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あわたまの声を呼び覚ますプロフェッショナル、ソプラノ歌手の竹林加寿子さん

先日の50歳の誕生日会で、みんなの前で歌うことを経験した。

あまり歌が得意なわけでもない中年男子がここに至るまでには、実は信じられないようなサポートがあったことをここに記しておきたい。

そのサポーターとは、ソプラノ歌手の竹林加寿子(かずこ)さんです。

当日のお祝い会にも、はるばる東京から来て下さった方です。

僕が、ソプラノ歌手のかずこさんと友人であるのは、話が長くなるので、割愛するけど、

お互いに”マレビト(異界からの使者)”に関心をもっていて、そこから何となくご縁がつながっている。

自分が生きる目的は何か? 自分探しをしながらオンライン上の世界を浮遊してきた僕は、それ故に、自分というものがどこにあるのか分からなくなっていた。

いつも、無意識に何かと自分を比較し自分を貶めていたから、ナチュラルにリラックスして自分の声が出せないでいた。

そんな時、昨年のクリスマスの日、ジョアンナ・メイシーの『生命への回帰』を翻訳した斉藤由香さんの対談を聞きながら、彼女が心から感じていることを、そのまま味わうように言葉にしていること、その話方にすごく感動して彼女にメッセージを送っていた。

そして、2022年の年が明けた時、”マレビトの森の会”でかずこさんと再会し、先の斉藤由香さんのエピソードを話したところ、ボイストレーニングをしていただけることになった。

最初は、東京と北九州でのZOOMのボイトレだ。

しばし短い対話をした後に、かずこさんは凄いことを言った。

石山さん。 今から、海に行けない?
そこでボイトレしよう!!
えっ? 今から・・・
あっ、分かりました!! 1時間で海に行けます!

九州の最北端にある岩屋海岸に向かった。

綺麗な砂浜の海岸には、人はほとんどいなかった。

1月の海は風も強く波も激しかったが、太陽がキラキラと波打ち際を照らしていた。

ここでスマホを繋ぎ、海岸に到着したことをかずこさんに伝えてボイトレが始まった。

砂浜に寝転がり、地球から抱きしめられてみて

アフリカンダンスのように、激しく足を鳴らしてみて

海に向かって素足でたって、六感の全てで感じてみて

海では何も声は発しなかった。

海から帰ってきて2時間後にZoomで再会した。

海岸で感じたことを、心が話すようにゆっくり言葉にして・・

思いが言葉になってくれなかった・・

それでも、じっくり待ちながら、少しつづ、言葉に単語になってきた、上手く話せていない自分がいたけど、かずこさんも僕もそれを赦していた。

最後まで、まともな表現にならなかったけど、

この美しい地球を選んで生まれこと、すべのいのちの存在への感謝が溢れてきた。

これは、かずこさんから受けた最初のボイトレだった。

その後、しばらくして、『ずっと、やりたかったことをやりなさい/ジュリア キャメロン著』のワークショップに参加した。共通の友人の前川珠子さん(たまちゃん)の主催だ。

「自分の中の小さなアーティストに水をやり、育てていく」というコンセプトのワークで、

僕は自分が何かを表現したい。歌いたい!!! 

この思いが自分の中にあることに気づいて、自分の中で、心から歌いたいと思える5曲を選び、生声で歌い録音することを始めた。

自分の心から歌いたいベスト5を選ぶのには、なかなか大変だった。藤井風の歌は好きだけど、とても歌えない。。笑

そんな中で、ある曲に出会った

それが、宇多田ヒカルの『初恋』だった。

ちょうど、桜が散った後の4月の終わり頃だった。

音楽チャンネルのSpotifyで、通勤の間中、休日の散歩の途中で『初恋』を何回聞いて、歌ってみただろうか。1000回は余裕で超えていると思う。

自分の中で、サビが歌えれば、何とか形になるのではと期待が出てきた。

ここで、2度目のボイトレをソプラノ歌手、竹林加寿子さんにお願いすることにした。

今回は、明確な目標があった。ワークショップの最終回で皆んなの前で歌うこと!! この『初恋』を

かずこさんの前(Zoom)で、『初恋』を生音で歌ってみたが、本当に酷かった。

Spotifyを聴きながら、歌えている気になっていたのが、恥ずかしいくらい音程は出鱈目だし、声も出ていなかった。 歌えているのは錯覚だと分かった。

それでも、かずこさんは、悲観しなかった。

サビの音は出ているから、あとは歌えるようにしてあげる。

突貫工事よ!!!

