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神様は、人生最高のものを、恐怖の向こう側に置いている。

この度、お世話になった会社を辞めて、しばしドバイを離れることにしました。

どのみち今月から日本に出向になる予定だったのですが、足掻きに足掻いて勝ち取ったワークビザを手放して、この地を去るのは想像以上に、とっっっても寂しいです。



と言うわけで以下、個人的回想にしばしお付き合いください。


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初めてドバイの地を踏んだのが、2年前。


毎日照りつける太陽の熱気と、ごちゃ混ぜになった多国籍の人たちから溢れ出るエネルギーみたいなものの熱気。
それでいて不思議なくらいの治安の良さ。

ドバイのことなんて何にも知らなかったし、ましてや住みたいなんて思ったこともなかったけど、たぶんいろんなタイミングが重なって、「私ここに住む!」って、不思議なほどにあっさりと決断した。

どうしたらいいのかなんて全くわからないし、正直できないかもって、不安は全然あった。
でも、「ここがいい!」っていう気持ちにだけは、自分でも驚くほど強い確信があって、できるかできないかとかより、「やる!!!」って、自分の中から、エネルギーが湧き上がってきた。

だから、とにっっかく動きまくった。
戦略とか上手に立てられるほど賢くもない頭で、延々と考えても答えは出ないってことくらいは、さすがにもうわかる歳になったから(笑)、恐怖や不安をかき消すように、とりあえず手当たり次第、やれそうなことはなんでもやった。

10年以上社会人やって、あちこちでいろんなことを経験してきたわりには、何が強みで、どんな仕事がしたいか、ビジョンとか方向性とか、いまだにそんな自分のことすら自分で全然よくわかってなくて、その現実に向き合うのが、正直本当にイヤだった。

おまけに英語の職務経歴書が上手に書けなくて、毎日パソコン開いても、あーでもないこーでもないと一向に進まず、気持ちばっかり焦って、落ち込んでの繰り返し。

でも、自分が止まったらそこで終わり。
当たり前だけど、誰もどーにかなんてしてくれない。

わからないこと、できないことなんて、山ほどある。
無理に思える理由なんて、一向に頭の中から消えてくれない。
だから、とにかくまずは、今できることを1つ1つがむしゃらに、やりまくるしかない!

調べまくって、動きまくって、電話しまくって、会いまくって。
そうやって自分の中で、いろんなことを自分の中で確かめながら、0.1ミリでも積み上げて、0.5ミリずつでも前に進もうと足掻くしかないのだ。



ネットワーキングに行って、「何がしたいの?」「何ができるの?」って聞かれて、答えられなくて凹んでも、行ったから初めてわかったことがあった。

やり手のインド人経営者から鋭い質問されて、うまく答えられなくて悔しかったけど、そんな経験積めたことにそもそも価値があった。

ヒンドゥー教のお寺のオーナーから、まだ工事中のお寺に連れてってもらい、運営立上げのディレクションやれるかと聞かれ、パニクりながらヒンドゥー教について急いで調べたりもして、仕事には繋げられなかったけど、面白い人生ネタができた。

ドバイで起業してる日本人の方々にも会いまくって、本当に怪しくない人たちなのかザワザワしたりもした。笑




そうして試行錯誤しまくって、結局ドバイに実際戻るまでには、1年近くかかった。

こうやって必死になってみて初めて見えたのは、結局いつも、自分の本当に欲しいものに、素直にまっすぐ手を伸ばすのが、手を伸ばしてもし掴めなかったらって思うのが、死ぬほど怖かったんだなってこと。

「どーせ、自分なんてこの程度。
 私には絶対できない。」

そんな頭のどっかにずーっとある恐れが、挑戦した結果として、現実として証明されてしまうのが、やっぱり怖かった。

だけど結局、自分が心のどっかでそう感じ続けてる限り、自分の行きたいところになんて、永遠に辿り着けないんだと、目の前に現れる結果が教えてくれた。

それに気づけるまで、一向にしっくりくるチャンスは現れなかったから。
そして、その恐れにまっすぐ向き合った途端に、
チャンスは不思議と向こうの方から、迎えにやってきたから。


やったこともない逐次通訳を本物の会議でやるのが最終試験だと知った時、やれるかやれないかじゃなくて、真摯に誠実に、やれるだけのことを一生懸命やりきろうと思えたら、それだけで結果はちゃんとついてきた。

そうして泣きたいほどに思い描いた日々は、具現化して、私の人生の一部になった。


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通算2年近く住んで、ドバイの好きになれない部分もたくさんあったけど、それでもやっぱり、出発日の今日改めて、やっぱりドバイが大好きだなぁって、心底思います。



