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昨日の出来事さえも遠くなっていくから
久しぶりに七五三の写真を撮影した。今回の被写体は友人の娘さん。SNSの掲載や記事にしても良いということなので、せっかくの機会だから何か書いてみようと思う。
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僕は七五三の撮影の経験はそれほど多くはない。たぶん数えられるくらいだけど、随分前のことで覚えてもいない。たしか地元のカメラマンの先輩やプランナーの方から依頼を貰っていた時期だったかな。あの頃は割と型にハマった写真を撮っていて「こうじゃないといけない」という気持ちが強かったと思う。それと比較すると今回の撮影は正反対で、とにかく自由にやりたいように撮っていた。
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大人でさえ普段着慣れない着物にはストレスを感じる。それを大人の都合で子供は着るのだから余程興味がない限り相当なストレスだろう。注目も独り占めするし照れもあるし知らないおじさんにカメラ向けられるし。
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11月25日、時刻は午後3時。前日は晴れていて次の日の撮影のことを考えながら明るさを見ていた。2時間コースで考えると撮影終了間際の午後5時は相当暗い。しかし着付けやヘアセットの都合があるから仕方ない。ただ、当日はかなり曇っていて光はフラット。どこで撮っても濃淡は安定するからバリエーションを考えやすかった。
機材は、暗くなった時のことを考えて高感度に強いZ6とZ6II。レンズは長く愛用しているAF-S NIKKOR 50mm f/1.8GとNIKKOR Z40mm F2を選択。基本的に開放気味でデータサイズはRAW Lで後からトリミングで調整する前提で撮影。ISOはオートで絞り優先。とにかく瞬間を切っていく。
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何気ない仕草も、誰かがしてくれたことも、すべてその瞬間にしか存在しないし忘れてしまうから、どんな光景もなるべく残したい。
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初対面で人見知りでぎこちないのも可愛い。被写界深度のこともあるけど、被写体とのスペースの取り方に気を配りながら、トリミング前提で少し広めに撮ってみたり。
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お母さんの手。この時は当たり前でも、時間が経って写真を見返した時、それが愛しく見えたりするから写真は不思議。記憶発生装置みたいなものだ。
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子供の手はこんな小さかったんだねって思う日が来る。無事に大きくなることは嬉しいことだけど、それと同時に、あの小さな手を繋げなくなるのは少し寂しく思うもの。
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構えてよく練った写真を撮りたいのは大人のエゴで、子供はじっとなんかしてられない。一瞬で決められなければすぐに違う写真を想像する。幾つもの可能性を用意し続けなければ!という千本ノックのように感じてくる。
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神社全体を遊具として考え、転ばないようにエスコートしていく。撮影の仕事はアクシデントの可能性を潰していくことでもある。撮るだけではなく状況を作っていくことがフォトグラファーの仕事だと思う。とにかく事故だけはあってはならない。
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ロケーションフォトのためにおめかしして来てくれたのだから、背景のすっきりした場所でスタジオフォト風に撮ってみたり。遊びながら少し打ち解けてきたのか、だんだんと落ち着いた写真が撮れるようになってきた頃。
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大人になるとやりづらいポーズも、遊びながらできちゃうのが子供の良いところ。この写真が入ることで、この日撮った写真全体で見た時に立体的に見えてくる。
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ついつい目線をもらいたくなってしまうけど、カメラを意識していない瞬間こそ多く撮っておきたい。気持ち的にも引きと寄りを。
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場所を変え、今回のご家族のゆかりのある場所へ。やはり行き慣れた場所はリラックスした一面が見える。
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撮影の最中、カメラに興味を持ってもらえたみたいで「撮りたい!」とお願いされたので、ちょっとだけカメラを貸して撮ってもらったり。
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撮影時間は約2時間。合計800枚撮ってセレクトして200枚納品。トリミングとセレクトで世界を整えていく。撮って終わりではない。写真との対話。
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帰り間際はさすがにお疲れモード。子供の体感時間は大人の6倍以上だとか。いかに退屈させず遊びつづけながら撮れるか。とは言え、僕自身もとても楽しい撮影だったから、あまり意識はしてなかったけれど。準備から撮影終了まで長い時間をよく頑張りました。この日の写真を時々思い出してくれたら嬉しいな。
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