ワークショップの最終日まで、1ヶ月を切っていた。

直ぐに歌のレッスンに入ると思ったが、次のことを準備するように言われた

1 まず、歴代の好きな3曲、今、歌いたい3曲を選んでくる

2 『初恋』の歌詞を縦書きで書く


『初恋』かずこさんの歌詞 僕の詩はボロボロになって・・

1の選曲をなぜしたのか、その思いを語る中で、今、なぜ自分が『初恋』と出会ったのか、その人生のストーリーを知ることができた。

そして、2の縦書きの歌詞がボイトレの肝だった。

この歌詞を読み、宇多田ヒカルが表現したかった思い、そこに自分がこの曲に寄せる思いを僕が語るのを、かずこさんはじっと聞いている。ときどき、なるほど、そうか!と頷いたりした。こうして曲の世界と、自分の思いを同化させていった。

ここからが、本番だった。

宇多田ヒカルが天才であることを、身をもって感じた。

難しいサビの部分での音程や拍子の取り方を、何百回、かずこさんの前で繰り返しただろうか。

そして、このシンプルな『初恋』は、言葉に思いを乗せて歌わなければ、まったく響かない歌になっていることにも気づいた。

まったく上手く歌えないパートがあって、苦戦した時、また歌詞の朗読に二人で立ち返った。

その時、そのパートの詩の言葉をそのまま感情に出して歌ってみると、音程が取れることを発見した。

言葉は、そもそもがそれ固有の音をもっているからだと、かずこさんは教えてくれた。

最後に、かずこさんから、大事な教えがあった。

この曲で一番伝えたい歌詞の部分、このワンメッセージだけを思いを込めて歌いなさい。

ワンメッセージだけでいい

ここがちゃんと歌えれば、あとは、ここが全てを助けてくれるから

僕が『初恋』に込めた、ワンメッセージは、

もしも、あなたに出会わずにいたら・・私はただ生きていたかもしれない・・

この歌詞のワンメッセージだった。

本当に、僕に世界を開いてくれて、ありがとう!!!

あなたに出会えなかったら、この世界がこんなに光輝いて美しいものには見えなかったでしょう!!!

この思いを、あなたと、あなたと、あなたと、あなたに・・伝えたかった。

あとは、僕が、正しいテンポで歌えないことを矯正するために、メトロノームで拍子を取る練習もしてくれた。

また、サビの高音を響かせるための、オペラ歌手ならではの歌い方の秘技も教わった。

かくして、本番を迎え、僕は仲間の前で『初恋』を披露することができた。
これが、僕が人前で歌をうたったデビュー戦だった。

もちろん、仲間が素人の歌を聞いてくれるという、安心安全の暖かい場がなければ、このような事はできないけど、

僕の中で、この時に何かが大きく弾けた。

そして、先日から何度も書いている誕生日会で、歌を披露することにした。
一つハードルを上げてプロの歌手に混じって。

誕生日なので2曲のチャレンジ。欲張った分、大変でしたー

一曲は、ブラジル音楽 『estoria de cantador / Djavan』

2曲は、オフコースの『生まれ来る子どもたちのために』

かずこさんには、2曲目のレッスンをお願いした。

『初恋』と同じ要領で、歌のレッスンが始まった。

やはり、歌詞を縦書きにして、この曲を選んだ思いを二人で語りあった。


『生まれ来る子供たちのために』かずこさんの歌詞 僕のボロボロになって・・

その歌詞の世界を感じ合う中で、なぜ、僕が誕生日会をいのちのお祝い会を仲間としたかったのか、その思いがこの曲と共鳴して溢れてきた。

今回のレッスンは、もうこれだけで十分に思えた。

歌詞の一つひとつに自分の思いを重ねながら、丁寧に歌っていく。

本番の日まで、サビの「広い空よぼくらは いまどこにいる」という部分の音程が取れなくて、苦労したけど、、

ここに引っかかり続けたということは、僕の心が、僕へ伝えたいメッセージはここだったかもしれない。。

こうして、人前で2回も自分が心からうたいたい歌を、届けたい思いを歌にして贈ることができたことが、嬉しくて仕方がない。

このような奇跡の体験ができるまで、ずっと寄り添ってくれた、ソプラノ歌手の竹林加寿子さんに、心から感謝します。

タイトルにした”あわたまの声”とは、
かずこさんの夢の中に出てきた、泡のような自分の色のたましいのことです。皆んなが”あわたま”を持っていて、僕の”あわたま”が、歌いたがっているのを、かずこさんが見つけてくれました。

あなたに出会わなければ、こんな素敵な愛しい人生の一場面を『初恋』の時を経験することはなかった。

ありがとうございました!!!  心から愛と尊敬を込めて

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