あれこれ考えすぎてすぐ動けなくなってしまう私に、やれるかわかんないけど、やってみればいいじゃん!っていうエネルギーをくれたのも、

失敗したって、多少誰か怒らせたって、だからなんなんだ!っていう、強気で自分を大切にするマインドを教えてくれたのも、

それを体現しチャレンジする機会を与えてくれたのも、

ドバイの器と懐の大きさが、あってこそだったのかなと思うから。



この場所に出会わせてくれたたくさんのご縁と、嬉しかったことも苦しかったことも含めて、想像もできなかったような経験をする機会をくれた会社や上司に、本当に本当に本当に、心から感謝しています。



久々に大きな会社に勤めさせてもらって、うんざりするような辛いこともたくさんあったけど、想像すらできなかった世界を体験させてもらって、ひと回り成長させてもらいました。

その上で、私にとって本当に大切なことが何なのかに、気づかせてもらったことが、何よりの収穫だったと思います。



どこの組織で働いても、会社でどれだけ評価されても、結局いつも心のどこかで居心地の悪さを感じてしまうのは、その組織がどーとか仕事がどーとかよりも、会社という「私を守ってくれる存在」との関係の築き方に、私自身の課題があるんだと、よーやく受け入れることができました。

守ってもらえる育ててもらえる心地よさの中で、頑張り続ける理由も機会も与えてもらえる一方で、自分と組織を切り離して、自分自身が本当はどうしたいのかを最優先することへの躊躇いや怖さは、組織との関係が長く深くなるほどにいつも大きくなり、自分の小さなワガママや要望は一旦脇に置いて、相手がどうしたいのかを察して予測して動くやり方を、恐ろしいほど自然にとっていました。

ごくごく自然にそれができるという意味では、それは私の強みでもあったと思います。

その反面、相手と自分の求めているものを両方きちんとテーブルに乗せて、お互いの心地いい着地点を一緒に見つけたり作ったりするプロセスを、最初から怖がって諦めて避けてきたのは、それを変えようとしなかったのは、結局私だったんだと知りました。

(もちろん組織のカラーやフェーズによって、そういうコミュニケーションが重要視される文化や土壌があるか否かは、私が違和感を抱く度合いや頻度を左右する、大きな要素ではあったと思います。)

そしてそれは、仕事に限らず、自分自身との関係、あらゆる他人との関係において、毎回自動的に繰り返してる私自身の癖で、結局そこから抜け出せないことが何より自分を苦しめているんだと気づきました。

こう思い込むに至った幼い頃の記憶や経験がそれなりにあるんだと思うけれど、知らず知らずに身につけた無意識の癖も、それがもたらしてる結果としての日々の選択も、こうして気づくことで、また自分で選び直していける。

だから、自分のために、もう一度選び直していこうと決めました。





新しいチャレンジをするため、しばらく東京に戻ってフリーで働きます。

先のことはまだはっきりとは決まってなくて、死ぬほど怖いです。


でも、自分に必要な経験なのだと、心の底から思っています。これもまた、やってみたいけど自分にはできないと、この5年ずっと足踏みし続けてきたことだから。

何をやるかより、ドバイで得た大切な気づきを経て、毎日の小さな選択にどう向き合き、どう生きるかの方が、ずっとずっと大事だと思うから。



どこの国で、どんな境遇で、生まれ育つかを私たちは平等に選べないけれど、今日という1日の時間の使い方を、今この瞬間を、選んでいるのは、選べるのは、他でもない私だけ。

意識的に選択してきたことも、無意識に選択してきたことも全部含めて、自分が作り上げた目の前の現実を、私は自分で選んでいるんだとちゃんと知っていたいし、小さな小さな嘘を自分についたり誤魔化したりせず、勇気をもってちゃんと自分で選びとっていきたい。

「本当は、どうしたい?」

そんな問いに、いつもまっすぐ正直に、笑顔で答えられる自分でいたい。そして、自分や大切な人たちと、お互いがwin-winになれる関係を、ちゃんと築きながら一緒に生きていきたい。



いくら失敗したっていいし、やり直したっていい。人と違ってもいい。

崇高な夢や目標がなくたって、悔いのないように、思いっきり生きてみればいい!

自分にも人にも、そう胸を張って笑顔で言い続けられる自分でありたいと心底思うから、常識や思い込みにとらわれず、不安と期待が目まぐるしく入り混じるコンフォートゾーンの外側へ、これからも踏み出し続けていこうと思います。



そしてきっといつかまた、大好きなドバイに舞い戻るのだ!!!

「あなたは本当は強いんだから。それをしっかり磨くだけよ。」って、最後まで温かく送り出してくれた上司に、いつかきっと胸を張って笑顔で絶対会いに行くんだ!



“God placed the best things in life on the other side of terror.   - Will Smith -

【神様は、人生最高のものを、恐怖の向こう側に置いている。】 

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