深沢七郎と陰陽世界の交わり
深沢七郎は民俗学者ではないものの、何千年も前から恐れられてきたものを恐れ、信じられてきたものを信じるという世界観があります。
そんな霊的な世界にある底なしの絶望感とアッケラカンとした痛快さが汲み上げられているといったところでしょうか。
代表作の楢山節考はまさにそうです。
登場人物のおりんは表面的には死にたがりですが、実は社会の掟が村の目、自然の目となって死へ追いやっているというものでした。
年を取っているにも関わらず歯の状態が良いということを年不相応と恥じたり、七十過ぎても健康でいることに恥じるのです。
往生際が悪いと感じていました。
とはいえ、歯を抜いたりして、年相応に長生きできないだろうかと考えたりとあっけらかんとした相反する姿もあるのです。
そんな矛盾の中を生き、掟に従い立派に死んだと周りから思われたいと悲しい願いを持って自ら死に赴くのです。
あっけらかんとした姿と底なしの絶望の交わりですね。
作者の豊かな才能と念によって押し開かれた幽玄世界からのインスピレーションが織りなす技と言えるでしょう。
周りの目というものから、良いものさえも悩みになってしまうのは現代にも通ずる部分があると思います。
そういうことから、インスピレーションが生まれました。
インスピレーションというのは見えない世界とのつながりから来るものです。
そういう感性をもっと磨いていきたい方はぜひ一緒に頑張りましょう。
これからも良い記事を書いていきます。