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あのとき、私を引き止めてくれた人。

今から20年以上も前のこと。
当時、働いていた会社で、私はチームリーダーに任命されました。

その直後、あるトラブルが起きました。チーム内に渦巻く不信感。ジェットコースターのように急降下する、全員のモチベーション。人間関係も営業成績も、最悪な状態になっていきました。

そんな日々を過ごしているうちに、私のストレスはMAXレベルに到達。

どれくらいのストレスかというと、朝、会社の前までたどり着いたのはいいけれど、足が固まって動かなくなって、建物の中にどうしても入ることができず、何十分も涙を流しながら、立ちすくんでしまうくらい。

今になって振り返ると、ものすごく危険な精神状態よね。危険だということにまったく気づかないほど、危険だった。

こんな毎日だったから、「(会社を)辞めたい」って上司に相談したこともあるのよね。だけど、「今は辞めん方がええんちゃうか」って。

こんなにつらいのに、なんで止めるんだよー!って、泣きそうな気持ちになったけど。結果として、あのとき辞めない決断をしてよかったと、心から思っています。

・・・・・


右も左もわからない新人リーダーの私にできたのは、とにかく真摯に仕事に取り組むこと。そして、互いの不満や誤解をほどくために、メンバーと何回でも話し合うことでした。

たぶんね、本当にこれしかしてない。リーダーなんて、名ばかりだもの。実力なんて、全然ないんだもの。

だけど、不思議なことに、少しずつチームの雰囲気が良くなって、みんなが協力的になって、事態が好転していきました。


あるとき、社をあげてのイベントがあって、あまりの忙しさに周りの人たちがヘロヘロになっているときも、うちのチームだけはめちゃくちゃ楽しそうに働いてて、お偉いさん方が驚いていたという逸話があるくらい。

さらに1年後には、営業部内の成績が4位になり、初めての表彰を受けました。なんだか夢みたいだったなー。

正直最初は、なんでこんなチームに来ちゃったんだろうって恨めしい気持ちだったけど、このメンバーと出会えて本当によかったと、心から思えた瞬間でした。



そして、私は再び、上司に告げたのです。
「会社を辞めたい」と。

いろんな人から多くのことを教わって、たくさん助けてもらって。本当にありがたいと思っているし、私自身も今の仕事に楽しさを感じ始めていた時期ではあったけど。

やっぱり書く仕事をあきらめきれない。
「だから辞めたい」と。

「そっか、がんばれよ!」
このとき、上司は一切引き止めませんでした。


私がストレスのどん底にいるのを知りながらも、辞めない方がいいと言ってくれた上司には、未来が見えてたんかな?

壁を乗り越えて、自信を携えて、新たな道に進めたこと。感謝しかないです。

だって、いまだに思うもんね。つらいことがあったとき、「あれを乗り越えられたんだから、大丈夫」「あのときに比べたら、いまの方が全然マシ」って。


そのあと、風の噂で上司も会社を辞めたと聞きました。

いま、どこで何をしてるんだろ?もう二度と会うことはないかもしれないけど、私にとっては一生忘れられない、大切な人です。


私があの日、会社を辞めない決断をしたことは、人生における重要なターニングポイントでした。そして、この上司に出会えたことも、確実にターニングポイントだったなー。

ちなみに、上司は社内でも有名なイケメンでした。でも、既婚者だったので、そういう感情は一切湧かず、恋物語も生まれず。現実は、少女マンガのような展開にはならないね(笑)

ではでは、またー!



■この記事は、ことばと広告さんのメンバーシップ『書く部』のお題に沿って書きました。

#みんなで書く部
#きっとあの日がターニングポイント



【追記】
私は会社を辞めないことが、後々良い結果になりました。ですが、前に進むことが必ずしも正解ではないと思っています。まわれ右をすることも、迂回することも、時には大事。

どういう道を選んだにせよ、いつか時が流れて、自分の下した決断を笑って受け入れられる日が来るんじゃないかな、来ればいいなって、思っています。



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