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テセの恩返し(for クラモフスキ)

いつも言うけど、自分はFWで自己中

自分を使わない監督」を好きになることは、

不可能。

逆に使ってくれる監督は神

と思ってる。


でも、使われなかった監督で、唯一

ピーターは認めてる。


•戦術

選手が監督を批判する言葉で一番多い言葉が、

「あの監督、何もない」

「何もない」に当てはまるのは、大体、

崩しの形と、状況に応じた臨機応変な戦術


彼のサッカーはマリノス時代の優勝経験からはっきりとしてた。

久しく停滞するエスパルスの攻撃に風邪穴を開けてくれた気分だった

•フィジカル

戦術と連なるけど、とにかく走り続けることが求められる。

徹底的に追い込むトレーニングで

毎晩、次の日の練習が怖くて、できるだけ早く寝るほどきつかった

やればやるほどコンディションが上がるタイプの僕にはかなりマッチしてた

フィジカルコーチの安野努さんにも頭が上がらない

•メンタル

とにかくポジティブ。

ミスをしても絶対に怒鳴ることはなく、

トップ、サブ、分け隔てなく褒め言葉が飛ぶ

怒られると萎縮してしまう神経質な自分には最高の監督だった。


一番彼が特別だなと思ったのは

ミーティングで、失点でゴールに入る場面は編集でカットするということ

失点に至るまでの過程に言及するが、言い終わったらゴールに入るところは見ない

これが画期的だった。


と、ざっくり説明したけど、

監督としての結果は、初めての監督経験だからか全く結果が出ず、解任された

能力があるからって、結果が出るほど甘くないから

監督は難しい職業だな〜ってつくづく思う。


そんな中、僕はしっかり戦力外だった。


もちろん。納得いってなかった。

めちゃくちゃ体動いてたし、プレシーズンでもほぼ全ての練習試合でも、シュートゲームでも

相変わらずゴール決めまくってたから。

自粛前、最後の練習試合のジュビロ戦でハットトリックしたりもした


自粛後、また体を作ってた時のパフォーマンスは

過去15年間を振り返っても、完全にスタメンになる流れだった。

紅白戦でスタメン組で2得点、ヨーヨーテストでチーム記録

運動量に絶対の自信がある金子翔太の、悔しそうな表情、

今でも忘れない。

それをおかずにご飯何杯でもいけそう


それでも試合に絡むことはなかった。


そこでアルビレックス新潟からオファーをいただき、そこで結果を出し

今、町田でプレイさせていただいてる。


新潟ではファビオが契約解除で奇跡のスタメンだっただけで、

町田でもやっぱりスタメンで出れてない。

もう監督を責めることはできないと自分で気づいてる。

でもやっぱり一次感情は、監督に向かってしまう。


町田での今年も残り3試合。

正直何もしてない。

チームメイトにもあまり認められてない。

監督にも情けで使ってもらってる感がある。


そんな中、昨日、山形に就任したクラモフスキー監督と再会することになった。

前半山形は素晴らしいパフォーマンスで、

町田が珍しくボコられてた

そこで今週調子良かった僕を、後半頭から使ってくれた。

認めなかった彼を見返すチャンスがきた。


久々の長時間出場でかなりバテたけど、しっかり結果と存在感を示せた。

0−2から5−3の逆転劇のほとんどのゴールに絡んだから

そう言っても許されると思う。

試合後

「心から尊敬してる、今日のフットボールも最高だった」

と英語で伝えた。

ヒーローインタビューでも、それについて発言した。


心の奥底で「見たか!これが俺の実力だ!見返してやったぜ!」って悪魔のリトルテセが呟いてたけど

さすがにもうそんな子供じゃないから綺麗な表現で伝えた。


鬱憤を晴らし、心の壁を乗り越えたら、

綺麗事に聞こえるかもしれないけど、また

感謝の気持ちが湧いてくる。


ピーターのもとで戦力外になった試練は伏線で、

昨日の活躍で回収したことになった。

別のチームで、沈んでる現状に火をつけてくれて、再浮上するキッカケをくれた。

全ての出来事に理由があるって、

引退前に大怪我した憲剛さんが言ってた。


あの時、何度も泣かされた、AKの「上を向いて」の

「悲劇に感謝、俺のアートには必要なものだから」

という歌詞で刺さってたつららが溶けて、

体温で温められ

全身に染み渡っていった。

浄化された気分。


ただ、

今年は試合に出れなくて苦しんでる割には、

ゴールした時の達成感が過去に比べて弱い

ちょっと前ならこれだけ苦しんだ後、結果出したら

叫んで喜び爆発させて、発散してるはずなのに。

なんだか落ち着いてて、ただ、笑ってる。

溢れてた情熱が枯れてきたのか

諦めて、全てを受け入れ、悠然と自分の道をまた歩き出した後だったからなのか

答えは定かではない。

また自分の時代を取り返すんだと、

燃え盛る炎のように、熱く咆哮したあの日が恋しくもある。

最盛期から右肩下がりで、年齢的にもう上がってくことは難しい現状に、少しずつ、

心が終える準備を始めてるかもしれない。


でも苦しみをそばで聞いててくれた、太田修介や、水本裕貴、

同ポジションのドゥドゥまでも自分のことのように喜んで、抱きしめてくれるのを見ると

みんなが喜んでる姿に、心が満たされるようになった。

価値観が歳とともに大きく変化して

人の輪を意識するようになったのかな。

自分の喜びより、みんなの笑顔。

自分の成功にしか興味がなかった青年が

初めてそういうのを噛み締めてるのかも。


相変わらず試合出れないと、一人で浮かない顔をするアダルトチルドレンだけど

生きる喜びの見つけ方に、近づいてる気がする。


Life goes on..

とかいっちゃって









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