪失の天才物理学者・桐生戦兎。パンドラボックスの謎を解明し、自身の記憶を取り戻す戦いが幕を開ける。

仮面ライダーWeb

ビルドは歴代最高のグルーヴ感で展開される視聴者を揺さぶるジェットコースターのような作品だ。つまるところエグゼイドとは真逆の作品である。ロジックよりも盛り上がりを重視するので気持ちが乗れば滅茶苦茶力を発揮するし、多少の伏線や物理法則は展開の面白さより優先されない。そのため、毎週何かしらの盛り上がりがあるし、キャラ同士の掛け合いの面白さはシリーズ随一だ。

ストーリーこそシリアスだが、登場人物は大学生みたいな下らないやり取りでゲラゲラ笑っているし、戦闘中も軽口を叩く余裕があるし、冒頭に挟まれるあらすじコーナーは本編がどれほど陰鬱な展開でもふざけ倒している。このような作風なのでエグゼイドと同じノリで視聴しようとすると少々戸惑うかもしれない。

天才物理学者と格闘馬鹿の凸凹コンビや、二種類のボトルの組み合わせでの変身など、作中にはWを想起させるような要素が多く、Wを更にエンタメ重視にするとビルドが出来上がるともいえる。しかしながら展開の丁寧さはエンタメの為に叩切り捨てられており、確実に伏線だったのにそれ以降出てこない話も多々ある。記憶力が良かったりそういう点を気にしながら視聴すると消化不良に陥るかもしれない。逆に物語をノリで見ている人間はグルーブ感に乗っかって楽しい作品を見られるので、そういう点ではやはり好みが分かれそうな点である。また、久々にTV本編内の時系列に夏映画が入り込む作品である。そのあたりも少し気になるところか。

まとめるとキャラの掛け合いや盛り上がる展開が好きな人はビルドを楽しめるはずだ。逆に細かい伏線や考察を楽しむ人には多々あるガバガバな点が引っ掛かってしまうかもしれない。

ジオウ

(仮面ライダーWebより)

2018年秋 ――王になることを夢見る2000年生まれの主人公の前に突如現れたタイムマシーン。 そのタイムマシーンから現れた謎の少女は彼に告げる。 「私は2068年からやってきた。未来の世界は魔王が君臨し、人々を苦しめ、希望のない世界を創りだしている」
 そんな絶望的な未来の世界を変えるために2018年にやってきた少女はさらに告げる。 「未来のアナタこそが、いずれ世界を破滅させる魔王にして時の王者“ジオウ”となる」と。
 仮面ライダージオウに変身する運命にある主人公、彼はヒーローではなく未来の魔王なってしまうのか・・・果たして未来の運命は? これは時空をまたにかけ、歴代平成仮面ライダーたちと出会いながら、過去・現在・未来、あらゆる時を救うために戦う次代の王となる仮面ライダーの物語。

仮面ライダーWeb

最初にジオウを勧めるのはよくないよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! ジオウはストーリー滅茶苦茶面白いけど他の作品のネタバレが凄い勢いで含まれるんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!

ジオウはタイムトラベル物で、歴史改変によって消えてしまった過去のライダーから力を受け継ぎ、時の王を目指す物語だ。ディケイドのときには一部であった過去作からの客演は、クウガ以外の作品では誰かしらオリジナルキャストがゲスト出演し、時には変身さえ披露してくれる豪華な作品となっている。特にディケイドは10話以上登場する準レギュラーとなっており、ファンの間でも話題になった。

いわば20周年版ディケイドといった感じではあるが、ディケイドよりもオリジナルのシナリオが尊重され、後日談のようなシナリオも挟まれたり、劇場版のゲストキャラさえ客演しているのだが、やはりその都合上、ディケイド同様原典のネタバレが多く含まれる。特に剣のかなり致命的なネタバレを含んでしまっている。

更に、劇場版は過去作のファンサービスが多く、過去作を知っていれば知っているほど盛り上がる構造になっているため、ジオウのみで完結するというよりは平成ライダーすべての完結作としてみるべきだろう。そういう意味ではやはり最初に視聴するのは個人的にはお勧めできない。逆に子供の時ライダーを見ていた記憶があれば劇場版はとても楽しめる出来になっている。暫くライダーから離れていて復帰したいが、平成ライダーの間の作品がぽっかり抜けているという人は視聴を一考してみてもよいかもしれない。

総括~平成二期~

ここまでですべての平成ライダーの作品を紹介した。簡単にお勧め作品の傾向についてまとめておく。

総合

Wオーズがおすすめ。バランスよく様々な要素を持っており、万人受けする作品と言える。

リアリティ重視

圧倒的にクウガの一強。現実に怪人やライダーが現れたら? という問いを徹底的に考証している。

考察重視

アギト鎧武エグゼイドがおすすめ。ともにシナリオ中の謎が物語を牽引するため、考察しながら視聴できる。

キャラ重視

ビルドがおすすめ。複数のキャラがわちゃわちゃするのならビルドが、特定の二人の深い関係性は剣が味わい深い。

ここに名前が上がらなかったものもどれも面白い作品ばかりである。年末年始に何か面白い作品が見たいと思った方はぜひとも視聴して欲しい。

あとこれあくまで個人の主観だからな!!!!!!!!!!! 「なんでこれ見てないんだよ!!!!!」とか「この作品の魅力はそこじゃないだろ!!!!!!!」っていうオタク各位はとりあえずお勧め記事を書いてくれよな!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


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