それ「バックラッシュ」って言うの?

ゆっくりしていってね!!!!

相変わらずの盛り上がりを見せる戸定梨香さんの件。今は神崎さんの声かけで、チャンネル登録者数を増やして応援しようって流れが出来てるわね。

私ももちろん、ゆっくりしないですぐに登録したわ!

さて。その一方で、この流れが嫌な人もいるわけで。

著書『私がフェミニズムを知らなかった頃』(晶文社, 2021)を最近出版された小林エリコさんが次のブログ記事を書いて公開したわ。

【2021/09/26追記】削除されましたが、WEB魚拓が残っております。

小林さんは、戸定梨香さんの件を朝のニュースで見て、ひどく嘆いているみたいね。

今朝、このニュースを見てとうとうバックラッシュがやってきたか、と憂鬱になった。フェミニズムの運動が盛んになるとやってくるのがバックラッシュだ。しかし、ここで後退してはいけない。
小林エリコ『バックラッシュがやってきた!「松戸市ご当地VTuberの戸定梨香」を啓発動画に採用したことに対する抗議」の件』(visited 2021/09/25)

バックラッシュとは、要はフェミニズム自体が反対運動に晒されることよ。「あれ? フェミニズムに限らず、政治活動一般で起きることなんじゃないの?」って思うかもしれないけど、この用語はほぼフェミニズム専用品で、他の分野ではあまり使われないのだわ。

まあ女性参政権反対とかならまだしも、とりわけ最近の日本における「バックラッシュ」に関しては、フェミニストの皆さんがこれまでしてきた、茜さやさんの件や、宇崎ちゃん献血ポスターの件ラブライブポスターの「スカートが透けている」件「響け!ユーフォニアム」の「男根のメタファー」の件など、社会的にも知性的にも立派とは言いがたい活動の地道な積み重ねによる自業自得なんじゃないかと思うけれど、このあたりの考え方は人それぞれよね。色々な意見があっていいと思うわ。

ともあれ、中身の論を見ていきましょう。

Vチューバー擁護派の人は「これのどこがいけないのか?」「そんなことを言われたら、何も表現ができない」という意見が大半だ。何が問題なのか、この国に住んで暮らしていたら、確かに何がいけないのかわからなくなるのも当然だ。歓楽街へ行けば、風俗店が立ち並び、最近はやっとなくなったが、少し前まではコンビニでエロ本が買えた。秋葉原だけでなく、新宿や渋谷でも萌えイラストのポスターが堂々と貼られている。
小林エリコ『バックラッシュがやってきた!「松戸市ご当地VTuberの戸定梨香」を啓発動画に採用したことに対する抗議」の件』(visited 2021/09/25)

なるほど? 「歓楽街へ行けば、風俗店が立ち並び」ねえ……。

……うん?
えっと、「歓楽街」は、元々そういうものじゃない? 歓楽街には色々な施設があるでしょうけど、風俗店はその中でもけっこうメインの立ち位置にある気がするわ。むしろ「歓楽街」としてゾーニングされているのを喜ぶべきなんじゃないかしら。
何も小学生の通学路に風俗店が立ち並んでるわけじゃないでしょう。変な言いがかりなのだわ。

「この国に住んで暮らしていたら」と仰るけれど、日本に限らず、たとえばヨーロッパのどこの国でも「歓楽街」なら風俗店は立ち並んでいると思うわよ。
【2021/09/26追記】ヨーロッパではオランダなどを例外として、風俗店(店舗経営)というのは一般的でないとの御指摘を受けました。ありがとうございます。

そして、「秋葉原だけでなく、新宿や渋谷でも萌えイラストのポスターが堂々と貼られている。」ね。

うーん。それは問題なのかしら。

それに少なくとも、他のフェミニストさんたちが頻繁に言う「萌え絵そのものが駄目なわけじゃない論」とはだいぶ相性が悪いわね。萌え絵を描くことを仕事にしている女性はたくさんいらっしゃることも含めて、大丈夫なのかと心配になってしまうわ。

