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義母の生霊と闘う話④

第三話はこちら▽


義父が亡くなってから十日ほど経った。
近況はというと、未だに急に腕がしびれて動かしづらいとか肩が重くて吐き気がするとか小さな不調はあるものの、生霊も元気がなくなっているのか以前より攻撃は大人しくなっている。
(この文章を書いて数日後。
明け方に身体の重さで目が覚め「もしや生霊か!」と秘密兵器を出してきた。

『光明真言』

事情を知った先輩が生霊に効くとLINEで送ってくれたものだ。
枕元で流しているのをただボーっと聞いてみる。
そしたらまあ…ものの10分ほどでボーっとなんてできない状況に。
突然吐くわ下すわ39度まで熱出すわ…そのままトイレとお友達の状態で朝を迎えた。
数日続くなら食あたりや胃腸風邪も疑うが、一日足らずですべての症状が軽快したので病院に行く必要もなくなり、医学的視点は得られないままだ。

とりあえず生霊はマントラで苦しむということが分かったが、私に憑いている限りは私も相応に苦しむということもよく分かった。
諸刃の剣も甚だしい。
その後、件の先輩が「不動明王真言」というさらに強力なマントラ動画を送ってくれたのだが、いよいよ自分がお釈迦になりそうでまだ聞けていない。

今も吐くことはなくなったものの吐き気だけがしぶとく残り、食べられる量がめっきり減ったためか見た目にも痩せてきたように思う。生霊まじ許すまじ)

本題に戻り。
リアル義母は今のところは静かだ。
しかし四十九日を過ぎた頃が怖い、と夫も私もなんとなく感じているので、きっと嵐の前の静けさなのだろう。

あいさんにオススメされた安井金比羅宮は家族みんなが時間を取れそうな3月にお参りすることになりそうだ。
そこまでは無事でありたい。

義母の過去

義母がなぜこんなにも私(というか人間全般)を恨みまくるのか。その根底には義母本人の過去や過去世も深く関わっている。今回はその話をしたい。

義母は全盲だ。
はじめからではなく、生まれつき弱視ではあったものの18歳頃までは若干の視力は残っていたらしい。

義母は代々続く農家、いわゆる地主家系の長子であった。
戸籍法が制定された頃、このあたりで初めから名乗れる苗字を持っていたのは義母の一族以外ほとんど無かったそうだから、やはり相当大きな家だったのだろう。
そういった家系だと“よそ者”に土地を渡すのを嫌って身内同士で結婚することもよくあったらしい。
例に漏れず義母の家系もそうして栄えた一族で、義母の両親もまた近しい親戚であった。
血が濃くなっていく中で一族には弱視の子どもが多く産まれ、義母もそのうちのひとりだったそうだ。

口減らし

大きな農家に長女として産まれたものの、重い目の障害があった義母は畑仕事もさせられず、奉公にも出せず、早くに嫁がせて子どもを産ませることも難しいとあって家庭内での風当たりは強かったようだ。
なんと小学生頃まで納戸から出ることを許されず、食事もろくに与えられなかったのだという。
義母の母親もまたひどい仕打ちを受けていたようだが、自分の娘がそんな目にあわされていて見て見ぬふりはできなかったのだろう。
夫や他の親戚の目をぬすみ、『ごめんね、ごめんね』と泣きながら自分が食べるはずの食事を納戸まで届けてくれたのだと、義母は何度も語ってくれた。

時代が悪かったと言ってもたった数十年前の話。そんな最近まで口減らしとも取れるようなトンデモナイ風習が残っていたことに、震えた。
義母が母親以外の人間に対して強烈な不信感と恐怖と嫌悪を抱きながら生きていくことになったのも、母親に対して『信仰』と言って差し支えない愛と依存を抱えているのも、おそらく根底にあるのはこの虐待と救済の日々のせいだろう。

義母の記憶から引き出された思い出話なのでトラウマも相まって脚色されてる部分はあるかもしれないが、想像をはるかに超える壮絶な日々を過ごしてきたことは事実だろう。
義母が大人になると地主家系あるある「土地とお金問題」なんかも絡んでくるのだが、ここらへんになると本気で弁護士を挟んでたりするので怖すぎて書けない。
億単位のお金平気で動くんよ…まじ怖い…
地主家系の長男が結婚しづらいのこういうとこよ、まじで。

ビビりすぎて文体が崩れてきたので、今回はここまで。
次回!過去世で判明『息子の母であることへの執着』お楽しみに!


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