「コールドブリュー」ってナンダ?
暑い夏は冷たいコーヒーが恋しい! そういえば最近聞くようになった「コールドブリューコーヒー」というのは普通のアイスコーヒーとどう違うの? ただ呼び方がオシャレになっただけ? 意外と知らない「コールドブリューコーヒー」について、いろいろと探ってみました。
そもそも:コールドブリューは普通のアイスコーヒーと「作り方が違う」
名前の通り、コールド「cold」は英語で「冷たい、冷えた」、ブリュー「brew」は「(茶・コーヒーを)淹れる」という意味。つまり熱湯で抽出するのではなく、冷たい水で淹れたコーヒーが「コールドブリュー」というわけです。「水出しコーヒー」「ダッチコーヒー」という呼び方でなじみのある方も多いでしょう。
通常のアイスコーヒーは、熱湯で濃いめに淹れたコーヒーを氷の入ったグラスに注いで急速に冷やして作ります。一方、コールドブリューコーヒーは、挽いたコーヒー豆を冷水に浸し、低温でじっくり時間をかけて(8〜12時間程度)抽出します。
コールドブリューの抽出法は「滴下式」と「浸漬式」の2つ!
コールドブリューコーヒーの抽出方法は、コーヒー粉に一滴ずつ水を落として抽出する「滴下式」と、コーヒー粉を水に長時間つけて抽出する「浸漬式」の2つがあります。近年、家庭用の浸漬式水出しポットが広く市販されており、自宅でもコールドブリューコーヒーを楽しむ人が増えているようです。
つまり:まろやかな味わいがコールドブリューの最大の魅力
熱湯で抽出したコーヒーは、コーヒー豆の油分やカフェイン、タンニンといった成分がコーヒーに含まれるため、コーヒー特有の味わいをそのまま楽しめます。一方、冷水で抽出するコールドブリューの場合はそういった成分が少なくなるため、まろやかですっきりとした味わいが特徴で、熱湯抽出とは同じ豆を使っても異なる風味になります。
また、ホットコーヒーを急冷して作るアイスコーヒーは、すぐに飲まないと酸化して味が変わってしまいますが、コールドブリューコーヒーは長時間冷蔵庫に置いても酸化しづらく、おいしさが長持ちするというメリットも。
「コールドブリュー=カフェイン量が少ない」わけではない?
一般的にタンニンやカフェインが抽出されづらいコールドブリュー。しかし「カフェインが普通のアイスコーヒーよりも格段に少ない」というわけでもなさそうです。急冷式のアイスコーヒーは熱いコーヒーによって氷が溶ける分だけ薄まりますが、水出しコーヒーは抽出したコーヒーの温度自体が低いため、飲むときに氷を入れてもそこまで薄まることはありません。そのため、結果的に急冷式に比べてカフェインが極端に少ない……ということはなさそうです。また、抽出時間によってもカフェインの量は変化するのだとか。どうしてもカフェインが気になる方は、デカフェの豆を選ぶのがよさそうです。
アイスコーヒーにする場合の豆は、一般的に深煎りのイタリアンローストやフレンチローストが向いていると言われているようです。しかし、あえて浅煎りの豆をじっくり抽出することで、豆本来のフルーティーな味わいが感じられるのもコールドブリューコーヒーのメリット。挽き方は中挽き〜中細挽きがおすすめ。細かくなるほど、豆が水に接する表面積が増えます。抽出時間もいろいろと変化をつけて、自分が一番好きな味わいを探るのも楽しそうですね。
ちなみに:苦みの強い豆を飲むために生まれた「コールドブリュー」
コールドブリューコーヒーはその別名「ダッチコーヒー」から「オランダで生まれたもの?」と思われがちですが、インドネシアが発祥と言われています。誕生はインドネシアがオランダの統治下にあった17世紀。当時インドネシアで栽培されていたロブスタ種は苦味が強く、このクセの強い豆を飲みやすくするための抽出方法として考えられたとか。
日本においては1955(昭和30)年頃、京都のある喫茶店のマスターがその抽出方法を改良したと言われています。京都大の化学専攻の学生の協力を仰ぎ、医療器具の専門店でウォータードリップを制作。滴下式の水出しコーヒーがここから広まりました。そのため、滴下式の水出しコーヒーは「キョートコーヒー」とも呼ばれています。
日本ではおなじみのアイスコーヒー、海外ではマイナーな存在!?
アイスコーヒー自体は、日本では明治時代から飲まれていることがわかっています。一方、欧米ではアイスコーヒーを飲む習慣は最近まであまり一般的ではなかったようです。1990年代以降、大手コーヒーチェーン店の展開により、アメリカやカナダの都市部で認知されるようになったそう。
普段飲んでいるコーヒー豆も、いつもと抽出方法を変えるだけでぐっと味わいが変わるもの。コールドブリューで試してみると、また新しい魅力に気づけそうです。