小林さんは更にこう続けるわ。

しかし、フェミニズムを知ってからの私は変わった。知識がインプットされると今回のどこがいけないのかクリアになる。
今回の問題点は戸定梨香の容姿に一番問題点が多い。
まず、服装がセーラーカラーであり、元になっているのは制服であろう。Vチューバーに限らず、萌えイラストには制服のものが多い。制服を着ている少女というのは未成年であり、禁忌の体である。性的に消費されることが許されない年齢だ。
小林エリコ『バックラッシュがやってきた!「松戸市ご当地VTuberの戸定梨香」を啓発動画に採用したことに対する抗議」の件』(visited 2021/09/25)

どうやら小林さんは、本件について「公的機関である警察が使ったことが問題であって、そうでなければ問題はなかった」という既存路線は踏襲しないみたいね。
むしろ、「今回の問題点は戸定梨香の容姿に一番問題点が多い」と、「問題点」の語を一文中に2回使ってしまうくらい、戸定梨香さんそれ自体が問題らしいわ。

「萌えイラストのポスターが堂々と……」も含めて、インターネットのフェミニストさんたちが、全国フェミニスト議員連盟を擁護するのにどうにか編み出した論の数々を、ものの見事にすべて破綻させてくれているわね。

逆だったらどうだろうと考える。京アニのアニメで「Free!」という男性が水泳競技をするアニメがある。私も好きで見ているが、このキャラが公共の場で水着を着たまま、交通安全を訴え出したら「いやいや、そこまで女性たちにサービスしなくてもいいです!」と言いたくなる。
小林エリコ『バックラッシュがやってきた!「松戸市ご当地VTuberの戸定梨香」を啓発動画に採用したことに対する抗議」の件』(visited 2021/09/25)

あなた、ついさっき「制服を着ている少女というのは未成年であり、禁忌の体である。性的に消費されることが許されない年齢だ。」って書いてなかったっけ? 「Free!」の登場人物は高校生設定だから、場所を問わず性的に消費すること自体が禁忌なんじゃないの? 「禁忌」とは一体どういうことかしら。

やっぱり「公共の場だからよくない。公共でなかったらよい」論なのかしら?
でも、「歓楽街」が風営法によりゾーニングされていることや、「萌えポスターが駅前に堂々と……」とはやっぱり論として合わないのだわ。どっち?

あ、そうそう「Free!」って駅前ポスターにはなっていたのだわ。

画像2

「Free! Eternal Summer 池袋スペシャルポスターの掲載場所」(visited 2021/09/25)

これに対して、当然、小林さんは「容姿に一番問題点が多い」と感じるし、「禁忌の体」として「性的に消費されることが許されない」と言うのよね?

Vチューバーの戸定梨香は自分の着たい服を着ているのではなく、着させられている。戸定梨香自体、架空の存在であり、自分の意思はない。そして、男性の人気をとるためにどうするのが一番簡単かを考えた結果、あのような姿になったのだと考えている。男の欲望を一手に引き受ける戸定梨香の姿は私の目を通すと、非常にグロテスクに映るのだ。
小林エリコ『バックラッシュがやってきた!「松戸市ご当地VTuberの戸定梨香」を啓発動画に採用したことに対する抗議」の件』(visited 2021/09/25)

いったんその論が正しいとしましょう。既にだいぶ文句をつけたいけど、私も大人だから飲み込みましょう。

でも、Free!の登場人物は、自分の着たい服を着ていて、自分の意志もあり、女性の欲望を引き受けてはいないの? 上の駅前ポスターは「グロテスク」には映らないの?

【2021/09/27追記】
小林さんのTwitterアカウントが復活して、次のツイートが確認できたのだわ。

「民間で広告打つぶんにはいいと思います。」だそうよ。

つまり、民間がやるなら、駅という公共空間での掲示であっても、「未成年であり、禁忌の体である。性的に消費されることが許されない年齢」の子を、性的に消費することが許されるようになるらしいわ。

うん――全然、納得感が無い。

どういう仕組みの倫理観? かえって不思議だわ。

じゃあ駅に萌えポスター貼ってても基本的にOKじゃないの。

(追記終わり)

無駄にFree!のお話をしてしまったせいで、すべてがグチャグチャになってないかしら……。

そんなにグチャグチャのことを言っているから「それっておかしいよね」とツッコミを受けて、「バックラッシュ」が発生してしまうのよ。

一度、考えの整理整頓をお勧めするわ!

それでは今日はここまで!

ゆっくりしていってね!!!!

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